転ばぬ先の知恵
◆今週と来週は「マネー、お金」について学んでいきたいと思います。老後を元気に楽しく豊かに過ごすためには、健康であることとともに、財産やお金の状況を把握しておくことも大切なことですよね。スタジオには4 U LIFE Planning株式会社 代表取締役社長の渡辺淑仁さんにお越しいただきました。渡辺さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆まずは渡辺さんのプロフィールをご紹介しましょう。渡辺さんは1988年山口市のお生まれで現在36歳。近畿大学をご卒業後、ALSOKに就職されましたが、プルデンシャル生命保険からスカウトされて転職、2年目に全社で8位の売り上げを達成するなど活躍されました。その後お客様からの要望も増え、次第に老後のお金、相続、住宅ローン、年金、など保険以外の相談も多くなりました。そこで2019年6月、お金に関わることは何でも相談できる「一家に一人お金の先生」として、山口市大内に「4 U Life Planning株式会社」を設立されました。という「お金の先生」の渡辺さんですが、今日はどのようなお話しをしていただけますか?
◇はい。「老後のお金の使い方 マネープラン」についてお話ししようと思います。
◆「老後のお金の使い方マネープラン」ですね。よろしくお願いします。
◇皆さん、お金の話って、どうやって増やすの?どうやって節約するの?っていうイメージが強いかもしれません。60歳以上になったらお金の大事なことって、実は、健康でいることなんです。
◆ほう!健康でいることが大事なんですか。
◇お金は貯めるだけでも、増やすだけでも使えなかったら意味がありません。若いころから頑張って節約し、コツコツ貯めてきた。それはすごく素晴らしいことです。しかし老後に体が悪くなって、食べたいご飯も食べられない、行きたい旅行にいく元気もない、病気になって、やりたいことができない…そうなったら本末転倒なんです。
◆その通りですね。いくらお金があってもやりたいことが出来ないのでは面白くないですよね。
◇とはいうものの年金が少なく生活するだけで精一杯…。という方もいらっしゃるかもしれせん。またどれくらいのお金が使えるのか分からないという方もおられるかもしれません。元気なうちにやりたいことをやることも大切ですが、その前に自分にはどんな収入があるのか、生活費はどれくらい必要か、またこれからの生活で使える預貯金や財産がどれくらいあるかなどを調べることは重要なことで、今からの自分の人生をお金の面からシミュレーションしていくことが「老後のマネープラン」なんです。
◆非常に大切なことですね。「老後生活の具体的なイメージが湧かない」など漠然とした不安をお持ちの方も多いと思います。「老後のマネープラン」について詳しく教えてください。
◇分かりました。まずは現在の「家計の収支チェック」からです。
◆現在の「家計の収支チェック」ですね。
◇はい。収入の中心は公的年金になると思いますが、まだ働かれている方も多いと思いますし、アパート経営など他の収入がある方もいらっしゃるかもしれません。その月額の収入金額を出しましょう。支出は食費、住居費、光熱費、保険・医療費等になりますが、まずは2~3ヶ月家計簿をつけてみて、支出金額を出しましょう。
◆平均的な家計の収入と支出の統計などはありますか?
◇はい。2021年の総務省「家計調査年報」によりますと、世帯主が65歳以上の高齢者夫婦無職世帯における月の平均収入は約23.7万円、月の平均生活費は約25.5万円で、月々1.8万円のマイナスとなっています。
◆月の平均収入は約23.7万円、平均生活費は約25.5万円で月々マイナス1.8万円なんですね。
◇そうです。続いて行うのが、現在の財産の整理です。これは退職金、預貯金、不動産、保険、有価証券、その他の財産などプラスの財産とともに住宅ローン、カードローンなどの負の財産も整理が必要です。
◆「家計の収支のチェック」の次は「財産の整理」ですね。親からの相続財産も入りますよね。
◇もちろんです。それから今後のライフプラン(人生設計)を考えてください。今後の人生をどう生きていきたいか。それに沿ってお金もかかります。家のリニューアル、車や家電・家具の買い替え、夫婦での海外旅行、子どもの結婚資金援助、孫のお祝いなど特別な支出を見積もりましょう。また将来の介護費用も考えておく必要もありますね。
◆「趣味・楽しみ」も入るし、将来の介護費用も想定するということですね。
◇そうです。以上の「家計の収支」「財産の整理」「今後のライフプランに伴う特別な支出」、これら全て洗い出すと、老後の収支予測が出て来ます。
◆収支がプラスで、財産が十分に残りそうだと良いのですが、財産が底をつき、マイナスになると困りますよね。
◇いえ、この時点で問題を発見し、家計の見直し・対応策を考えることが大事なんです。将来の家計収支における課題が何なのか、分かるのが早ければ早いほど対応策が考えられます。
◆老後収支を改善するには何をしたらいいのでしょうか?
