全国へ…王手(1)

2009年11月10日 カテゴリ:高校蹴球09-10

土曜日は下関・乃木浜
日曜日は山口・維新公園
 
待ちに待った芝のピッチで繰り広げられた準々・準決の6試合
 
両日ともとにかく、日差しが強かった!
暑すぎるくらいのコンディション
特に乃木浜の県大会準々決勝がこんな好天だったのは記憶にない
もちろんシャツは腕まくりで観戦させていただいた
 
乃木浜は2面あるピッチで同時にキックオフされる
どちらかをメインに、またその試合越しにもう一方を見つめる
4試合全てをつぶさに見られないのが残念だった
 
【11/7(土)・準々決勝】
小野田3-1豊浦 (前半0-0、後半3-1)
 
進学校同士の対決、ということは
「IH予選に3年生が受験勉強で引退した、新チーム同士」
 
ではあるが、
豊浦は2月の中国新人予選で高川学園に土をつけたチーム
その時出場した選手も、もちろんいる
この試合では得意のサイド攻撃で小野田ゴールに迫った
  
一方の小野田
こちらは前チームの主力3年生が3人残り
宇部小野田地区特有の個人技・パスワークで打開を図る
前半はどちらも決め手に欠き無得点
 
力が互角なら一瞬の流れやミスで点が入るもの
 
豊浦がGKとの1対1を外した6分後、小野田がミスを突いて先制点
やや押され気味だった小野田 ここで一気に勢いがつく
流れを掴んで先制の5分後、綺麗に崩して追加点
更にそのまた3分後に3点目…つまり8分間に3得点
つくづくサッカーって、怖い
 
敗れた豊浦
事前に頂いたアンケート用紙のスタメンと
準々決勝当日のメンバーに1人食い違いがあったので聞いてみた
笑顔を崩さず取材に応じてくれた田丸監督、表情が曇った
「新型インフルエンザだったんです…それも今朝急に」
もうそれ以上聞けなかった
 
全員が1・2年生のチームだったのがせめてもの救いだった
 
【11/7(土)・準々決勝】
慶進3-0聖光 (前半1-0、後半2-0)
 
残念ながら残留はできなかったものの、
今年念願の「プリンスリーグ中国」に初めて進出した聖光!
集大成の選手権でもシードされ、創部以来初のベスト8進出
「秋以降も芝での練習試合を重ねてきました」
山本監督も手ごたえを掴んだ様子だった
 
去年の選手権予選準優勝の慶進は今年ノーシードから8強へ
しかし3回戦では第2シードの下関工を下して勢いに乗っている
 
前半立ち上がりは聖光ペース
得意の芝ピッチ上でテクニックのあるプレーを展開した
しかし徐々にリズムが単調になってしまった
立ち上がりをしのいだ慶進は20分頃から中盤がつながり始めた
リズムを掴むと今度は聖光のお株を奪うサイド攻撃で先制!
その後も去年のチーム同様声を出し合い、
プレスの足を止めず、流れを聖光に渡さなかった
 
「やれてる!大丈夫!慌てないで最初からやろう」
ハーフタイムの指示を受け、聖光は後半再び立ち上がりを攻めた
パス・ドリブル・クロスetc 本来の聖光に戻ったかに見えた
ただ、攻めた分だけ、DFもろともどうしても前がかりになる
そのDF陣を、慶進は後半から出場の
FW15番・原田選手が執拗にチェイスする
 
後半7分、その献身的なプレスがオウンゴールを誘い慶進追加点
またしても我慢の守備から流れを取り返した
 
2失点後、聖光は選手交代・ポジションチェンジと次々に策を講じた
更に、前半から足を止めなかった慶進は疲れが見えてきた
後半15分過ぎからはほぼ一方的な聖光ペースになった
個人技に対する慶進のファウルも増え、
聖光はフリーキックから何度も決定機を迎えた
 
しかし…試合残り3分で、慶進ダメ押しの3点目
ボールを奪ったら周りがすばやく反応し最後は5蔵重選手
左45度からのファインゴールに場内は大きくどよめいた
 
終わってみれば慶進、多くが足を痙攣させながら完封勝利
 
コーナーキックは4対3とわずかに上回ったものの、
シュート数は聖光14に対し慶進13
数字的にはほぼ五分、そして3点差決着という現実
聖光・山本監督も「してやられました…慶進の粘りは凄いですね」
有望な1・2年生が多くいるチーム・聖光!来年の巻き返しに期待
 
一方のピッチでは岩国が山口に敗れ、
これで今大会のシード8チームは全て姿を消した
ここまで全てPKで勝ち抜いた防府西も
西京に対しては粘りきれず涙を飲んだ
 
【11/8(日)・準決勝(1)】
山口2(延長)1小野田
 
2回戦でIH出場の高川を下した山口は実に12年ぶりの準決勝
準々決勝も8-0と岩国に快勝し、更に地元の声援が後押しする
 
小野田は前日の快勝の一方で、DF陣の多くに疲れから来る痙攣があった
ただでさえきつい連戦に暑さまで加わり、どこまで粘れるか?
 
