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転ばぬ先の知恵

2024年04月 月間アーカイブ
高齢者施設についてパート1
2024/04/27放送
出演者
NPO法人山口県終活支援協議会 徳沢遼さん

◆今週と来週は、NPO法人 山口県終活支援協議会の徳沢遼さんにご出演いただきます。おはようございます。
 
◇おはようございます。
 
◆徳沢さん、今日はどのようなお話しをしていただけますか?
 
◇今回は2週にわたって「高齢者施設」について、お話ししようと思います。
 
◆「高齢者施設」ですか?
 
◇はい。一般的に「高齢者施設」とは、心身が衰えた高齢者が安心して暮らせるように、バリアフリーの設備や見守りサービスが備えられている高齢者専用の施設を言います。また、食事の提供や家事、付き添いなどの生活支援サービスや介護サービスも提供もされ、さまざまな種類がありますので、今回、まとめて分かりやすくお話ししようと思います。
 
◆分かりました。よろしくお願いします。
 
◇はい。高齢者施設の歴史なのですが、1895年(明治28年)、ちょうど日清戦争の最中にイギリス人宣教師により東京で開設された養老院が最初だと言われています。高齢者施設というと思い浮かぶのが老人ホームなのですが、この老人ホームという言葉は1963年に老人福祉法という法律が制定された時に正式呼称となり高齢者施設全体を指しています。老人ホームは正式には大きく分けて11種類に分類されており、内訳として公的施設5種類と民間施設6種類に分類されています。今日はその中の公的施設5種類について解説いたします。
 
◆お願いします。
 
◇まず「軽費老人ホーム(ケアハウス)」についてです。特徴ですが、対象者は自立した生活に不安があり、身寄りのない高齢者が低価格で入居できる老人ホームです。食事の提供やその他日常生活で必要な支援を行うことを目的とする施設で基本的には介護は行いませんが、施設によっては介護保険制度による介護サービスを提供する施設もあります。しかし、医療的なサービスはありませんし認知症の有無により入居できない場合もあります。また要介護認定の有無は関係ありませんが、所得制限などの条件があります。
 
◆「ケアハウス」という名前は聞いたことがあります。自立した生活に不安があり、身寄りのない高齢者が低価格で入れる施設ということですね。
 
◇はい。次に「養護老人ホーム」です。養護老人ホームは身体的、精神的、環境的、経済的に困窮している高齢者を一時的に受け入れるための施設で、在宅で生活ができない高齢者が対象となります。通常の老人ホームが施設と契約することで入居するのに対し、養護老人ホームは市区町村長によって決定を受けた人が入所することになります。また養護老人ホームは介護施設ではないため、介護サービスを受けることができません。入居者が自立した生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする施設と定義されているので、長期的に利用することもできません。
 
◆なるほど、「養護老人ホーム」は色々な面で困っている高齢者を一時的に受け入れる施設なんですね。
 
◇はい。続いて「介護医療院」です。今年3月に廃止となった介護療養型医療施設を引き継いだ施設で、主として長期にわたり療養が必要である人に対して、介護や医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設です。この施設は以前ではあまり取り入れられていなかったレクリエーションやイベント行事なども取り入れ、心地良い生活を送るための場、入居者と社会との繋がりが持てる場としての機能を持っている点が特長です。さらに終末期医療や看取り介護にも対応。医療と介護を受けながら、命を全うする最期の場所としても提供される点も特長です。
 
◆「介護医療院」は長期にわたり療養が必要な人を対象とした施設なんですね。
 
◇そうです。次は「介護老人保健施設」、通称「老健」と言われています。この施設は要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設を基本的性格として掲げており、病院退院後、在宅復帰が困難な場合に医療ケアやリハビリを受けることができる介護保険施設です。医師、理学療法士、作業療法士などが常勤しているので質の高いリハビリを受けることができます。入所者の在宅復帰を目指した施設であるため、他の介護施設と比べて入所期間が短いことが特徴です(原則3?6ヶ月)。その代わり入所待ちの期間は短くなっています。
 
