転ばぬ先の知恵
◆先週は山口県社会福祉協議会の光安さんにご出演いただき、「社会福祉協議会」とはどういう組織かということと、「ねんりんピック」「老人クラブ」について学びました。山口県内の市町にはそれぞれ「社会福祉協議会」がありますが、今日は社会福祉法人 周南市社会福祉協議会 和田地区 地域福祉コーディネーターの津本浩子さんにお越しいただきました。津本さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆今日はどのようなお話しをしていただけますか?
◇はい。今日は「ふれあい・いきいきサロン」についてお話ししようと思います。
◆「ふれあい・いきいきサロン」ですか。楽しく元気が出そうなネーミングですが、これは山口県の市町にはどこにでもあるのですか?
◇はい。山口県のすべての市町にあり、それぞれの社会福祉協議会が運営に携わっています。周南市には約180の「ふれあい・いきいきサロン」がありますが、その内、和田地区には6ヶ所のサロンがあります。今日は私が担い手として企画・運営に携わっています「和田サロン」の活動を紹介したいと思います。
◆分かりました。よろしくお願いします。
◇はい。和田地区は、周南市の西部に位置し緑に囲まれた中山間地域です。「和田サロン」は平成22年5月に発足し、今年で14年目。活動場所は和田市民センターで、月に1回程度・年間10回の開催ですが、「百歳体操」は週1回実施しています。会費は無料です。
◆「百歳体操」とはどういう体操ですか?
◇2002年、高知市の理学療法士が開発した筋肉運動の体操で、今や全国に普及しています。介護予防に効果があり、当サロンでも以前、83歳の方が30kgの米俵を運ぶことが出来るようになり、驚いた事例もあります。
◆それはすごいですね。「和田サロン」に参加されるのはどのような方々ですか?
◇はい。参加者の平均人数は20人~25人、年齢は70代~90代の方々です。高齢者対象のサロンですので、来られたらまず健康チェック、血圧測定をし、近況報告をしてもらっています。私は看護師資格を持っていますので、病気の相談をされる方もおられます。
◆シルバー世代の集まりでしたら、まずは「健康」についてのことが重要ですよね。
◇そうですね。また週1回の体操の時もそうですが、参加者同士で「元気だった?」「じゃがいもの苗植えた」などとおしゃべりに花が咲きます。顔を合わせる事でお互いの安否や健康状態を確認できます。普段のあいさつやお付き合いが増え、地域で知り合いが増え、交流が深まることで災害時の声掛けなど地域の防災力の向上にも役立ちます。
◆地域の方々が知り合いになり、何かあった時は連絡しあえることは大切なことですよね。「和田サロン」の特徴は何ですか?
◇「昼食」です。活動は10時~13時で、その間に昼食時間があります。コロナ化の時は提供することができませんでしたが、和田地区には飲食店がない為、サロンで食事を提供しているのは大きな魅力だと思います。食事は全て手作り、地元の旬の野菜を使った料理で魚・野菜が中心です。また日頃家では作らないお寿司も毎回出しますし、ゼリー、水ようかん、高瀬茶入りマドレーヌなどデザートも手作りです。
◆話を聞いただけで、おいしさが伝わってきますね。皆さん喜ばれるでしょうし、会話も弾むでしょうね。その他にどのような活動をされていますか?
◇はい。「口腔ケア」「脳トレ」「ニュースポーツ」などの市の出前講座や警察署による「交通事故防止」「詐欺防止」の講話も人気があります。
◆どれもシルバー世代にとって重要なことですね。頭と体を動かし、大切な講話を聴き、美味しい昼食をいただく。最高じゃないですか。
◇ありがとうございます。今年度は各地区の福祉員さんにサロンに参加していただくようにお願いをしており、地域の見守り活動の充実を図っていきたいと思っています。
◆「福祉員さん」とはどういう人ですか?