下馬評では山口優位の声だったが、
前日の疲れは山口にも影を落としていた
足の重い山口に対し立ち上がりの小野田は
セットプレーから2度決定機を作った
 
一方の山口、前半20分に縦パスから先制に成功…
そのままハーフタイムへ
一気に仕掛けたいはずの山口だが後半に入ると更に動きが落ちる
後半半ばには足をひきずる選手が増えてきた
 
ちょうどその頃から小野田の逆襲が始まった
 
少し雑だったパスがつながり始め、
後半21分にはピッチを広く使った展開で
9久保選手の美しい同点ゴール!!
その後は一気に押せ押せの展開になった
 
追いつかれた後一気に足が止まった山口だったが
DFがすんでの所で踏ん張りきって、延長戦に望みをつないだ
 
今大会初の延長戦に異様なムードの維新公園
立ち上がりは引き続き小野田のペースだったが…
延長前半6分、クロスから痙攣に苦しんでいた
10大和選手が乾坤一擲のヘディング
気持ちで押し込んだ勝ち越し弾だった
 
小野田も延長後半まで諦めずにシュートを重ねたが、ついに届かず
決勝進出最初のキップは山口がもぎ取った
15年ぶりの決勝進出に、地元の声援が悲鳴に変わった
 
敗れた小野田・大井監督、2年前準決勝で敗れた雪辱は果たせず
「山高さんの粘りを見習って、また出直しです」
 
【11/8(日)・準決勝(2)】
西京0-0 PK5-3慶進
 
去年の決勝と同じ顔あわせ
あの時は地力に勝る西京が逆転勝利を収めた
リベンジか、返り討ちか…
 
ボール回しは西京に分がある
春~夏にかけての不調を感じさせない展開力でシュートを連発
しかしある時はGK正面、ある時は枠の外
 
慶進も立ち上がりから決して悪くはない
前半のシュートの数こそ西京の半分だったが、集中力は高かった
声を掛け合い、足を伸ばし、体を張る
見ごたえ充分の前半戦!本当にあっという間にハーフタイムを迎えた
 
後半に入ると今度は風上の慶進が攻勢に転じた
しかし半ばを過ぎて、昨日の疲れの影響が足取りに現れた
攻守の切り替えの速さに攻め手を失っていた西京も疲れは同じ
後半30分を過ぎるとお互いコントロールミスが目立ち始めた
 
暑さが、蝕んでいく…第2試合も延長突入
 
何とか事態を打開したい両雄、
シュートを打ち続ける慶進、中盤で組み立て反撃する西京
とそこへ、西京・兼行監督が動く
GKを12番大島選手から、168cmと小柄な20梶原選手へスイッチ
PKをにらみ、賭けに出た
 
100分走り続けた2校によるPK
先行の西京がまず決めたあと、慶進の一人目
少し長めの助走から放ったキックは、
GK梶原選手どんぴしゃでブロック
 
西京の賭けは、見事当たった
 
ノーシードから2連覇に挑戦する西京、
去年はIH予選・全国選手権とPKに屈したが、
この大会早くも2回目のPK勝利
これが「経験」のなせるワザかもしれない
 
試合後慶進・武重監督は選手に声をかけた
「去年の決勝では3点取られた。今日は取られなかった。
 それだけでもよくやった!
 でも…維新公園で2年続けて西京に負けた、
 その悔しさをお前ら、絶対忘れんなよ!」
 
涙が止まらない3年生、残っていたのはわずか4人、
しかし慶進のその学年は、新入生で入部した時点から
この4人だけだった
それでも2年連続で維新公園までやってきた
今年も本当に「魅せて」くれました
 
全国へ、残すは2校
高校サッカー選手権・山口大会決勝は
いよいよ今週土曜正午キックオフ
17年ぶりの山口か?はたまた西京の2連覇か?
 
今日から竹重、直前取材に赴きます!!