◆「介護老人保健施設」(老健)は、在宅復帰を目指す施設で、リハビリをしながら短期間入る施設なんですね。
 
◇そうです。そして最後に「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」通称「特養」ですね。この施設は「要介護高齢者のための生活施設」を基本的性格として謳っています。要介護3以上の認定を受けている方が対象の施設で、比較的重度の要介護状態の方や認知症を患っている方が多くを占めるので、提供する介護サービスは食事・入浴・排泄介助などの身体介護、清掃・洗濯などの日常的な生活支援の比重が高くなります。ただ夜間の医療がないため夜間ケアを必要とする方の対応は難しく、入居できない場合もあります。また入居費用が介護保険でまかなえるので費用が安く、終身利用も可能なので非常に人気が高い施設です。入居は、介護度や家族状況なども考慮して必要度が点数化され、緊急度の高い方が優先されます。特養の待機者は非常に多く、地域によっては入居まで数年かかるところもあります。
 
◆「特養」は希望者が多く、なかなか入居が難しいという話はよく聞きますね。
 
◇そうですね。今日は高齢者施設のうち公的施設を5つご紹介しましたが、全体的な特徴として費用は抑えられるが入居条件などの規制があり、入居までに時間がかかる場合があるということです。
 
◆今日は高齢者施設の中の公的施設についてよく分かりました。来週は民間施設6種類について、詳しく教えてください。徳沢さん、ありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。

遺言をめぐるトラブル
2024/04/20放送
出演者
弁護士 有近眞知子さん

◆今週も先週に引き続き、弁護士の有近眞知子さんにお越しいただきました。おはようございます。
 
◇おはようございます。
 
◆先週は「相続放棄について」、実際にあった質問に答える形でお話しいただきました。今日は何について、お話しいただけますか?
 
◇今週は、「遺言をめぐるトラブル」について、先週と同様、過去に実際にあった質問にお答えする形で話を進めていきたいと思います。
 
◆分かりました。よろしくお願いします。
 
◇では、最初の質問です。「お父さんが入院した後、遺言状を作りたいと言うのですが、自分で字を書けない状態だったので、家族が病院に行き、口頭で言ったことを正確に筆記して、看護士さんに立ち会ってもらって、遺言を作りました。この遺言は有効でしょうか?」
 
◆なるほど。こういう場合もあるでしょうね。どうなんですか?
 
◇以前お話ししたように、遺言には大きく分けて、自分で書く自筆証書遺言と、公証人に作成してもらう公正証書遺言というのがあり、それぞれの要件が民法で細かく決められています。その要件が一つでも欠けると、遺言は無効になります。
 
◆遺言は民法で細かく決められているんですね。
 
◇はい。お尋ねのケースでは、まず、お父さん自身が書いてないので、自筆証書遺言の要件は満たさないことになります。そして、公正証書遺言としても、公証人以外の者が本人から口頭で聞いて書いたという点が無効です。また、証人二人以上の立ち会いという要件や、立会人に読み聞かせる要件も欠いているようです。したがって、せっかく作成された遺言ですが、無効ということになります。
 
◆なるほど。よく分かりました。
 
◇病気で入院していても、認知症などの判断能力に問題がないようなら、公証人に病院まで出張してもらって遺言書の作成をすることは可能です。また、ご自身で署名や捺印ができないような状態でも、公正証書遺言書を作成する方法なら、署名を公証人に代わってもらうことも可能です。有効な公正証書遺言が作成できれば、相続人の手間を大きく減らせますし、亡くなられた方の想いを実現することが可能となるので、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
 
◆自分で遺言書が書けない場合、公証人が代行する「公正証書遺言」があるということですが、まずは弁護士に相談することが大切ということですね。
 
◇そうですね。ちなみに急病や大けがをして死が目前に迫っている緊急事態で、遺言者が氏名すら自書することが困難であるときに、遺言者から内容を聞いた証人が遺言書を作成する「危急時遺言」というものも民法976条で特別に認めていますが、利害関係者でない証人3人以上の立会いや、遺言の日から20日以内に証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求して、遺言の確認を得なければ効力を生じないなど要件が厳しいので、ほとんど利用されることはありません。
 
◆緊急事態には「危急時遺言」という方法がありますが、要件が厳しいということですね。
 
◇そうですね。続いて、遺言の開封についての質問です。「父の葬儀後、遺品を整理しているとき、手書きの遺言状が見つかりました。家族全員が揃っていたので、その場で開封したのですが、遺書は無効になるのでしょうか?」というものです。
 
