第41回防府読売マラソンのTV中継後の話。
僕らの生放送でフィニッシュをお伝え出来るのは
ほんの一握りのランナーしかいない。
しかし、防府の制限時間は4時間、
放送後もランナーたちの激走は続いていた。
この防府を引退レースに選んだ中国電力・梅木蔵雄選手の
フィニッシュ。
苦しくてもレースを止めずに最後までファンに勇姿を見せた。
そして、その日たまたま調整が合わず存分な結果が出せなかった
トップランナーも続々フィニッシュを迎えた。
優勝を目指す目的は途切れても諦めず走り切る姿は
やっぱり素晴らしい。
そして、他の市民マラソンよりも競技性の高い防府で自分の力を
試す市民ランナー達の力走もこの防府を熱くしてくれた。
そんなランナー達を見守る地元防府の人は、
大のマラソン好きが多い。
沿道に家の椅子を持ち出して座って最後のランナーまで応援する
おじいちゃん。
トップがやって来るまで食堂のTVで見て選手がやって来たら
店そっちのけでエプロン姿で沿道に出るおばちゃん。
さらに、給水や交通規制など多くのボランティアの方々も
声援を欠かさない。
また、長時間に渡る交通規制の理解と協力があって、
ランナー達は広い綺麗な道路を独占して気持ちよく走れるのだ。
その気持ちに応えてランナーも激走する。
そして、沿道で最後まで声援を送ったというファンから、
レース翌日に訊いた話。
スタートから4時間が経過。無情にも陸上競技場の
グロリアスゲートの門が閉まった。
しかし、まだ走っているランナーが3~4人いた。
その直前の関門地点をクリアしたランナーが、
グロリアスゲートを目指して競技場の敷地を走っていたと言う。
閉まっていてもグロリアスゲートを目指す。一歩一歩。
そばにいる観客も応援し続けた。
片付けを始めたスタッフの間をすり抜けゲートの前まで走り切り、
自分のフルマラソンを終えたと言う。
「あと数分、あと数人ゲートを閉めるのを待ってあげられたら…」
とその瞬間を目撃したファン。
規則は規則であることは大前提ではあるが…。
来年の防府読売マラソンは新たなコースで再出発する。
放送時間以降のランナー達の情熱・気持ちも乗せて実況して
行きたい。