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ちひろとみすゞの朗読Time

3月30日にご紹介した金子みすゞの詩

『さくらの木』
おてんばな女の子。そしておとぎ話が大好きなみすゞさんらしい、花咲か爺さんの物語が見え隠れする内容です。4月生まれのみすゞさんは、さくらの木も大好きだったのでしょう、この詩からもよく伝わってきます。
 
『四月』
この詩は毎年4月を迎える頃に思い出す詩です。新しいスタートへのわくわく、新しいものを揃えるうれしさ、それが満開です。新たなスタートに不安や心配があっても、この詩を読むとそんな気持ちはふわっと元気に変わります。みすゞさんが、新しく始まるあなたの4月を応援していますよ。

3月23日にご紹介した金子みすゞの詩

『お魚の春』
海の中でも春が来た喜びは、人間と一緒。そんなこだまし合える春の「うれしい」が伝わってくる詩です。トビウオも登場しますが、山口県の海にもトビウオの姿、見ることが出来ますよね。そんな時、みすゞさんのこの詩を思い出して「飛び魚小父さん」だと思って見つめると、一気にみすゞワールドです♪

3月16日にご紹介した金子みすゞの詩

『赤い靴』
 金子みすゞさんの春の詩の中でも、特に私が大好きな詩なんですが、春が来る喜びと、歩き始めたばかりの「坊や」が一歩、二歩、歩いては笑う、そのお母さんの喜びが春の喜びと重なる素敵な詩です。春が来た、という言葉だけでもなんだか嬉しくなる私たち。四季があるって、いいですね。
 
『仲なおり』
 けんかをした女の子二人。でもげんげ(れんげ)の花を摘んでいたら、向こうに相手の女の子もいて、そのげんげの花が嬉しくて、つい微笑みます。その笑みにつられてこっちも笑う。すっかり、けんかした心は仲直りするんですね。お花は私たちの心をほぐしてくれる、やさしい存在。春はいろんなお花に癒される、うれしい季節です。

3月9日にご紹介した金子みすゞの詩

『このみち』
 この卒業シーズンにお届けしたい詩です。金子みすゞさんが学校への道で出会ったものが登場していると言われている詩ですが、ひとりぼっちで立っている榎、蓮池にいる蛙、田んぼの案山子、その一人でいる存在を見逃さず、一緒に「このみち」を行こうと導いている内容です。私たちは決して一人で生きているわけではないですが、落ち込んだり悩んだり、そうした時には心がひとりぼっちになることがあります。そんな心に優しく寄り添ってくれる、そして「がんばろう」と思わせてくれる、そんな素敵な詩です。新たなスタートで、心細い思いがあったら、ぜひこの詩に触れてみてください。

3月2日にご紹介した金子みすゞの詩

『雛まつり』
 桃の節句に合わせて。女の子にとって雛まつりは、とても華やかで嬉しいはずですが、豪華なひな人形ではないお家の女の子の、さみしさが伝わってくる一編です。みすゞさんは、華やかな裏のさみしさにもそっと眼差しを向けていて、物事の表と裏、明と暗を、ちゃんと全て掬い取ってくれている、そんな気がします。だから、みすゞさんの詩を読むと、心がホッとするのかもしれませんね。
 
『桃の花びら』
 お花の咲かない場所に桃が自分の花びらを散らして、その場所に花を咲かせようとする様子。それを見たおてんとうさまが、そのやさしさに喜んで、日の光が更に強くなって温かくなります。すると、かげろうがゆらゆらとのぼるのです。そしてそのかげろうを、散ってしまった花びらの魂の姿に見立てています。
 
 相手のために自分が犠牲になることを厭わないその桃の魂を、お日様が昇らせているんですね。素敵な素敵なみすゞさんの優しさがそこに溢れているように思います。おてんとうさまは、まるでみすゞさんそのものです。

2月23日にご紹介した金子みすゞの詩

『みんなを好きに』
 かつてのローマ法王が涙したというこの詩。
 
 放送では、今ちょうど湯本温泉で開催している「音信川うたあかり」イベントで金子みすゞ記念館学芸員の出張講座に参加したリスナーさんからのメッセージで、この詩の言葉の表現についていろいろ談義した様子をご紹介しました。
 