◆遺品整理をしていて「遺言書」が出てくることもあるんですね。
 
◇はい。自筆証書遺言は、偽造、変造されたりする危険性が高いものです。そのため、遺言は、執行前に家庭裁判所に提出し、「検認」の手続きを受けるように規定されています。
 
◆「自筆証書遺言」は、家庭裁判所で「検認」を受けないといけないんですね。
 
◇そうです。「検認」で、相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止することを目的に行われます。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
 
◆なるほど。「検認」は遺言の有効・無効を判断する手続ではないんですね。
 
◇はい。なお、公正証書による遺言のほか、法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は、偽造変造の恐れがないので、検認の必要はありません。
 
◆法務局による「自筆証書遺言保管制度」ですね。
 
◇そうです。検認の申立人以外の相続人が、検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任され、全員がそろわなくても検認手続は行われます。検認は封印の有無に関わらず必要ですが、封印がしてある場合は開封せずに提出しなければなりません。開封は家庭裁判所で、相続人かその代理人の立ち会いの上で行われます。検認をせずに遺言を執行したり、家庭裁判所以外で開封したからと言って遺言が無効になるわけではありませんが、過料に処せられたり、あとで紛争の元になることも考えられます。
 
◆最近、いろいろなメディアで「遺言」特集が組まれることが多く、相続争い防止のためには「遺言」を書いた方が良いとよく言われます。それほど重要なことなので、民法で細かな規定があることがよく分かりました。また「遺言」を書くにあたっては一度、専門家に相談した方が良いということも分かりました。有近さん、今日は大切な話、ありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。

相続放棄について
2024/04/13放送
出演者
弁護士 有近 眞知子さん

◆今週と来週は、弁護士の有近眞知子さんにご出演いただきます。有近さん、おはようございます。よろしくお願いします。
 
◇おはようございます。
 
 
◆有近さんは防府市の「上田・藤井総合法律事務所」で弁護士としてご活躍中ですが、また柳井市選出の山口県議会議員でもあり、ご家庭では一男一女のお母さんでもあるんです。1人で3役をこなすスーパーレディーでいらっしゃいます。お久しぶりのご出演ですが、今日はどのようなお話しをしていただけますか?
 
◇前回は、相続発生前の遺言や相続発生後の遺産分割の方法についての総論をお話ししました。今日は各論として「相続放棄について」、実際にあった質問をもとにお話ししていきたいと思います。
 
 
◆いいですね。実際にあった質問に答える形式だと現実味がありますね。
 
◇では、最初の質問です。「家族が借金を残して死亡しました。遺族はそれを相続しなければならないのでしょうか?」
 
 
◆いきなり厳しい質問ですね。
 
◇はい。ご家族を亡くされて悲しい時に、借金の要求をされるとびっくりしますし、こたえますよね。 相続権が発生したところ、その遺産の内容は債務ばっかりだったという実例は、少なくありません。
 
 
◆そうなんですか。「相続」というと預貯金や不動産などプラスの財産を引き継ぐというイメージがあるのですが、それだけではないのですね。
 
◇はい。相続というのは、被相続人に属していた権利と義務の全てが移譲されていくわけで、相続をしたいと言っても、良い話ばかりがあるわけではないのです。
 
 
◆なるほど。分かりました。
 
◇しかし、このように、相続人が今まで知らなかった債務までをも負わせてしまうのは酷すぎます。そこで、民法915条では、遺産の承認・放棄の期間を設けて、相続人に、どちらを選ぶかの選択の自由を与えています。この規定によれば、相続を承認するか放棄するかは、その開始を知ってから三ヶ月以内とされています。
 
 
◆相続を承認するか放棄するかは、三ヶ月以内に判断すればいいんですね。
 
◇はい。この期間内に遺産の内容を調査して、債務が多すぎて相続を放棄したいときは、家庭裁判所にそのむねを申請します。放棄は各相続人が単独で行うことができます。言い換えれば、放棄したい人は、全員放棄の手続きが必要になります。相続人が海外旅行中であったり、遺産内容の調査に三ヶ月以上必要な時は、家庭裁判所に申し立てれば、期間を延ばすことができます。未成年者に関しては、親権者や後見人などの法定代理人が代行します。
 
