転ばぬ先の知恵
◆先週に引き続き今週も「生命保険契約の対策ポイント」をテーマに学んでいきたいと思います。スタジオには一般社団法人生命保険協会 山口県協会 事務局長の岩端昭則さんにお越しいただきました。岩端さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆先週は高齢者を取り巻く現状と「家族情報登録制度」、「保険契約者代理制度」について学びました。今日は先週の続きをお話しいただけるんですよね。
◇はい。生命保険契約で早めに手続きして対策しておくべき制度をご紹介いたします。5つの制度のうち、先週は「家族情報登録制度」と「保険契約者代理制度」についてお話ししましたので、今日は残りの3つ「指定代理請求人登録制度」、「生命保険契約照会制度」、「家族信託と成年後見制度」についてお話しします。
◆分かりました。できるだけ分かりやすくお願いします。
◇はい。まず「指定代理請求人登録制度」からご説明いたします。この制度は、被保険者ご本人に特別な事情がある場合、ご契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって保険金等を請求できる制度で、こちらも無料で手続きできます。
◆基本的なことですが、保険には保険を契約する「契約者」、その保険の対象となる「被保険者」、そして保険金などを受け取る「受取人」の3者がいますよね。「指定代理請求人登録制度」は、「契約者」があらかじめ指定した代理人が「被保険者」に代わって保険金等を請求できる制度なんですか?
◇はい。生命保険契約では、死亡の場合の保険金受取人はご加入時に登録することが必須となりますが、被保険者が受取人となる保険金等もあります。例えば、手術・入院の給付金や、高度障害保険金などです。
◆なるほど。被保険者が受取人になることもありますね。
◇はい。被保険者が特別な事情にある場合とは、例えば、「傷害または疾病により保険金等を請求する意志表示ができないときや、治療上の都合により、傷病名または余命の告知を受けていないときなど」の場合のことです。
◆分かりました。
◇続いて「生命保険契約照会制度」です。この制度は、これまで説明した制度とは違い、生命保険協会が取扱っている制度です。ご親族等が死亡した場合、または認知判断能力が低下した場合に、ご親族等が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会が全生命保険会社に確認する制度です。
◆生命保険に入っているかどうか、家族が知らないこともありますからね。これはありがたい制度ですね。
◇はい。この制度は、今回の能登半島地震などで災害救助法が適用された地域の被災契約者のご契約については無料ですが、平時の利用料は、調査対象となるご親族等1名につき、3,000円です。大規模災害が発生して、ご加入の生命保険会社が分かるものが見当たらない場合や、認知症などにより保険会社を思い出せない時などにご活用いただければと思います。手続きは協会本部のホームページをご参照ください。
◆分かりました。
◇最後に、「家族信託」と「成年後見制度」です。この2つは、生命保険だけでなく、財産全体を管理する目的の制度です。まず、「家族信託」については、本人が保有する不動産や預貯金などの資産を目的を決めて家族に託し、その管理や処分を代わりに行ってもらう民間の事業者が提供する仕組みです。詳細は、弁護士や司法書士にご相談ください。
◆「家族信託」は、認知症になったり介護が必要になっても信頼できる家族が財産の管理・運用することができるようになるので、注目されていますよね。
◇そうです。なお、余談ですが、一部の保険会社では、信託と生命保険の特徴・メリットをミックスした「生命保険信託」という保険商品を導入しています。これは、死亡保険金を信託財産として信託会社が管理を担うもので、長期に亘る財産管理と資産承継を目的とするものです。
◆「生命保険信託」という商品もあるんですね。
◇はい。次に、「成年後見制度」についてですが、認知症などの理由で判断能力が不十分な場合、不動産や預貯金などの財産管理、介護サービスや施設の入所などの契約、遺産分割の協議などを自分で行うことが難しい場合、判断能力が不十分な方々を保護し、支援する国の制度で、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。こちらも詳細は、弁護士や司法書士にご相談ください。
◆この番組でも何度か取り上げたことがあります「成年後見制度」ですが、「財産管理」ということで生命保険にも関係してくるんですね。
◇そうですね。2回に分けて、生命保険契約に関して高齢者及びそのご家族が備えておくべきことをお伝えしてきました。繰り返しになりますが、もしもの場合を想定して早めの対策を心がけてください。また、ご不明点も多いと思いますので、どうかご遠慮せずにご加入の生命保険会社のご相談窓口や担当の営業職員、代理店に早めにご相談をしてみてください。
◆大切なことですね。リスナーの皆さんも、もしもの場合を想定し今加入している生命保険の内容をきっちりと把握してください。そして家族にも伝えるとともに、先週・今週とお話しいただいた制度の活用もご検討ください。岩端さん、2週に渡り大切なお話、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週と来週は、生命保険契約に関してシルバー世代及びそのご家族が備えておくべきことについて学んでいきたいと思います。スタジオには一般社団法人生命保険協会 山口県協会事務局長 岩端昭則さんにお越しいただきました。岩端さん、よろしくお願いします。
◇よろしくお願いします。なお、はじめに、今回の令和6年能登半島地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。各生命保険会社では、このたびの災害により災害救助法が適用された地域の被災契約者のご契約について、保険料払込猶予期間の延長や、保険金・給付金・ご契約者貸付金の簡易迅速なお支払い等の特別取扱いをすることとしています。詳しくは、各生命保険会社ホームページや、コールセンターにご確認くださいますようお願いいたします。
◆本当に大変な地震ですね。お見舞い申し上げます。では岩端さん、まずは一般社団法人 生命保険協会 山口県協会とはどういう組織なのか教えてもらえますか?
