NO.73 スイッチオン!

2007年10月29日 カテゴリ:ダメだコリャ

僕は3人姉兄の末っ子。姉→兄→僕の順である。
小学校低学年時代の裕少年は、兄のリモコンだった…。
我が家のリモコン付きテレビの導入はことのほか遅く、
ボタンチャンネルTVの時代が長かった。
今思うと、僕がリモコンだったからかもしれない。
 
当然、6歳年上の兄には力では到底敵わない。
「テレビにィ~スイッチオン!!」
兄ちゃんの掛け声がかかると、
テレビにすっ飛んで行ってスイッチを入れる。
そして、そのままテレビの真横に鎮座。
兄ちゃんが、
「はい4チャン、はい6。次8チャン、ちょっと4戻って、
 あ、やっぱりいいや、はい10。
 12チャンは飛ばしてまた4チャン。音!音聴こえねーよそれじゃぁ。」
(ちなみに関東地区では当時、日テレは4チャンネルで
 そこからTBS、フジ、テレ朝、テレ東…と続いていた)
 
テレビのチャンネルチェンジが落ち着くと、今度は
「2階の俺の部屋の机に置いてあるマンガ取ってきて」と兄。
「え~やだよ~TV見てるもん」と裕少年もちょっとだけ抵抗を試みる。

「早く行けよ!!10・9・8・7・6・5・4…」
この声がかかるとつい体が反応してしまう。
嫌々ながら2階に駆け上がり、
きったない勉強机を探す。でも見つからない。
やばい、時間がかかりすぎている…焦る高橋少年。
どっ、どっ、どっ、どっ。ゆっくり階段を上がってくる。
やばい兄ちゃんが来る!!
部屋に入ってきた兄ちゃん、
勉強机ではなく、こたつのテーブルを探し始めた。
マンガはそこにあった。
「あるじゃねーかよー、テーブルの上に(怒)!!」
えっ!?…机の上って言ったのに。そ・そんな理不尽な…。
 
30年経った今、正月などで集まると必ず出る思い出話である。
ちょっとバツが悪そうな兄ちゃん。
でも
「あれはお前を鍛えてやっていたんだよ、
 その証拠に強い男になってるじゃねーか」
そんな兄ちゃんが大好きだ。