◇周南市社会福祉協議会会長から委嘱を受けて活動するボランティアで、声かけ、見守りから近所同士のつながりづくり、地域の支え合い活動をすすめる福祉活動を推進する方です。
◆分かりました。
◇地域の拠点に住民とボランティアが共同で企画し、運営していく楽しい仲間づくりの活動。これらのことが日常の生活習慣の中にあることが大切だと思います。ふれあいを通じて地域の住民同士の絆を深め支え合う活動を目指しています。
◆素晴らしい活動だと思います。津本さん、最後に一言、お願いします。
◇はい。サロンに来られることで地域と繋がり、孤立をさけることができ、仲間同士の情報交換の場となっていて、皆さんに「楽しい」と言っていただいています。この日頃からの繋がりが、災害が起こった時の助け合い、支え合いの基礎となっていくと思います。また和田地区6ヶ所のサロンの担い手の大半はシニアの方々です。10年以上頑張っておられます。色々と工夫してサロンを運営しておられ、頭が下がります。私も皆さんに負けないように頑張ります。「和田のシルバーパワー」全開です。
◆いや~「和田サロン」は本当に大切な活動をされていますね。「ふれあい・いきいきサロン」は、山口県の各市町にありますので、ご興味を持たれた方はお近くの社会福祉協議会に連絡してみてください。津本さん、大切なお話、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週と来週は「社会福祉協議会」について学んでいこうと思います。今日は社会福祉法人 山口県社会福祉協議会 地域福祉部 生涯現役推進班班長の光安信介さんにお越しいただきました。光安さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆「社会福祉協議会」の名前はよく見聞きするのですが、どういう団体なのか、改めて教えてください。
◇はい。「社会福祉協議会」は、地域福祉の推進を目的とした、非営利の民間団体です。自分たちが暮らすまちを自分たちで良くしていく住民主体のまちづくりを進めていく団体です。「社協(しゃきょう)」とよばれることも多くあります。
◆「社協」はよく聞きますね。民間の組織なんですね。
◇そうなんです。行政と連携することが多いので、行政機関と勘違いされる方が多いように思います。社会福祉協議会は全国各地の市区町村、都道府県ごとにありまして、ネットワークを活かしつつ各地域の実情に合わせて様々な事業を展開しています。
◆民間の組織でありながら全国にあるんですね。山口県では各市町と県にあるということですね。山口県社会福祉協議会では、具体的にはどのような事業をされているのでしょうか。
◇はい。ここ数年の新型コロナウイルス感染症による影響を受ける中で社会福祉協議会を知られた方は、「生活福祉資金の貸付」を行っているところというイメージが強いかもしれません。窓口は市町の社会福祉協議会ですが、県社会福祉協議会も一緒に取り組んでいます。他にも認知症や障害などにより判断能力に不安のある方が地域で安心して生活ができるように支援をしています。このように県民の皆さんにとって直接関わるのは市町社会福祉協議会ですが、県社会福祉協議会では情報提供や調査研究、福祉人材の養成などを行ってサポートをする役割を持っています。
◆なるほど。山口県社会福祉協議会は、市町の社会福祉協議会のサポートや人材の育成・相談など全体を見る役割ということですね。さて今日はどのようなお話しをしていただけますか?
◇はい。今日は「生涯現役で人生に生きがいを」をテーマにお話ししたいと思います。
◆生涯現役というとこの番組名の「人生100歳満点!」と非常に近い感じのテーマですね。よろしくお願いします。
◇分かりました。高齢者はもちろんですが、これから年齢を重ねていくすべての方々が、健やかで自立した生活を送り、知識や経験・技能を活かして、仕事やボランティア活動、生涯学習・スポーツなど、様々な分野でいきいきと活躍できる社会づくりを進めていきたいと考えています。このことに関する事業として、今回は「ねんりんピック」と「老人クラブ」の2つを紹介させていただきます。
◆「ねんりんピック」と「老人クラブ」ですか。では、まずは「ねんりんピック」からお願いします。オリンピックと名前が似ていますが関係があるんでしょうか?
◇60歳以上の方を中心として、あらゆる世代の方が楽しみ、交流を深めることができるスポーツと文化の総合的な祭典である「健康福祉祭」というイベントの愛称を「ねんりんピック」と言います。全国版の大会である全国健康福祉祭と、県版の大会も種目ごとに開催されています。
◆なるほど。やはりオリンピックのように様々な競技があるのでしょうか?
◇そうですね。まずスポーツ系で言いますと、ソフトボール、サッカーのような団体競技のほか、卓球、ゴルフ、剣道、グラウンド・ゴルフなど個人競技の種目もあります。それに文化系の囲碁、将棋や健康マージャンや、全国大会では最近eスポーツが採用されまして、注目されています。そのほか美術関係もありまして、県や全国の美術展が開催されています。
◆スポーツ、文化、芸術まで様々な分野があるんですね。県大会に出場できるのはレベルの高い方だけでしょうか?県大会に出場する条件のようなものがあるんですか?