◇やるべきことはシンプルで、3つあります。
1.収入を増やす
・働く…出来るだけ長い期間、自分らしく働く。出来れば家族で。
・年金の繰り下げ受給
2.支出を減らす
・無駄をなくす…保険の見直し、車の売却、住宅ローンの繰り上げ返済、スマホの見直しなど
3.貯める
・資産の活用
・iDeCo、つみたてNISAなどの活用
・不動産の活用…アパート、駐車場賃貸など です。
◆「人生100年時代」と言われるようになり、人生後半期が長くなりますので、老後の収支予測をすることは重要なことですね。
◇その通りです。老後の収支予測をし、それに応じた対応をすることが「老後のマネープラン」です。
◆渡辺さん、よく分かりました。今日はありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆先週と今週は「食事・栄養」について学んでいます。スタジオには下松市食生活改善推進協議会 副会長の合田弘子さんにお越しいただきました。合田さん、おはようございます。
◇おはようございます。よろしくお願いします。
◆先週は「低栄養によるフレイルを予防しよう」というテーマでお話しいただきました。今日はどのようなお話をしていただけますか?
◇今週は「中食(なかしょく)・外食を上手に利用しよう」というテーマでお話ししようと思います。
◆今日のテーマは「中食・外食を上手に利用しよう」ですね。外食は分かりますが、「中食」とはどういうものですか?
◇はい。中食とは、惣菜店やコンビニエンスストア・スーパーなどでお弁当や総菜などを購入したり、外食店のデリバリーなどを利用して、家庭外で調理・加工されたものを購入して食べる形態の食事を指します。
◆分かりました。単身世帯、特に高齢者の単身世帯が増えている現状を考えると「中食」の利用者は多いでしょうね。
◇単身者、高齢者の世帯のみでなく、全世帯で中食の利用は増加傾向にあり、健康管理の上でも中食の選び方を考える必要があります。
◆健康管理上、よく考えて買うことが大切ということですね。
◇はい。令和4年県民栄養調査によると、持ち帰り弁当や、レトルト食品や冷凍食品を含む総菜を利用している頻度は、男女とも週2~3回と回答した割合が高かったです。
◆やはり多いですね。
◇ここで、中食・外食のメリット、デメリットを考えてみましょう。まずはメリットです。
①食べたいものを必要な分だけ少量ずつでも購入ができる。
②家事の負担を軽減することができる。
③多様な食品を摂取できるので、栄養バランスを考えて組み合わせることができる。
です。
◆確かに、手軽に色々な食品を必要な量だけ買うことが出来ますし、主婦など家事をする人も楽をしたい時がありますからね。
◇次に中食・外食のデメリットは、
①(購入頻度の調査結果から)コロッケ・鶏のから揚げなどの揚げ物や、おにぎり・サンドイッチ・寿司などの主食中心の購入頻度が高い。
②味の濃い料理や脂肪を多く含む料理が多く、食塩や脂肪の摂取量の増加につながりやすい。
などです。
◆スーパーなどに行くと色々な食品があるので、ついつい好きなものを多く買ってしまうことはよくありますね。
◇そうですね。料理の選び方として、令和4年県民栄養調査よると、「おにぎり」と「うどん」などのように、1回の食事の中で主食同士を組み合わせて食べる頻度は、週に3~4回と回答した割合が高かったです。
◆主食同士を組み合わせて食べることも多いんですね。
◇はい。主食・主菜・副菜をそろえると、簡単に栄養素のバランスを整えることができます。主食中心や主食と主菜を組み合わせた一品料理(麺類・丼・カレーなど)には副菜のサラダなどをプラスしましょう。例えば…
