『山の子、浜の子』
町へと出かけた、山に住む子どもと浜に住む子ども。同じ町のはずなのに、「町には何がありました?」という問いに、山の子と浜の子の答えは全く違うものでした。
山の子は山で見慣れた茱萸(ぐみ)の実が道に落ちている風景、浜の子はいつも眺めている空が、道の水たまりに映っている光景です。
私たちの‘視点’は、暮らしている環境に大きな影響を受けて、初めて見る町の印象も、全く違うものになるんですね。ということは、自分が見ていないものを、誰かに「どうだった?」と尋ねても、それがそのまま自分が感じ取るものではないかもしれないんですね。だから、自分で見て感じることと、他人が見て感じることの両方を受け止めること、とても大切だなと思います。
金子みすゞさんの詩の‘視点’には、いろんな人間の立場の視点が描かれています。金子みすゞ記念館館長・矢崎節夫さんの著書「童謡詩人 金子みすゞの生涯」に記されている、母親ミチさんがよく言っていたとされる「物事をいろんな角度から見つめてごらん」という眼差し。その影響が、この詩にも見え隠れしています。