◇ねんりんピックの趣旨は、「健康や福祉に関する多彩なイベントを通じ、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与する」というものです。年齢、経験、レベルにこだわらず、興味関心のある方はぜひどなたも参加していただきたいと思います。
◆だれでも参加できるんですね。参加方法を教えていただけますか?
◇はい。競技ごとに参加方法や条件が異なります。「ねんりんピック山口県」で検索していただくと山口県社会福祉協議会の生涯現役推進センターのホームページがヒットします。様々な競技大会や美術展の様子などを動画で配信していますので、それをご覧いただくと様子がおわかりいただけると思います。
◆よく分かりました。続いて「老人クラブ」について教えてください。
◇はい。「老人クラブ」も生きがいに大きくかかわります。老人クラブは概ね60歳以上の方が地域で結成したグループのことで、健康づくりや文化活動、社会奉仕、仲間づくりなど自分たちでやりたい活動を企画できることが特長です。山口県内では令和6年3月末時点でおよそ3万5千人の方が老人クラブに加入されていますので、ご存じの方も多いと思います。
◆3万5千人もいらっしゃるんですか!
◇そうですね。男女の割合では、女性の方がやや多くて6割くらいです。老人クラブはグループによって活動内容は異なりますが、例えばグラウンド・ゴルフを楽しんだり、料理教室で生活力を身に着けたり、農業体験や通学路の見守りを通じて子どもたちとのふれあいなどの行事や活動があります。老人クラブ会員は社会とのつながりを維持することで、健康寿命が長く、特殊詐欺にも引っ掛かりにくいというデータもあります。活動への参加は、その時の都合や体調で決めればよいので、とりあえず老人クラブへ加入されることをお勧めいたします。
◆なるほど。趣味の活動からボランティアまで様々なメニューがあるので、生きがいを見つけるきっかけになりやすいということですね。
◇そうなんです。新たに地域で知り合いや友人を作るのは難しいと思います。そうした時に老人クラブを通じて自然と仲間づくりができるのも魅力です。
◆「老人クラブ」に入りたい方はどうしたらよいのですか?
◇地域の回覧板や広報誌に広告が掲載されていることもあります。お住まいの市町に老人クラブ連合会というところがありますので、そこにお問い合わせいただくと地元の老人クラブを紹介してもらえます。問い合わせ先が分からない場合は、私たち山口県社会福祉協議会 生涯現役推進センター(083-928-2385)にお問い合わせいただければと思います。
◆今日は「ねんりんピック」と「老人クラブ」をご紹介いただきました。光安さん、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週も、とくさんことNPO法人 山口県終活支援協議会 理事長 徳沢靖さんにお越しいただきました。先週は「終活とは?」から始まり、エンディングノート、相続などについてお話しいただきました。今日はどのようなお話しをしていただけますか?
◇今日は相談会で最も多い質問である「お墓」と「お葬式」についてお話しします。
◆今回とくさんに出てもらう前に、金子石材店の安永さんにご出演いただき、2週にわたり「お墓」のお話しをしてもらいました。しかし大事なことですので、さらに 「お墓」について学んでいきましょう。
◇よろしくお願いします。まず、「お墓」についてですが、お墓を知らない人はいないと思います。しかし、大きくみると納骨堂や散骨なども「お墓」に含まれますので、その点について少し解説します。そもそも「お墓」とは墓地埋葬等に関する法律により、<「墳墓」とは死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。>と規定されています。要するに昔からある石のお墓を指しています。
◆昔から「お墓」とは、石の「お墓」のことだったんですね。
◇そうです。しかし、最近では埋葬方法も多様化して納骨堂をはじめ、樹木葬や海洋散骨、またご遺骨をアクセサリーに加工して身につけたり、綺麗な祭壇を作って手元供養をするなど多様化しています。しかし、気をつけて欲しいのは中には違法となる方法もあるということです。
◆どのようなことが違法なんですか?