◇はい。生命保険協会は、わが国における生命保険業の健全な発達と信頼性の維持を図ることで、国民生活のさらなる向上に寄与することを目的に活動している一般社団法人で、現在日本で生命保険業を営む、全生命保険会社、42社が加入しています。東京都に本部があるほか、全都道府県に一か所以上の地方協会を設置しており、山口県では下関市に事務室があります。
◆分かりました。さて今週・来週の2週にわたって「生命保険契約の対策ポイント」をテーマにお話しいただけるとのことです。よろしくお願いします。
◇はい。生命保険と一口に言っても、その目的により様々な種類があります。例えば、死亡時の遺族保障を目的としたものや、怪我や病気などによる手術や入院を保障するもの、また、相続対策として利用されている方も非常に多いです。ただし生命保険の契約は、ご加入から長期間経過しているものが多いと思われますので、現在、何の保障をしたいのか、目的に合ったものか内容を確認しておくことが大事です。
◆そうですね。ほとんどの方が何らかの生命保険に加入していらっしゃると思いますが、加入したままで、見直しをしたことがない方が多いかもしれません。少なくても今、加入している保険を確認することは大切なことですね。
◇そうですね。生命保険文化センターが実施した60歳以上の男女を対象とした「ライフマネジメントに関する意識調査」というアンケート結果によりますと、家族世帯状況では、夫婦のみ世帯が37%と最も多く、単身世帯は16%となっていて、合計すると半数の世帯以上が高齢者のみの世帯となっていることが分かります。つまり、万が一の時に頼れる若いご家族が近くに居ないという方が多い状況にあります。
◆うちもそうですが、子どもが就職してしまうと別世帯になってしまい、そのまま夫婦のみ世帯となってしまうというケースが多いのでしょうね。
◇そうですね。また近年では医療技術の進歩と共に平均寿命の進展が目覚ましく、男性が約82歳、女性は約88歳と世界でも最高水準にある一方で、健康寿命は男性が約72歳、女性では約75歳となっていて、高齢者の中には、身体のどこかに不自由を感じている方も非常に多くなっているのが実情です。
◆平均寿命と健康寿命の差がまだまだ大きい状況なんですね。
◇特に、認知症などによる判断能力の低下について、大きな社会問題となっていて、生命保険関係では、各手続きが適切に行われていないとか、生命保険契約のご加入状況が分からなくなっていることなどが危惧されています。
◆契約した本人だけが知っていても、家族などに伝えておかないと分かりませんよね。
◇そうなんです。こういった状況を踏まえまして、今週と来週の2回に分けて、生命保険契約で早めに手続きして対策しておくべき制度をご紹介したいと思います。
①家族情報登録制度
②保険契約者代理制度
③指定代理請求人登録制度
④生命保険契約照会制度
⑤家族信託と成年後見制度
の5つの制度です。
◆大事な制度と思いますが、難しそうなので、出来るだけ分かりやすく教えてください。
◇はい。ではまず、①「家族情報登録制度」についてご説明します。この制度は、災害などに備えてご家族の連絡先などを登録しておく制度で、無料で手続きできます。地震・台風などの災害時や、高齢の契約者に連絡が取れない場合などには、生命保険会社が登録されている家族へ契約者の連絡先などの確認をします。家族へ連絡がいくことによって、保険金・給付金の請求もれの防止などにつながります。
◆「家族情報登録制度」ですか。家族に連絡があるのはありがたいですね。
◇なお、この「家族情報登録制度」は、登録された家族が生命保険会社に契約内容の照会などができるだけなので、受取人に代わって保険金などの請求は出来ません。請求の代理を家族が行う場合は、「指定代理請求人登録制度」で代理請求出来る方を登録しておく必要がありますのでご注意ください。
◆分かりました。
◇次に、②「保険契約者代理制度」をご説明します。この制度は、契約者に代わって手続きを行うことができるもので、同じく無料です。ご契約者の認知能力や判断能力が低下して、ご自身ではご契約に関する手続きの意思表示ができない場合などに、あらかじめご登録された契約者代理人が、住所変更や年金の請求、減額や解約など所定の手続きを行うことができます。ただし取り扱い出来ない手続きもありますので、詳しくはご加入の生命保険会社にご相談ください。
◆「保険契約者代理制度」ですか。契約者が意思表示を出来ない場合、全てではないにしても、代わりに手続きを行うことが出来るんですね。
◇そうです。
◆残念ながら時間が来てしまいました。今日はここまでにさせていただきます。岩端さん、丁寧な説明、ありがとうございました。来週もよろしくお願いします。
◇ありがとうございました。
◆新年2回目の今日もNPO法人 山口県終活支援協議会 理事長の徳沢靖さんにお越しいただきました。とくさん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆さて、先週はお正月特別版として、「神社」についてお話しいただきました。今週はどんなお話しをしていただけますか?