 「みんな」という言葉が詩の中では「みいんな」になっていて、最後の「みいんな」だけは「みィんな」になっているのはなぜだろうという内容でした。
 
 みすゞさんは、言葉の響きや目に飛び込む文字の印象にまでセンスをフルに活かしています。この詩にも、色づかいのセンスと言葉選び、素敵なみすゞさんらしさが満載です。ぜひ、詩集を手に取って味わっていただきたい1編です。

2月16日にご紹介した金子みすゞの詩

『葉っぱの赤ちゃん』
 かわいい小さな若葉の赤ちゃんを、大自然のみんなが育てています。お月さまは光を着せて子守をして、風はそっと吹いて目を覚まさせる。子守歌を歌うのは鳥たちです。なんて素敵な世界でしょう。でもこれは、私たちの社会でもそうなんだなって思います。地域でのいろんな大人の役割を担って、みんなで地域の子どもたちを育てている。私たちの仕事、生業はそこに繋がっているんだなって思います。かわいいストーリーの中に、大切な大切な人生の学びがある。それが金子みすゞさんの詩。童謡の中の最高傑作ですね。

2月9日にご紹介した金子みすゞの詩

『こぶとり』
 金子みすゞさんの5編ほどおとぎ話のつづきを描いたーおはなしのうたーシリーズ作品のひとつ。『こぶとり爺さん』の続きのお話です。正直爺さんのこぶがなくなって喜んでいても、意地悪爺さんのこぶ2つの姿が気の毒で、結局鬼のところへもう一度行って、こぶを元どおりにしてもらって、2人で仲良くニコニコ帰ってくるという、なんとも優しいストーリーになっています。みすゞさんの愛溢れる詩。自分の幸せは、自分だけが幸せでも本当の幸せではないんですね。周りも幸せでいてこそ、自分の幸せもしっかり感じられる。それが生き物の命の姿なのかもしれませんね。
 
『灰』
 これはーおはなしのうたーシリーズではないですが、おとぎ話『花咲か爺さん』のお爺さんにお願いをするお話です。お花が咲かない森の木に、花咲か爺さんの持っている灰を撒きたいから、灰をおくれと頼むのです。そうして、お花が咲いたら、あの木は嬉しいだろう、そしてその嬉しい様子を見る私自身も、嬉しいだろうと言っています。相手の喜びが私の喜びにも感じられる、そんな心をみんなで分かち合えたら、もっともっと私たちの喜びは大きくなりますね。

2月2日にご紹介した金子みすゞの詩

『春のお機』
 立春を控えたこの日の詩は春の詩です。春をつかさどる佐保姫様が春色の機織りをしている様子を、とても美しい見事な表現でみすゞさんが描いています。何気ない表現に、実はとても繊細な描写があるのがみすゞさんの素敵なところ。この詩を味わうと、自分の心も春色に美しく彩られる、そんな気持ちになります。
 
『雨あがり』
 はこべの花が出てくるこの詩は、その描写ですぐに春の詩だとわかります。自然界の木や草たちみんなが、お日様の光を待っている。長い春からの目覚めを待っている様子がとても可愛い詩です。みすゞさんの心の眼には、こんなにかわいい世界で映っているのかと思うと、日常がなんて心豊かな毎日なんだろうと思います。忙しい毎日にも、ふと自然界のいろんな物語を感じると、癒されますね。

1月26日にご紹介した金子みすゞの詩

『雀のお宿』
 金子みすゞさんの全512編の中には、5編ほどおとぎ話のつづきを描いた作品があります。その一つは『舌切り雀』のお話です。舌を切られた小雀の、宿での様子を描いているんです。おとぎ話では雀のお宿の描写はありませんが、みすゞさんは宿に帰った時のお父さん雀、お母さん雀の優しさに触れています。
 
 見えないところを見つめるみすゞさんならではの優しい物語。でも、舌を切られた小雀の舌は、やっぱりそのままなのは仕方のないこと。そこも、みすゞさんはそのままに受け止めています。ぜひ、5編のつづきのお話から、人のやさしさや思いやり、そして教訓を味わってみてください。

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