『羽蒲団』
温かい羽蒲団をどこかの寒がっている誰かにあげようと想像していくも、遠くの遠くの手の届かないお空のむこうにまで思いが飛んでいくと、やっぱり自分がこの温かい羽蒲団で寝ようと思いなおす、かわいい子ども心の詩です。みすゞさんの時代、明治大正昭和初期は、羽蒲団はそれはそれは貴重な贅沢品でした。そうした時代背景からも浮かんでくる詩は違ってきますね。
『白い帽子』
この詩は逆に、自分から離れてしまった温かいお気に入りの帽子が、もう戻ってこないなら、どうせなら、自分がいい思いをしたように、だれかの幸せにつながってほしいと願う優しい心の詩です。失くしたものは、失くしたもの。という潔さ。そして失くしたまま、もう思いがぷっつり切れるのではなく、その先の拾ってくれた人、使う人の温かさに繋がってほしいと願っている、この思いやりを私たちは失くしたくないなと思います。自分の嬉しいが、だれかの嬉しいになっていていほしいですね。