◇例えばご遺骨は墓地に指定された場所以外には埋蔵してはいけないと規定されています。よって墓地と指定されていない野や山に勝手に散骨すると遺骨遺棄罪という犯罪になってしまいます。また、海洋散骨についても条例により場所が指定されていることも多くありますので、注意が必要です。では納骨堂であれば大丈夫かというと実は納骨堂の建立には自治体の許可が必要です。許可基準としては長期間にわたる納骨期間に納骨堂管理者の経営が破綻してしまい、収納されたご遺骨の管理ができないような状態になってはいけないので、経営母体の経営状況などが厳しく審査されます。昨年も北海道の納骨堂管理者が経営破綻してしまい、ご遺骨を返還するという事案が発生しました。
◆納骨堂であっても大丈夫とは言えないこともあるんですね。
◇そうなんです。次に墓じまいについてですが、正式名称は「改葬」と言います。要するに今あるお墓から他の納骨施設にお骨を移動させ、現在のお墓を解体して管理者へ土地を返還することです。墓じまいの理由としては墓の継承者がおらず、継続して墓の管理が出来なくなるために、墓じまいをするケースがほとんどです。管理が出来ないとは高齢となり作業が出来ない。次の墓守がいない、または遠方に住んでいるため管理ができない等があります。
◆少子高齢化や就職先の問題などで、お墓の継承者はどんどん少なくなっていくでしょうね。
◇そうですね。では、墓じまいの手順について解説します。まず、石材店に墓の解体について見積もりを取ります。解体費用は実質的な墓の解体と解体した墓石の処分費用です。墓石は小さく粉砕されて道路用の資材として再利用されますが、そもそも固い墓石ですから粉砕には相応の費用がかかります。墓じまい費用の大半はこの粉砕費用だと言えます。次に見積もり後に墓の管理者に相談して下さい。市営霊園ですと市役所ですし、寺院霊園ですと寺の住職等になります。また地区墓地とも、みなし墓地とも言われる地区にある小規模な墓地は、だいたい自治会長が管理しています。
◆「墓じまい」の費用の大半は、墓石の粉砕費用なんですか?
◇そうですね。また同時進行として改葬届の作成が必要です。これは市役所に提出する書類で故人の命日等を記載しますが、これは自治体ごとに様式が違いますので、必ず墓が建立されている場所の役場に問い合わせて下さい。この届出がないと、改葬後の受入施設が納骨を認めない場合があります。また、この届出には先ほどの墓地の管理者の証明が必要になります。そして抜魂供養、魂抜きとも言いますが、この供養に進みます。宗教儀式ですので、特に必要ないのですが、墓を解体する石材業者によっては抜魂供養を条件にしている場合がありますので、可能な限り行って下さい。
◆「墓じまい」「改葬」の手順がよくわかりました。
◇最後に「お葬式」についてですが、コロナ禍以降、お葬式はとにかく小規模になりました。今までの一般葬は家族葬にと変化しました。ただ、葬式の本来の意義である「告別式」、要するに亡くなられた方との最後のお別れ式であることを忘れないで欲しいと思います。中には親友の方から最後のお別れがしたかったと苦情を言われることもありますので、葬儀の方法については、コロナ明けの今、もう一度考える時期ではないかと思います。
◆今日は「お墓」と「お葬式」についてお話しいただきました。とくさん、最後に一言どうぞ。
◇最後に先週お話しした山口市での「終活相談会」、いよいよ今日(6/15)開催いたします。場所は「ゆめタウン山口」1階西口、スターバックスコーヒーのすぐ近くです。開店から午後5時くらいまで、今日と明日の2日間、私を含め3人の相談員が中心となって対応いたします。相談者にはエンディングノートをプレゼントいたします。無料ですので、この機会に是非ご相談ください。
◆とくさん、頑張ってください。今日はありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週はこの番組ではお馴染み、NPO法人 山口県終活支援協議会 理事長 徳沢 靖さん・とくさんにお越しいただきました。とくさん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆さっそくですが、今日は何についてお話ししていただけますか?