◇はい。今日は新春最初の終活について、「終活とは何か」という根本的なことについてお話ししたいと思います。
◆よろしくお願いします。
◇分かりました。まず、総論として終活の目的なのですが、終活カウンセラー協会では「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」と定義しています。昨年9月15日に発表された100歳以上の高齢者数は92,139人でした。100歳の姉妹、きんさんぎんさんが流行った30年前は約4,000人しかいなかったので、ものすごい勢いで長生きになっています。
◆30年間で4,000人から92,000人ですか。本当にすごい増え方ですね。
◇はい。そして未来。2050年には100歳以上の人口予想は54万人とのことです。この数字からも皆さんが100歳まで生きる可能性は大いにあります。ヤスベェさんは90代、私なんか80代の若造ですよ。ですから今の年齢から100歳まで生きることを考え、エンディングだけではなくて「今を」「より良く」「自分らしく」生きる「活動」。これが「終活」なのです。そのため終活の定義を「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」としているのです。まぁ、簡単に言うと「先は長いぞ、楽しく行こうぜ」といったところでしょうか。
◆本当に自分らしく、健康で、長く輝いて生きたいものですね。
◇そうですね。さて次に、終活といっても何をしていいのか分からないと言う方が多いのではないでしょうか。ここからは各論について説明します。
まず、終活相談で圧倒的に多いのが「墓じまい、供養、葬儀」についてです。内容的には「子供達に墓の管理の負担をかけたくない」や「山の上に墓があり、体力的に行くのが困難」など、それぞれ理由はあるようです。また、時代の流れからか「墓を守る」と言う概念も薄くなっているようです。もちろん古来から墓は大きく変化してきましたから、墓じまいを否定する必要は全くないのですが、大切なのは、ご家族の意識です。例えばご両親だけで墓じまいの手続きを進めてしまい、後日、お子さんから叱られた、とか親戚に反対されたなどという事例はたくさんあります。気をつけましょう。
◆「お墓」は自分や家族・親族の生きた証であり、亡くなった人をしのぶ大切な場所ですから、どうするかは家族、親族でよく話し合いたいですね。
◇そうですね。次に「相続」についてです。「相続」の「相」の字を「争う」と言う字に置き換えた「争続」となるケースが非常に多くあります。もちろんご本人が亡くなった後の話なのですが、仲の良かった兄弟が相続争いで険悪になった事例もたくさんあります。そのためには「遺言書」の作成が有効です。最近では自筆遺言書を法務局が預かってくれる制度が始まっており、手軽に遺言書を作成できる環境になってきました。
◆本当に「相続」で家族・親族が争うことは悲しいことですね。相続をスムーズに行えるように準備することは終活の大きな目的のひとつですよね。
◇その通りです。続いて「介護」ですが、超高齢社会の到来に伴い、各種の介護施設や施策ができています。一昔前であれば「老人ホーム」の一言で片付いていた介護施設も「シニア向け分譲マンション」「サービス付高齢者住宅」「グループホーム」「特別養護老人ホーム」など公的には11種類に分類されており、ご本人の状態により、細かく対応できるようになっています。そのためご両親の介護について考えた場合、どの施設が適切なのか、しっかりと判断しましょう。入居条件として介護認定などが必要な場合もありますので、詳しくは地域包括支援センターなどの公的機関に相談するのが良いかと思います。
◆そうですね。地域包括支援センターにはいろいろな分野の専門家の方がいらっしゃいますからね。
◇次に「年金」についてです。一見、終活とは違うのではないかと思われるのですが、老後の生活の安定には絶対的に必要となりますので、特に若い方はしっかりと意識して欲しいものです。年金について具体的に話すと相当な時間を要しますので省略しますが、満額でも月額65,000円程度ですので国民年金だけでは、絶対に生活できないと言うことです。そのために会社員などは厚生年金がプラスされていますし、加えて個人年金保険や確定拠出年金などで補完すれば、そこそこの生活は出来るのではないかと思います。プラスアルファは預貯金ということになりますかね。