〇「主食のおにぎり」に「主菜の焼き魚」と「副菜のおひたし」を付ける。
〇「主食と主菜を組み合わせたサンドイッチ」に「副菜の野菜スープ)」を付ける。
〇「主食と主菜を組み合わせたお寿司」に「副菜のみそ汁」を付ける。
などです。
◆栄養のバランスを考えて、主食・主菜・副菜をそろえることは本当に大切なことだと思います。
◇そうですね。またサラダの種類にも注意が必要です。ポテトサラダやマカロニサラダは主食の仲間であるじゃがいもやマカロニが主体でできているため、糖質が多く、さらにマヨネーズには油が使われているので高エネルギーです。グリーンサラダ、海藻サラダなど、野菜や海藻が主体のものを選ぶようにしましょう。
◆分かりました。
◇食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店・喫茶店・居酒屋等での外食は、単身世帯が他の世帯よりも多い傾向にあります。外食店を日常的に利用する場合、健康管理のためにも、料理を上手に選ぶことが大切です。
◆単身世帯の方が外食店を利用する際、バランスを考えて料理を選ぶことは大切ですね。
◇そうですね。最後に「中食・外食の利用にあたって気を付けること」をご紹介しようと思います。
◆これは大切なことですね。合田さん、分かりやすくお願いします。
◇はい。市販されているお惣菜やお弁当には栄養成分表示が記載されているので、購入する際の目安にチェックしてみましょう。栄養成分表示を見る際には“どの単位当たりの量なのか”をしっかり確認しましょう。「1枚当たり」「1袋当たり」「100g当たり」などと表示されている場合があるため、自分が食べる量で栄養成分値を確認する必要があります。
◆栄養成分表示を確認、チェックするということは、私たちが栄養成分表示の見方を理解しておくことも必要ということですね。
◇そうです。ファミリーレストランやファストフード店などのチェーン店では、メニュー表に料理に含まれる栄養成分を表示している店もあります。各料理のエネルギーや脂質、食塩量を見比べてから、料理を選ぶ習慣をつけましょう。
◆分かりました。栄養成分表示の見方を理解し、中食・外食を上手に利用して食事を楽しみながら健康づくりに役立てようということですね。合田副会長、今日は大切なお話ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週と来週は2週にわたり「食事・栄養」について学んでいこうと思います。スタジオには下松市食生活改善推進協議会会長の清木貴美子さんにお越しいただきました。清木さん、おはようございます。
◇おはようございます。よろしくお願いします。
◆清木さん、まずは「下松市食生活改善推進協議会」とはどういう団体なのか、教えてください。
◇はい。「食生活改善推進協議会」とは全国規模のボランティア団体で、「私達の健康は、私達の手で」をスローガンに、日本各地で食を通じた健康づくりに取り組んでいます。私たちは下松市内での講習会や調理実習、イベントへの協力など、行政と一緒に食育の推進を図っています。愛称は「食推さん」「ヘルスメイト」と呼ばれており、ピンク色のTシャツ、エプロンを着て活動しています。
◆なるほど、「食生活改善推進協議会」は食を通じた健康づくりに取り組んでいる全国規模のボランティア団体なんですね。山口県の市町にはどこでもあるのですか?
◇はい。上関町を除く13市5町にあります。
◆分かりました。今日はどのようなお話をしていただけますか?