◇はい。私がこの番組に参加させていただいて2年以上になりますが、その間にも「終活」を取り巻く環境は変化を続けています。例えば私の専門分野でもある「特殊詐欺」について、2年前では考えられなかったSNS型投資詐欺による高額被害などが県内でも多く発生するようになりました。また、相続不動産の名義変更の義務化などの法律改正も多くありますし、何よりこの番組に多くのゲストの方が出演されているように、「終活」の範囲が広がり、「終活」そのものの認知度も2年前と比較して高くなっているように感じます。
◆確かに「終活」に関するニュースは毎日のようにありますし、「終活」の必要性が高まってきている気がしますね。
◇そうですね。そこで今日は基本に戻って「終活」とは何かについてお話ししようと思います。
◆いいですね。何度やっても良いテーマだと思います。お願いします。
◇はい。終活とは「終わりの活動」と書く 日本で広まっている概念で、自身の人生の終わりを意識して準備を整える活動を指します。そしてその目的は、元気なうちに様々な事柄を整理し、家族や遺族に負担をかけないようにし、自分自身も精一杯生きるということです。終活カウンセラー協会では、「終活とは、人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」と定義しています。
◆そうですよね。「終活」とは決して「死に支度」ではなく、自分らしく輝いて生きるための「生き支度」だと私も認識しています。
◇そうですね。具体的に終活には次のような活動があります。まずは「エンディングノートの作成」です。「終活」の原点は「生まれてから現在までの自分に関することを整理・把握し、見直すこと」です。それをサポートしてくれるのが「エンディングノート」です。「エンディングノート」の項目に沿って誠実に記入していくと、これまでの自分の人生が整理され、課題が浮かび上がり、そして今後 自分がやりたいこと、やるべきことを見い出すキッカケになると思います。勿論、「エンディングノート」は沢山の種類がありますので、自分が書きやすいものを選ぶことも大切です。また、「エンディングノート」は自分のための物であると同時に、自分の希望や意向、友人や家族へのメッセージなども書かれていますので、家族に見てもらうための物でもあります。ですから、「エンディングノート」の保管場所を家族に知らせておくことも大切なことです。
◆そうですね。「エンディングノート」は気恥ずかしいところもありますが、家族などが見るのは、自分が病気や認知症、要介護状態になった時ですから、「自分のすべて」と思って詳しく書いておくといいですよね。
◇そうですね。次に遺言書の作成です。これはある程度の知識が必要なのですが、法的に有効な遺言書を作成することが必要です。公証役場において公正証書遺言を作成するのがベターなのですが、自筆の遺言書でも法的に有効な遺言を残すことができます。遺言書には財産の分配や不動産などの遺産相続についての希望を明確にします。ただ気をつけたいのは、自筆遺言書は不備があると、その遺言書の全てが無効になることがありますので注意して下さい。
◆家族・親族が「相続」で揉めることは悲しいことですからね。それを防ぐためには、遺言書があるといいですよね。
◇そうですね。続いて財産の生前整理についてです。財産や負債の現状を明確にし、必要な場合は生前贈与などの手続きを行います。生前贈与については相続と違い税金面で大きな負担になることがあるので、注意が必要です。
◆贈与税が多くかかることがあるということですね。
◇はい。相続税には、3000万円プラス相続人一人当たり600万円の基礎控除額がありますが、贈与税は一人当たり年間110万円の控除しかありません。ですから生前贈与をお考えの場合は年計画で毎年贈りたい方に110万円ずつを明確な証明付きで贈るなどの措置が必要かと思います。
◆子や孫の喜ぶ顔が見たいときは、生前贈与も一つの方法ですが、贈与税には注意が必要ということですね。
◇そうですね。次は「リビング・ウィル」です。日本語では「事前指示書」と言いますが、病気や事故で判断能力を失うなど、自分自身が「受けたい」あるいは「受けたくない」など延命のための治療や処置等について意思表示ができなくなった場合に備え、あらかじめ書面で自分の意思を示しておくものです。
◆もしもの場合に備えて、事前に「延命治療」などについての意思表示をしておくことも大切なことですね。おっと、とくさん、時間がきてしまいました。
◇最後にひとつPRをさせてください。
◆分かりました。どうぞ!
◇来週、6月15日(土)と16日(日)の2日間、山口市のゆめタウン山口において「終活相談会」を開催いたします。場所はゆめタウン山口1階西口のスターバックス前のエントランスです。時間は2日間ともオープンの朝9時から夕方5時までを予定しています。相談員は私を含め3人、また時間は未定ですが、弁護士や石材店関係者も参加予定です。相談された方にはエンディングノートをプレゼントいたしますので、ぜひお立ち寄り下さい。もちろん相談料等無料です。
◆この機会に是非何でも相談してみてください。とくさん、今日はありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆先週と今週は「お墓」について学んでいます。スタジオには先週に引き続き金子石材株式会社の安永 和夫さんにお越しいただきました。安永さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆安永さん、先週は「お墓の基本情報」として「お墓の意義・形・リフォーム」等について教えていただきました。今日はどのようなお話しをしていただけますか?
