『金米糖の夢』
小さな砂糖菓子の金平糖。(金子みすゞの詩では漢字が平は米を使っています)
その小さなお菓子にも、大きな夢がありました。海の彼方の遠い空に光る星。そのお星さまになりたい金平糖たち。この詩は特にアニメーションが浮かんでくるファンタジーな世界。好きな方も多い詩です。歌にもしている詩のひとつ。この詩を知ってからは、金平糖が以前よりもっと、愛おしく感じるようになりました。
『お魚の春』
春が来ることはやっぱりどの生き物も嬉しいでしょう。お魚の世界もそのようです。若いもずくの芽の青さ、きらきら光る海の景色・・・いのちの輝き、景色の輝き、いろんなものが眩しく目に映ります。それが金子みすゞさんのセンスによって、とても楽しく可愛らしく伝わってくる。この詩も、とってもかわいいので、ぜひ春の喜びをこの詩で味わっていただきたいです。
『二つの小箱』
この詩でみすゞさんは南京玉が大好きな気持ちを表現していますが、実は金子みすゞさんの愛娘・上村ふさえさんが3歳の頃、みすゞさんはふさえさんの何気ないおしゃべりを、手帳に書き記していましたが、その手帳のタイトルを「南京玉」と名付けていました。どれだけ一人娘が愛おしかったかが、この詩からもよくわかります。512編のみすゞさんの童謡と共に、その「南京玉」もぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
『誰がほんとを』
私が曲を付けている詩のひとつ。
以前、あるきっかけでこの詩と私の歌を知った方が、「会社で嫌な思いをしているけれど、この詩でとても勇気がわいた」とメッセージをいただいたことがあります。みすゞさんも(自分に本当のことを言ってくれているのだろうか・・・)と不安や寂しさが心を覆うことがあったのかもしれません。自分の悲しみと同じ感情を抱いた存在は、時としてそれが勇気に繋がる、自分ひとりじゃない、頑張ろうという気持ちに繋がることもあります。金子みすゞさんの詩の心は、本当にいろんな思いを救ってくれる、大きな存在です。
『硝子のなか』
雪の降る日は暖かいお家の中で過ごしたいもの。炬燵に入って明かり障子の絵硝子をぼーっと見つめていたら、家のお仕事のために行き来するおばあさまの姿が見えました。お休みの日の、炬燵に入っている、何気ない時間にも、家事を淡々とこなすおばあさまの姿。そこにいろんな感情が滲みでてきます。
日常の何気ない光景も、金子みすゞさんのペンにかかると、こんなに素敵な一つの作品になるんですね。
『早春』
お正月がきた喜びが、綺麗に景色に溶けて、広がっていく素敵な詩です。最初は目の前の毬で遊ぶ子どもに視線があり、それが空に浮かぶ凧へと移り、空の青さに心惹かれ、そして遠い昼の白いお月さまへと移ります。
はっきりとした言葉はなく、情景描写が短い言葉で綴られている中に、しっかりと思いが伝わる。みすゞさんの素晴らしいセンスで、シンプルに少ない言葉ながら思いを深く伝えてきます。これは詩や短歌、俳句などを楽しまれる方々にとって、教材としても素晴らしい作品だと思います。
『郵便局の椿』
仙崎郵便局を詠った詩。
金子みすゞさんのご実家・現在の金子みすゞ記念館の斜め向かいにある、仙崎郵便局。この詩は、みすゞさんが暮らしていた頃の2代目の局舎を詠ったもので、現在建っているのは3代目。今、郵便局の敷地内には、かわいい椿の木もあって、掲示板にはこの詩が掲げられています。ノスタルジックな詩に、みすゞさんが想う故郷の郵便局が、温かく切なく光ります。
『紙の星』
クリスマスの時期に入院をしていた子どもがいたんだな、と、病室に残るクリスマスの紙飾りの跡から想う、切ないクリスマスの残像の詩。リスナーさんから、自分が子どもの頃に入院をしていた時期の切ない思いを思い出すとメッセージをいただきました。実は私もちょうど小学5年生の12月に1ヵ月入院をしていたので、この詩は私も当時を思い出す詩です。いつも、見えないところで、知らないところで、華やかな光あふれる世界の影に、いろんな切ない場面もあることを、私たちは忘れないで、心を寄せられる人でありたいですね。光と影を両方を見つめられる心こそ、本当の温かい心の灯だと思います。
『白い帽子』
寒い季節になると思い出す、大好きな詩のひとつです。お気に入りの帽子を失くしてしまいますが、潔くあきらめるその心には、その帽子がせっかくだから、どこかの何かの役に立つ帽子であってほしいという願いがあります。自分の元を離れても、その物の幸せを、それを手にした人の幸せを願う愛情。この心根がとても素敵なのです。
『空いろの花』
今週は歌のリクエストをいただいた詩を朗読でもご紹介しました。この詩は私が初めて金子みすゞさんの詩に出会った年、最初の8編に曲をつけた中の1編です。ずっと空を見続けている女の子はいつしか空いろの花になったお話。その花にみすゞさんが話しかけます。あなたはどんなに偉い博士よりも本当の空を知っていると。有名ではなくても、本当の空を見つめている存在をちゃんと見つめて、認めてくれているみすゞさん。私はその眼差しに心を救われました。自分の音楽への思いを信じて貫いて頑張っていこうと決心することが出来ました。この詩は、自己肯定感を高めてくれる、救いの詩です。