 
◆なるほど。
 
◇補足ですが、相続財産が全くないと信じて、そのように信じたことについて正当な理由がある場合は、三か月の期限は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時から進行するという判例もあって、亡くなってから三ヶ月以上経っていても相続放棄ができる場合もありますので、不安であれば、まずは弁護士に早めにご相談ください。
 
 
◆そうですね。相続はだれもが経験することで、色々なケースがあると思いますので、少しでも疑問なことがあれば、専門家に相談した方が良いですよね。
 
◇お願いします。もう一つ、相続放棄に関連する質問を紹介します。「父が債務を残したまま亡くなった後、自宅の父の引き出しから100万円見つかりました。葬儀のために遠方から帰ってきた兄弟に、足代として20万円ずつ分けて渡しました。その後、家族と話し合って、借金の方が多かったので、相続放棄をしようと思ったのですが、遺産を一度受け取ったら、相続放棄はできないのでしょうか?」というものです。
 
 
◆どうなんですか?
 
◇遺産の中には、債権も債務も含まれています。相続人の負担を軽くするため、債務の多すぎる相続は放棄したり、限定相続ができるように規定されています。といってもこれが可能なのは遺産に手を付けられていないことが条件になります。相続の方式が決まる前に相続人が遺産に手を付けてしまうと、放棄や限定相続ができなくなります。これは遺産の範囲が不明確になって混乱を生じさせないためです。
 
 
◆では、この場合は遺産に手をつけているので、相続放棄は出来ないんですか?
 
◇はい。民法921条には法定単純承認という規定があり、ここに規定された行為をしてしまうと放棄などはできなくなります。例えば、遺産の一部を処分した時や、遺産を隠蔽、消費した時です。ご質問のケースでの20万円は、遺産の一部の消費に該当し、単純承認したとみなされますので、その後の相続放棄はできなくなります。ささやかな品物の形見分けは、この範囲には入りませんので大丈夫です。
 
 
◆今日は「相続放棄」について、実際にあった質問に答える形で教えていただき、とても分かりやすかったです。実際には「相続放棄」する人は多いんですか?
 
◇そうですね。結構多くいらっしゃいます。
 
 
◆分かりました。有近さん、今日はありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。
 
 
◆このコーナーではリスナーの皆さんからの質問やご相談を募集しています。何でもお寄せください。当番組には有近さんをはじめ、色んな分野の専門家とのネットワークがありますので、番組を通して丁寧にお答えいたします。採用された方には終活カウンセラー協会監修によるエンディングノート「マイ・ウェイ」をお送りいたします。

特殊詐欺
2024/04/06放送
出演者
NPO法人 山口県終活支援協議会 理事長 徳沢 靖 さん

◆今週も先週に引き続き、NPO法人 山口県終活支援協議会 理事長 徳沢靖さんにお越しいただきました。とくさん、おはようございます。
 
◇おはようございます。
 
 
◆先週は先日、周南市で開催された終活カウンセラー協会の勉強会で、とくさんがお話された「高齢者の薬物依存」について、ご紹介しました。今日は何についてお話しされますか?
 
◇今日はその勉強会を振り返るシリーズ第二弾として「特殊詐欺」についてお話ししたいと思います。今回は最近の特殊詐欺の傾向なども踏まえて説明いたします。
 
 
◆分かりました。ではよろしくお願いします。
 
◇はい。まず、最近の山口県における特殊詐欺の動向なのですが、結論から言いますと最悪な状況となっています。被害額を見ましても昨年1年間の被害額は約1億7000万円でした、それが今年は3月末の時点で2億円を超え、昨年1年間の被害額をすでに上回っています。
 
 
◆今の時点で、すでに昨年1年間の被害額を超えてしまったんですか?
 
