さよなら 山口測候所
2010年10月 1日 カテゴリ:お天気や
ついに、この日がやってきました。
昭和41年の開設以来、山口の気象観測を続けてきた「山口測候所」が
有人による観測を終了し、10月1日から無人化されました。
無人化直前の測候所を取材した模様を
「スクープアップやまぐち」「さわやかモーニング」で
紹介しましたが、ご覧頂けましたでしょうか。
山口測候所には、仕事柄、度々、取材などでお世話になりました。
測候所の無人化は全国的な流れで、
全国96ヶ所あった測候所が順次、無人化されていましたが、
山口測候所は県庁所在地にある、ということが関係していたのか、
これまで無人化の波にのまれずに済んでいました。
しかし昨年末、「山口測候所も無人化」の知らせが届き、
「ついに来たか…」と、がっくりしたものです。
今年の10月1日で、山口測候所を含む全国6ヶ所の測候所が無人化され、
測候所は残り2ヶ所を残すのみとなりました。
測候所の仕事は、正確に気象観測を行い、記録を残す、という
非常に地味な作業ですが、
観測データは、日々、積み重ねることで
長期的な気候変動を知る上での、信頼性と価値が高まります。
全て手作業だった昔の観測記録からは
正確に記録を残し、後生に繋げよう、という熱意が伝わってきます。
今は、ほとんどの気象観測は機械が自動で行い、
観測データも即座にデータベース化されます。
このような業務の自動化が、測候所無人化の大きな理由ですが、
初霜、初氷、初雪、初冠雪など
人間の目で観測する季節現象などは、
無人化に伴い、観測は途絶えることになります。
去年11月4日に取材した初霜が、
測候所の歴史の中で最後の初霜になりました。
今後、測候所から季節の話題が発信されない寂しさもありますが、
このような季節現象も、観測方法はアナログながら
長年、観測データを積み重ねてきたことで
季節の歩みを知る貴重な資料となってきたこともあり、
それが観測の断絶で価値を失うことにも、残念な思いがあります。
無人化に伴って、測候所の職員は各気象台に転勤となり、
各地の気象台で、より充実した防災気象情報の発信に
力を注いでいく、ということです。
限られた予算の中で、初霜や初氷などの観測のために
人を常駐させるのは難しい現状もありますし、
近年、防災における気象情報の役割は一段と高まってきています。
今回の測候所の無人化で、失うこともありますが、
今後、それ以上に価値ある情報が生まれることを期待しましょう。
また、初霜、初氷などは、
あくまで測候所からの情報発信がなくなるだけです。
私の天気コーナーでは、測候所の情報は途絶えても、
季節の話題は大切にしていきたいと思います。
そんな時に頼りになるのが、皆さんからの季節感タップリのリポート。
皆さん、ひとりひとりが測候所職員の気分になって
霜や氷などに限らず、あらゆる季節や天気の話題を
tenki@kry.co.jpまで、お寄せ下さい。
山口測候所は無人化になっても、
代わりに山口県内の各リポーター測候所が
価値ある情報を生み出してくれるはず…と信じています!