NO.53 小遣い日

2007年5月25日 カテゴリ:ダメだコリャ

25日は給料日。
と言う事は、高橋家の主である私の小遣い日である。
いや~、待ちに待っていた。
今月もプロレス雑誌や食玩など欲しいものがたくさんだ。
 
小学生の頃。
小遣い日の駄菓子屋はいつにも増して賑わう一日だった。
金持ちの子もそうでない子もこの日ばかりは思う存分遊べるのだ。
 
ある月の小遣い日。
6才年上のちょっと豪快な僕の兄が、
なんと店に出たばかりのクジを全部買い占めると言い出したのだ。
1等賞品は誰もが羨む「超特大クリスタルスーパーボール」。
これを手に入れたら、兄ちゃんは町内のヒーローだ。
 
1回10円で30組だから300円。
「おばちゃん全部!!」ともらったばかりの全財産をハタくと、
なぜか店のばあさんの表情が引きつっていた。
僕も手伝って30組全部を開けたが…1等がない。
1等どころか2等3等もないのだ。
 
おかしい。出たばかりで全部買い占めたのに当たりがない。
何故だ。もしかしてヤシか!?と思った瞬間、

「なんじゃー、ばばあ1等どこにあるんだー」と涙ながらに兄が吠えた。
 
当たりクジは古びたレジのコイントレーの下に隠してあったのだ。
うーん・・・。
 
その日から兄は町の子供たちの
羨望の眼差しを受けるヒーローになっていた。
なかなか触らせてくれなかった。
あの超特大クリスタルスーパーボールは
今どこにしまってるんだろうか。
それにしてもあの時の兄ちゃんカッコ良かったなー。