◇はい。今日は「お墓を取り巻く現状と今後」についてお話ししたいと思います。
◆興味深いテーマですね。よろしくお願いします。
◇分かりました。まず毎年増えている「墓じまい、改葬」についてお話しします。「墓じまい」という言葉がマスコミ等でも取り上げられるようになってから8年ほど経ちますので、言葉自体はお聞きになっているかと思いますが、「墓じまい」とは何なのか、その手続きと内容に関してお伝えしたいと思います。
◆「墓じまい」はよく聞きますね。
◇そうですよね。ではまず、どのような方が「墓じまい」をされているかという点ですが、現在の少子高齢化により、お墓の継承者がいらっしゃらない方ですとか、お子さんが遠くにお住まいで戻ってこられる予定もないというような方が大半になります。
◆なるほど。お墓の継承者がおられないという方は増えていますよね。
◇はい。無縁墓になってしまう前に、私の代で整理したいとお考えになられるのですが、ここで一番大事で忘れてはならないのが、入っておられるご先祖様等のお骨の移動ということです。「墓じまい」という言葉からお墓を解体して終わりと思われる方もいらっしゃいますが、お骨の移動先をしっかりと考えなくてはなりません。どちらかというとこちらが主になります。これを「改葬」と言いますが、これをセットで考える必要があります。
◆私は「お墓のお引っ越し」のことを「改葬」と思っていましたが、お骨の移動のことなんですか?
◇そうです。「お墓」とはお骨を納めてある場所のことです。「改葬」を詳しく説明しますと、今あるお墓に納められている遺骨を取り出して、他の墓地や納骨堂などに遺骨を移動させることをいいます。
◆分かりました。お骨の移動「改葬」には手続きなどが必要なのでしょうか?
◇はい。改葬には、現在のお墓がある市町村やお墓の管理者から改葬許可証というものを発行してもらい、新たなお骨の埋葬先に提出するという手続きが必要になります。こうした手続きに関しましては、我々のようなお墓の専門業者や市町村の環境整備課等でお聞きいただければ詳しく説明いただけると思います。
◆分かりました。手続きは少し複雑なので詳しく聞く必要がありますね。「墓じまい」される方はお骨をどこに移動されるのでしょうか?
◇はい。お墓じまいされた方や、後を継ぐ方がいらっしゃらないといった方々向けとして提供されているのが、皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、「樹木葬」や「納骨堂」と呼ばれる継承の心配の要らないお墓が今は多くなっています。弊社でも周南市の「周南樹木葬」、下松市の「モニュメント葬」、柳井方面では来月オープン予定の『さくら墓苑』をご提供しております。ご興味のある方は金子石材までお問い合わせいただければと思います。
◆「樹木葬」や「納骨堂」はよく聞きますが、これらは跡継ぎのいらないお墓なんですか。
◇はい。それぞれ細かな設定に違いはありますが、7回忌、13回忌といった期限を設け、その後、合祀埋葬していくという管理体制のものが主流で、無縁墓になるようなことが無いように計画されています。ただ、注意していただきたいのは、これらもお墓であり、お墓であるからには永続的な管理が必要であることです。全国で、時折ニュースになったりしていますが、お参りする際にお骨が入ったロッカー型納骨堂が銀行の貸金庫のように訪問者のブースに自動搬送されるようなハイテク納骨堂など、維持管理にも高額な費用がかかり、建設費や鉄筋コンクリートの寿命による建て替え費用なども高額なビル型納骨堂が、永続管理ができずに倒産してしまうといったことも起きております。大切なお骨の改葬先ですので、しっかりとした管理体制のところを選ばれることも重要です。
◆大切なことですね。家族・親族でよく話し合うことも重要ですね。
◇そうですね。日本は今、人口減少と2040年に亡くなる方の数がピークを向かえる多死社会に向かっています。いろいろなお墓のニーズに対応するために洋型やデザイン型といった形状だけでなく、樹木葬や納骨堂など、様々なシステムのお墓が開発されてきましたが、今後もまた新たなスタイルやシステムのお墓が開発されていくことと思います。
◆違ったスタイルのお墓がまだ出てきますかね。
◇出てくると思います。先週お話しましたが、何万年も変わらず受け継がれてきた人としての本質。亡くなられた方を「偲び・供養」したいと思う気持ちは不変のものと思いますが、生活スタイルやそれに合わせたニーズは今後も多岐に渡っていくと思います。そうした皆さんが求める新たな供養のカタチを提案していくことが、我々供養産業に従事する者の務めであると思っています。
◆そうですね。形が違っても大切なことは、故人を「偲び・供養」したいと思う気持ちですからね。安永さん、2週にわたり「お墓」についての詳しいお話。ありがとうございました。
◇ありがとうございました。