◇今日は「低栄養によるフレイルを予防しよう」というテーマでお話ししようと思います。
◆今日のテーマは「低栄養によるフレイルを予防しよう」ですね。「フレイル」はこの番組でも度々出て来ますが、改めて教えてください。
◇はい。人は年齢を重ねると段々と体の力が弱くなり、外出する機会が減り、病気にならないまでも手助けが必要となってきます。このような健康から要介護の間の虚弱な状態をフレイルといいます。
◆このフレイル状態で気づき、対応すれば健康な状態に戻ることが出来るんですよね。
◇そうです。フレイル予防を意識した取り組みを行うことが大切で、取り組みの柱は「食事」「運動」「社会参加」です。中でも食事については、低栄養の人がフレイルになりやすい事がわかっています。
◆今、清木さんが言われた「食事」「運動」「社会参加」の3つは非常に大切なことで、フレイル予防だけでなく、認知症予防にもなると言われており、健康寿命を延ばす為にも大切なことなんですよね。
◇仰るとおりです。「食事」「運動」「社会参加」はシルバー世代以上の方々には大事なことですので、是非取り組み、続けていただきたいと思います。
◆先ほど、清木さんは「低栄養の人がフレイルになりやすい。」と言われましたが、「低栄養」とはどういう状態なのですか?
◇低栄養とは、日常生活を営むために必要な栄養、特にエネルギーとたんぱく質が不足している状態のことを言います。低栄養になると免疫力が低下し、感染症などの病気を引き起こしやすくなります。また、軽い病気でも回復に時間がかかりやすくなります。やせぎみの人や偏食の多い人は特に注意が必要です。
◆なるほど。「低栄養」には注意が必要ですね。
◇はい。低栄養を防ぐためには、エネルギーとたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。またバランスの良い食事で身体の調子を整えることは、体力や免疫力を維持することにもつながります。今から「低栄養予防のポイント」を5つ紹介しますので、よく聞いていただきたいと思います。
◆大切なことですので、リスナーの皆さん、よく聞きましょう。清木さん、ゆっくりとお願いします。
◇分かりました。低栄養予防のポイントは…
①1日3食バランスよく食べる:食欲がないときや体調が優れないときは、次のような工夫をしましょう。
「少しずつ何回かに分けて食べる」食事をとらないと栄養素が全くとれなくなるため、何か一口は食べるようにしましょう。
「間食で不足している栄養素を補う」間食には、たんぱく質を多く含む食材を使った軽食やお菓子を選ぶと良いでしょう。例えば、ヨーグルトやチーズ、卵が入ったカステラなどがおすすめです。
◆「低栄養予防のポイント」の1つ目は「1日3食バランスよく食べる」で難しい時は少しずつ何回かに分けて食べたり、間食を取り入れたりすることで、不足した栄養素を補うことができるということですね。
◇はい。続いて…
②良質なたんぱく質やカルシウムを摂る:例えば、魚や肉、卵などの動物性たんぱく質や、カルシウムが豊富な牛乳・乳製品を摂りましょう。
③塩分は控えめに:しょうがやシソなどの香味野菜を使用することで、料理の味が引き締まります。また、レモンなどのかんきつ類のしぼり汁やお酢には塩分が含まれていないので、それを料理に使用することで薄味でも物足りなさを感じさせません。カレー粉、わさびなどのスパイスは、薄味でも味にアクセントが出て、食べやすくなります。
◆3つ目は「塩分は控えめに」。しょうがやシソ、レモン、スパイスなどを使い、工夫することが減塩につながるということですね。
◇はい、ご自分で料理される際にぜひ工夫してみてください。続いて…
④水分補給をしっかりする:のどの渇きを感じなくても、お茶や飲み物で1日1200~1400mlの水分を摂りましょう。
⑤楽しい共食の機会を作る:家族や友人と一緒に食事をする機会を作ることにより、食欲が出て食事量が増え、栄養状態の悪化を防ぐことにつながります。お互いが顔を合わせて食事をすることで、精神的・心理的な健康につながります。
◆5つ目の「楽しい共食の機会をつくる」も大切なことですね。一人で食べるのと一緒に食べる人がいるのでは、色々な面で違うでしょうね。清木会長、今日は大切なお話、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。