◇そうなんです。特殊詐欺の新しい手口としてSNS型投資勧誘詐欺なるものが昨年7月から急激に発生してきています。先月、宇部市で発生した80歳代の方が被害にあった詐欺事件も、また岩国市の事件もこの手口でした。
では、どのような手口かと言いますと、まず、以前から特殊詐欺の10分類に入っている「金融商品詐欺」の発展系のようなものです。これは価値が全くない未公開株や高価な物品等について嘘の情報を教えて、購入すればもうかると信じ込ませ、その購入代金として金銭等をだまし取る手口です。
 
 
◆これは以前からある「金融商品詐欺」の手口ですね。
 
◇はい。次に最新の手口である「SNS型投資勧誘詐欺」について説明します。これはSNSを利用するもので、SNSに投資の広告を出します。応募者に対して少額の出資を促し、出資者に偽造された収支の報告書を提出します。この時、当然のごとく高配当となっていますので、出資者に対してさらなる増額を促します。このようにして大金を出資させるのですが、インターネット上に、この詐欺犯人は会員専用のホームページを作っており、騙された出資者は、このホームページで自分の運用状況を確認することができます。もちろん、完全に大嘘のバブリーな成績が表示される訳で、今までの特殊詐欺のように声のみで騙していたものから、このようにデータをネット上に表示させるなどの新しい手口となっています。そして出資者が換金しようとすると、手数料名目でさらに金銭を要求し、換金まで2ヶ月かかる等と言って時間稼ぎをした後に姿をくらませます。
 
 
◆ホームページを作ったり、嘘の運用状況を作成するなど、すごく巧妙で、相当な知識がないとできないですね。
 
◇そうなんです。今回の宇部市の場合は結局、約7000万円を騙し取られた事案で、その背景には高齢者のデジタルリテラシー、要するにパソコン技能の向上があります。スマートフォンやパソコンの操作をいとも簡単にできる高齢者も多くなり、そこをつかれた形になっています。最も、この手口は若年層にも適応しており、年齢を問わず被害に遭っているようです。
 
 
◆パソコンやスマホを十分理解し、使いこなしておられる高齢者に対する特殊詐欺なんですね。
 
◇実は、これには背景があって、現在、国をあげて貯蓄よりも投資を推奨しています。また、NISAの緩和等により国民全体に投資機運が高まっていることから、このような投資目的の詐欺が発生してきているのではないでしょうか。
 
 
◆確かに国が投資を推奨してますし、先ほどのように巧妙であれば、騙されるかもしれませんね。
 
◇そしてここからは報道もされていませんし警察や自治体からも発表されていないのですが、私ども終活総合研究所の独自調査から、全国的な傾向についてお話しします。
 
 
◆お願いします。
 
◇まず、山口県においてたった3ヶ月間で昨年の特殊詐欺被害額を超えたことをお話ししましたが、これは山口県に限ったことではなく、全国的な中小都市や県における傾向といえそうです。特殊詐欺については各種の報道や広報により、かなり一般的に認知されてきましたので、特に都市部では高齢者の自衛意識も高く、発生は減少してきています。反面、地方ではまだまだ防犯に対する意識が低く、言い方は悪いのですが、対象者がスレていないためにターゲットにされやすいのではないかと思われます。
 
 
◆分かるような気がします。
 
◇また、特殊詐欺の実行犯については、いわゆる「闇バイト」によるものが多く、同じく都市部では若者も「闇バイト」に対する警戒感が強くなっていることや雇用状況の好転から、それなりに稼げる状況であり、無理をしてリスクを取る必要性がなくなってきました。反面、地方では、まだまだ雇用情勢は厳しく、賃金も低いことから高い給料のバイトに魅力を感じる若者も多いようです。よって特殊詐欺についても最も逮捕されるリスクのある「出し子」などの実行犯は、地の利のある現地採用が多くなってきているようです。さらに警察や地域による強い暴排活動により暴力団組織などの反社会的勢力は表に出なくなり、一般人に紛れて若者に対して闇バイトなどを持ちかけたりしているようです。
 
 
◆新手の特殊詐欺は、都会よりも地方の方がやりやすい条件が整っているということでしょうか。
 
◇そうです。このように高齢者に対する特殊詐欺については、被害者対一人の犯人ではなく、被害者対多くの悪人と考えた方がいいようです。多くの人間が寄ってたかって一人の高齢者に襲いかかる訳ですから、被害が減らないのも理解できる気がします。
 
 
◆今後は、警察・自治体・地域などがさらに連携し、きめ細かく対応していく必要がありますね。とくさん、今日も大切なお話、ありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。