山口県岩国市の山間、周東町祖生の3地区で続けられてきた伝統の火祭り「祖生の柱松」。牛馬の安全を祈るために始まり、五穀豊穣や天下泰平を願うものへ変化していきました。

　高さ20メートルほどの柱松の上には竹製の鉢がとりつけられ、燃え盛る松明を投げ続けます。無事に火を灯すことができるまで、祭りは終わりません。約290年もの間、守り受け継がれてきた火です。

　祭りに欠かせない材料は、地元の山々から採集します。松明を束ねるしなやかで強度の強い葛、火が付いた時に美しく燃え落ちるハギの葉…先人の教えが今も守られています。

　最も骨の折れる柱松の立て起こしも、機械に頼らず、全て人の手で行ってきました。押し寄せる高齢化の波に抗いながら。柱松は〝天への献灯、絶やすことはできない〟その思いで。

　今年も、祈りの火が故郷を優しく照らします。

KRY年末アンコール
故郷を照らす祈りの火～祖生の柱松～
2023年12月28日(木) あさ5:15～6:15