『世界中の王様』
何もかもを手に入れている王様は、あまりに広い御殿なので、広い広いお空を、気持ちのいいお空を知らないだろうと。そしてその素晴らしい空を知らない王様よりも、いつもこの空を見ていられる自分のほうがいいなと思っている、純粋な心のお話です。
この純粋さが、日々忙しく生きている私たちをホッとさせてくれます。忘れかけている大切な心の眼差しです。
『女王さま』
そして今度は自分がもしも女王様だったらという話。小さい頃の自分がさみしい思いをしている時の、そんな事がないようなお布礼を出す女王様を描いています。そんなみすゞさんの小さな願いがまた、かわいいです。でも、そんなさみしい思いも我慢していたみすゞさんだからこそ、私たちのいろんな思いを汲み取ってくれる、寄り添ってくれる詩が描けているとも言えますね。
素晴らしい作品は、明るいものだけではなく、影のさみしい部分、隠れている部分があってこそ、そこから生まれてくるものです。泥の中から蓮が咲く、それに似ているのかもしれません。