NO.78 タカシVS見習いサンタ

2007年12月21日 カテゴリ:ダメだコリャ

クリスマスの思い出。20年も前の事。
高校生の裕君は大型ショッピングセンターの
おもちゃ売り場でアルバイトをしていた。
その年「ここで買うとサンタが当日届けますフェア」を行い大盛況。
おもちゃが売れるに売れた。
こんなに売っても誰が届けるんだろうと思いながら
ひたすら売っていた。
 
そして、イブ前日。
店長から呼び出され「ハイ手出して」と
手渡されたのはサンタ変装セット。
「えっ僕がサンタ役!?まだ17ですよ。」
「いや、君が適任だ。頼んだよ」
何でも配達の赤ぼ○の車が客の家まで連れてってくれるとの事。
 
クリスマスイブは寒い一日だった。
店でサンタスーツに着替える。赤白のスーツにヒゲもつけた。
そして、赤ぼ○に乗り込む。荷台にはたくさんのプレゼント。
 
1軒目到着。ピンポーン。
母)あっタカシ!!サンタさんかな!?
ドタドタドタっ…。元気な子供が階段を下りてくる。ドアが開く。
 
裕サンタ)ハ~イ、メーリークリスマス!!
ホントは気乗りしない裕君。
でも子供の夢を壊してはいけない。
僕なりに精一杯演技をしてみた。
 
裕サンタ)タカシ君かい~、いい子にしてたかな~。
 
タカシ)うん!!
 
裕サンタ)じゃぁ、プレゼントをあげよう。
 
タカシ)うん!!やったぁぁ。
やってみると結構楽しい。僕の演技も乗ってきた。しかし…
 
タカシ)あああ!!このサンタのひげウソものだぁぁ。
    ママ、若いよウソもんだよこのサンタ!!
俺のヒゲを引っ張りながらほざく。でも、ひるんではダメだ。
 
裕サンタ)タカシ君。サンタさんは世界中の多くの子供達に
      プレゼントを配らなきゃならないだろう。
      だからサンタさんはいっぱいいるんだ。
      僕はサンタさんの見習いなんだよ。
 
タカシ)ふ~ん。なあんだ見習いかぁ。でも、トナカイやソリは?
そうか・・・。いや、子供の夢を壊してはならない、まだ踏ん張る。
 
裕サンタ)そうだよね、タカシ君。
      でも、今、東京は雪が降ってないだろう。
      だから、ソリには乗れないよね。
      ほら外見てごらん、その代り真っ赤な車に乗って
      よい子のみんなのお家を回ってるんだよ。
 
タカシ)へぇぇ、そうなんだぁ。
ようやく納得。「勝った!!」
 
今年も子供達の夢を必死に守る大人たちの奮闘が
繰り広げられることだろう。
そんな大人達に…「メリークリスマス!!」