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ちひろとみすゞの朗読Time

9月28日にご紹介した金子みすゞの詩

『空いろの花』
ニューアルバムに収録した詩のひとつですが、私にとってこの詩は自分の活動に背中を押してくれる大切な詩です。「自分の見つめてきたものを信じて、大切に思っているものを信じてそのまま、続けていきなさい」そう聞こえてくるんです。地位や名声よりも大切なものがある。本物を、本質を見つめる姿。これが金子みすゞさんの優しさと強さだと思います。

9月21日にご紹介した金子みすゞの詩

『秋日和』
初秋の日本の大好きな光景のひとつに、稲刈りされた田んぼの風景があります。金子みすゞさんもとても好きだったようです。この詩は、秋晴れの空に、刈られた稲が干され、街道を稲積んだ車が行く、そしてそこにモズが高鳴く。
なんとも素敵な日本の原風景がそこにあります。この詩を味わうと、「あぁ日本人でよかったな」そんな気持ちにもなるような世界です。モズのことを「もずきち」と呼んでいるこの愛称もまた、とても心がほっこりします。秋晴れの日、この詩を思い出してみてください。

9月14日にご紹介した金子みすゞの詩

『土』
金子みすゞさんのまなざしは、日頃私たちが忘れている存在にも、全てに同じように眼差しを向けています。耕される畑の土、道路の土、人間の営みに関係する土はみんな気にかけますが、ほったらかしの自然界の土は「要らない土」か?と問います。そしてそれは「いえいえ、それは、名のない草のお宿をするよ。」と。
なんて、素敵な優しい眼差しでしょう。私達の世界に、要らないものは何もない、みんな関係し合って生きている。その思いが広がる詩です。

『土と草』
ニューアルバムに収録した詩のひとつです。これも、土は草を育てたら自分の姿は見えなくなるのに、それでも草を育む土を詠っています。表に見える成長する姿の裏に、見えなくても支える存在がある。物事全てそのバランスがあります。大切な見つめ方、生き方、ですね。

9月7日にご紹介した金子みすゞの詩

『露』
9月24日にリリースするニューアルバムに収録した1編。思いやり溢れるこの詩の心は、まさにみすゞさんの姿そのものです。花からこぼれた露を涙に想う眼差し。泣いた噂が広がったら、その花の密を吸った蜂が、自分のせいだと思って蜜を返しにいくかもしれない。だから、このことは、誰にも言わずにおきましょう、と。うわさ話は時として誰かの心を傷つけたり、思いもしない方向へ広がります。この思いやりの原点があれば、みんな、悲しまないかもしれません。

8月31日にご紹介した金子みすゞの詩

『帆』
私が金子みすゞさんの詩に曲をつけている詩も、この新曲「帆」で48曲となりました。いつも光輝くはるかに遠い舟を見つめて、みすゞさんは夢を、希望を描いていた。そんな思いがきらきらと輝きながら伝わってきます。9月24日ニューリリースするアルバムの新曲、1曲目に選んだこの詩。今の私の気持ちも乗せて、輝きながら舟は行きます。

8月24日にご紹介した金子みすゞの詩

『夏の宵』
夏の夕暮れから夜に移り変わる頃って、なんだかちょっと切なさがあって素敵な時間ですよね。その空で、「星がハモニカ吹いている」という表現、なんて素敵なんでしょう。夕暮れのグラデーションの空に、ハモニカの音が響き渡っているのを想像するだけで、心が溶けていくようです。

8月17日にご紹介した金子みすゞの詩

『藪蚊の唄』
夏の蚊には悩まされる人も多いことでしょう。ちょっと嫌な存在の蚊。でも、みすゞさんの詩にかかると、蚊さえもかわいい存在に思えてきます。蚊には蚊の気持ちがあることを、人間は知る由もなく、近づいてきたら追い払ったり叩いたり。もしもこの詩のような蚊の物語が展開されているとしたら、叩いたりは出来なくなっちゃうな、困ったな。と思ってしまうほど、とてもかわいい物語です。

8月10日にご紹介した金子みすゞの詩

『墓たち』
今まではお墓が丸見えだった墓場に、新しく垣根が出来ることで景色が変わる様子を描いているんですが、墓の立場からの視線と、自分の視線の両方を綴っています。みすゞさんらしい眼差しです。自分から墓が見えなくなるのはすぐ気づくこと。でも、墓にとっても、目の前の景色が見えなくなる。墓に眠るご先祖様、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんは、生きている子や孫の姿が見えなくなると想像しています。そして、自分たちは、昔むかしの丸い小さい、誰のものかもわからない、そのかわいい墓石が見えなくなるさみしさを詠っています。お盆のお墓参り。あなたはどんな気持ちでお参りされるでしょう。

8月3日にご紹介した金子みすゞの詩

『蝉のおべべ』
蝉の抜け殻、時々道端で見たりしますが、その抜け殻を蝉のおべべとして童謡の世界が広がる金子みすゞさんの心の広がりは、夏休みの子どもたちにもとても良い眼差しですね。そして、その大人が思いもしないことを想像する子ども心を、しっかり受け止めて、またそこから想像の世界を広げてあげられる大人でありたいなと、この詩のように素敵な会話が出来る大人だったらいいな、と思います。
 
『蝉しぐれ』
蝉は、雄しか鳴かないのをご存知でしょうか。雄が雌に対して自分の存在をPRしている鳴き声だそうです。なので、あの蝉しぐれの鳴き声は、大きな大きな求愛の声なんですね。そう思うと、蝉しぐれの響きも、違った味わいになってきますね。

7月27日にご紹介したみすゞの詩

『夏』
夏の暑さが年々増す中でも、早朝の涼しさは少しは健在でしょうか。「夏は夜更かし、朝寝坊」と表現するみすゞさん。確かに、夜はしばらく蒸し暑く、自分たちが寝る時間もまだまだ暑い。でも朝は、私達のほうが先に起きて、涼しい夏の朝は、まだ夏が眠っているんだと。そんな想像をしたら、暑さも少し和らぐ気持ちになりますね。
 
『あさがお』
夏を象徴する花のひとつ、朝顔。その咲き方、あっち向いたりこっち向いたりの花の付き方で、それをクールに見つめる詩です。お花同士が顔を合わせることなく咲いて、一日が過ぎて、蜂やお日様はその花たちに意識を向けても、当の花本人はあっち向いてこっち向いてのそのまんま。ただただ、そのまま、一日が終わって、「それでおしまい、はいさようなら」と綴られています。日常はそんなもの。このクールな眼差しもまた、大切な心のバランスに感じます。

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