2010年10月 アーカイブ

宇宙と南極に行ってきました!

2010年10月29日 カテゴリ:お天気や

今週は急な冬のような寒さ、そして季節外れの台風と
天気の話題には事欠かなかった状況だったのですが、
そんな時期に3日間の休暇を頂いていました。
実は休暇を利用して
「宇宙」と「南極」を体験してきたのです!
 
「宇宙」とは、茨城県つくば市の「JAXA筑波宇宙センター」。
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以前、ブログで、
私の気象予報士の原点は「宇宙」にある、という話を書きましたが、
日本における宇宙開発の聖地のひとつが、ここになります。
 
今年は山崎直子さんなどの宇宙飛行士の活躍や、
幾多のトラブルを乗り越え日本に帰還し、
世界中に日本の宇宙開発技術の高さを示した
小惑星探査機「はやぶさ」など、
宇宙の話題が豊富な年でもありました。
ここには、ロケットや人工衛星の模型などが展示され、
日本が取り組んできた宇宙開発について、学ぶことができます。
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宇宙服は、顔を出して記念撮影することもできますよ。
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そして「南極」とは、こちらの船。
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南極地域観測隊の輸送支援任務で、
25回に渡って日本と南極を往復した
南極観測船「しらせ」です。
おととしに退役し、解体される運命だったところを、
民間気象会社ウェザーニューズが購入したもので、
現在は千葉県船橋市に、
いつでも再び航海に出られる形で係留されています。
南極観測としての任務は終えましたが、
気象や環境問題の情報発信の場にする目的で一般公開されています。
(見学には事前に申し込みが必要です)
 
写真では分かりにくいかもしれませんが、
全長134メートルもある巨大な船。
また、内部は非常に急な階段があったり、
隊員が寝泊まりした部屋の様子などが、
現役の時のままの様子が残されています。
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面白いのは、船の中に理髪店がある、というところ。
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ただ、メニューは虎刈りのみ。
実は、理容師がいる、というのではなく、
隊員同士がお互いに頭を刈るのだそうです。
何ヶ月にも及ぶ長い航海になるので、誰も髪型を気にしないのだとか。
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デッキからは、東京湾が一望でき、
遠くに建設中の東京スカイツリーも見えました。
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私が行った時は、あいにく曇り空でしたが、
天気が良ければ富士山も見えるそうです。
 
南極観測任務の厳しさや、幾多の困難を乗り切ってきた歴史を
肌で感じることができる場所でもあり、
気象を志す人などには新たな観光名所になりつつあるようです。
 
「お休みなのに、全然仕事から離れてないじゃん!」という声が
聞こえてきそうですが、
こういった「大人の社会見学」も、なかなか新鮮なもので、
心身ともにリフレッシュできた旅でした。
「宇宙」も「南極」も、山口からは少し遠いのがネックではありますが、
関東方面に行く機会があれば、皆さんもぜひ、足を運んでみてくださいね。

さよなら 山口測候所

2010年10月 1日 カテゴリ:お天気や

ついに、この日がやってきました。
昭和41年の開設以来、山口の気象観測を続けてきた「山口測候所」が
有人による観測を終了し、10月1日から無人化されました。
無人化直前の測候所を取材した模様を
「スクープアップやまぐち」「さわやかモーニング」で
紹介しましたが、ご覧頂けましたでしょうか。
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山口測候所には、仕事柄、度々、取材などでお世話になりました。
測候所の無人化は全国的な流れで、
全国96ヶ所あった測候所が順次、無人化されていましたが、
山口測候所は県庁所在地にある、ということが関係していたのか、
これまで無人化の波にのまれずに済んでいました。
しかし昨年末、「山口測候所も無人化」の知らせが届き、
「ついに来たか…」と、がっくりしたものです。
今年の10月1日で、山口測候所を含む全国6ヶ所の測候所が無人化され、
測候所は残り2ヶ所を残すのみとなりました。
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測候所の仕事は、正確に気象観測を行い、記録を残す、という
非常に地味な作業ですが、
観測データは、日々、積み重ねることで
長期的な気候変動を知る上での、信頼性と価値が高まります。
全て手作業だった昔の観測記録からは
正確に記録を残し、後生に繋げよう、という熱意が伝わってきます。
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今は、ほとんどの気象観測は機械が自動で行い、
観測データも即座にデータベース化されます。
このような業務の自動化が、測候所無人化の大きな理由ですが、
初霜、初氷、初雪、初冠雪など
人間の目で観測する季節現象などは、
無人化に伴い、観測は途絶えることになります。
去年11月4日に取材した初霜が、
測候所の歴史の中で最後の初霜になりました。
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今後、測候所から季節の話題が発信されない寂しさもありますが、
このような季節現象も、観測方法はアナログながら
長年、観測データを積み重ねてきたことで
季節の歩みを知る貴重な資料となってきたこともあり、
それが観測の断絶で価値を失うことにも、残念な思いがあります。
 
無人化に伴って、測候所の職員は各気象台に転勤となり、
各地の気象台で、より充実した防災気象情報の発信に
力を注いでいく、ということです。
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限られた予算の中で、初霜や初氷などの観測のために
人を常駐させるのは難しい現状もありますし、
近年、防災における気象情報の役割は一段と高まってきています。
今回の測候所の無人化で、失うこともありますが、
今後、それ以上に価値ある情報が生まれることを期待しましょう。
 
また、初霜、初氷などは、
あくまで測候所からの情報発信がなくなるだけです。
私の天気コーナーでは、測候所の情報は途絶えても、
季節の話題は大切にしていきたいと思います。
そんな時に頼りになるのが、皆さんからの季節感タップリのリポート。
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皆さん、ひとりひとりが測候所職員の気分になって
霜や氷などに限らず、あらゆる季節や天気の話題を
tenki@kry.co.jpまで、お寄せ下さい。
山口測候所は無人化になっても、
代わりに山口県内の各リポーター測候所が
価値ある情報を生み出してくれるはず…と信じています!