異常気象って?

2008年12月 3日 カテゴリ:お天気や

今回は、気象予報士的に、真面目な話題。
 
先日、イタリアのベネチアが高潮に襲われ、
水浸しになった、というニュースがありました。
テレビなどで、ご覧になった方も多いと思います。
私もテレビで映像を見ました。
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※写真はKRYホームページのニュースより
 
私が、このニュースで気になったのは、
映像のあと、テレビのコメンテーターが
「異常気象」や「地球温暖化」という言葉を口にしていたこと。
確かに、映像を見ると私たちの目から見れば、
異様な光景に見えます。
 
しかし、よく調べてみると、今回の高潮は、
ベネチアでは「アクアアルタ」と呼ばれる、
冬~春に大潮や季節風などの条件が重なったときに現れる現象。
毎年何度も起こるそうです。
今回が、いつもより規模の大きな高潮だったにせよ、
ベネチアが高潮に襲われることは珍しくはなく、
このニュース映像だけで
「異常気象」「地球温暖化の影響」と言っていいのか、疑問です。
 
例えば、日本が台風に襲われた映像が、
世界に配信され、ベネチアの人たちが見たとしましょう。
おそらく、台風のないベネチアでは、
日本の嵐の映像が「異常気象」のように見られると思います。
世界の異常気象を語るには、
まず気象は地域による特性があることや、
昔から何度も発生してきた気象現象について
十分認識することが大切だと思います。
 
もちろん「地球温暖化」などと呼ばれる、
人間の活動に起因した異常気象もあり、
それには人間が責任を持って
予防や対策を行っていくことは必要です。
しかし、人間を基準に変な天気と感じたものを
全て「異常気象」としてしまう風潮が最近は多いように思います。
「昔からの地球の息吹」と「異常気象」を、
しっかり見極める目を、私たちは持ちたいものです。
 
12月に入り、暖かい日が続いていますが、
金曜日から一気に寒くなり、平地でも雪が降りそうです。
この急激な気温変化を「異常」と感じる方も多いと思いますが、
これは太古の昔からあった地球の息吹の1つです。
私たちに出来ることは、天気予報をもとに、前もって備えておくこと。
冬タイヤへの交換などの備えを行った上で、
安全と健康に気をつけて、寒さを乗り切りましょう!
 
追伸:
今年の流行語トップテンの1つに「ゲリラ豪雨」が選ばれました。
確かに今年の夏は、突然の雷雨が多かったのですが、
一方で「夕立」という昔からの言葉が
使われなくなってしまうのを、私は心配に思います。