NO.132 ブルトレが紡ぐ縁

2009年3月13日 カテゴリ:ダメだコリャ

JRの寝台特急ブルートレインが今日の出発を最後に引退となる。
僕はマニアではないがこの寝台特急はよく乗った。
山口~東京までは10時間以上、新幹線とは
くらべものにならないくらい時間がかかるが、
その時間が楽しいのだ。ビール片手に
新聞・雑誌・本を読み、時折車窓を眺め「ぼーっ」とする。
このゆったりした時間の流れがたまらなく好きだった。
 
今から16年前。
はじめて徳山に来たのは大学4年のアナウンサー試験の時。
寝台列車で行った。B寝台に乗り込んですぐ、
車掌さんに“翌朝起こしてもらえるよう”頼んでいた所、
隣の座席のおじ様が
『徳山の手前で降りるから起こしましょう』と声を掛けてくれた。
笑顔のやさしい紳士だった。
それがきっかけでビールをご馳走になり、
寝るまでいろんな話をした。
東京出身の事、アナウンサー試験の事、山口のこと。
おじ様は関東に勤めていて、定年直前の数年間、
地元山口で働くための段取りをしに光に向かう出張だった。
翌朝別れ際に、もしアナウンサーになって
山口に住むことになったら連絡を…と名刺をいただいた。
入社が決まり山口に引越して来た僕は、
その連絡先にハガキを出した。
 
しばらくして――。
入社3ヶ月、研修期間が過ぎ、
テレビニュースの初鳴きを終えた頃だった。
そのおじ様からウィスキーが届いた。
『デビューおめでとう。観ていますよ』というカードとともに…。
それは新入社員の僕には買えないような高級酒。
嬉しかった。少しずつちびりちびり飲んだ。
以来、おじ様との賀状のやりとりは、今も続いている。
これもブルトレが紡いだ縁である。