◆「年金」は老後の収入の柱ですからね。しっかりと理解しておきたいですね。
◇はい。次に「生命保険」ですが、これは相続とも関連してきます。生命保険の場合、受取人を指定しますが、受取人に入る保険料は相続から独立していますので、遺言書のない法定相続であっても相続人ではない方へ保険料として、お金を渡すことができます。また、生命保険は大きく分けて「終身」「養老」「定期」などと分けられますので、本当に必要な時に保険が切れていたなんてことにならないように、ある程度の知識は持っていた方が良いと思います。
◆「保険」にもいろいろな種類がありますので、よく整理し、把握しておくことが大切ですね。
◇さらに最近ではデジタル終活も必要とされており、ご本人の残された携帯電話の解約やネット上で作成されたアカウントの処理などが必要となります。これらを怠るとご本人が亡くなった後も会費を徴収され続けたり、アカウントを乗っ取られてご本人がいないのに犯罪に加担してしまうケースもあります。事前に追悼アカウントの設定など、対策が必要です。その他、後見人や見守り契約、身元保障制度など、終活には多種多様な形態がありますので、まずは自分の問題点について考えてみることが大切だと思います。
◆今日は「終活」の大切さ、幅広さがよく分かりました。とくさん、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆さて新年第1回は、お馴染みNPO法人山口県終活支援協議会 理事長の徳沢靖さんにお越しいただきました。とくさん、今年もよろしくお願いします。
◇よろしくお願いします。
◆新年1回目の今日は、どのようなお話をしていただけますでしょうか?
◇今日は終活そのものではないのですが、お正月特別版として日本の文化の象徴とも言える「神社」について、お話ししたいと思います。
◆「神社」ですか。新年にふさわしいテーマですね。よろしくお願いします。
◇はい。まず、神社とは何かということですが、一般にはお祓いやご祈祷をする場所で、初詣に行く場所、程度の認識だと思います。宗教としてみれば「神道」ですね。しかし神道の歴史は極めて古く、祭祀については約3万8千年前から1万6千年前の旧石器時代の遺跡から祭祀に使用したと思われる石器が出土しています。これは世界中の同年代の遺跡と比べても日本だけの発掘となっており、祭祀を神道の証拠と捉えるならば、神道の起こりは旧石器時代となります。
◆え~、随分と古いんですね。
◇また古事記には、紀元前660年に奈良の橿原の地で初代神武天皇が即位したと記されており、この時を持って神道が始まったという説もあります。
◆紀元節ですね。
◇はい。そもそも神道は多神教、いわゆる八百万の神を崇拝の対象としており、これはすべての事物に神が宿るというアニミズム、自然崇拝が起こりとされています。古来より海の幸、山の幸に恵まれた日本には自然により生かされていることへの感謝の心が自然に生まれ、そして祭祀として、自然にできた大木や大きな岩などに対して祈りを捧げていたようです。その証拠として世界遺産である福岡県の神宿る島「沖ノ島」には3世紀頃の大岩などに対する祭祀の後が数多く残されており、世界的にも極めて重要な遺跡とされています。
◆確かに近くの神社などでも大木や大きな岩にしめ縄がまかれているのを見ることがありますし、また、昔から「あらゆるものに魂が宿る」という言葉もよく聞きますよね。
◇そうですね。これらの祭祀は全国的にも行われており、山口県でも土井ヶ浜遺跡などから多くの祭祀道具が発掘されています。そして、そもそも各所で行われていた祭祀も、徐々に御神体となる巨木や岩などがある場所で集団的に行われるようになり、それこそが神社の起こりだと言われています。
◆なるほど。そうなんですね。
◇また、仏教伝来後は神仏習合の時代となり、神社と寺が同じ場所で活動しており、これは明治時代まで続くことになります。もしかすると古いお寺などで鳥居があるのを見られた方もあるのではないかと思います。これが神仏習合時代の名残なのです。
◆「神仏習合」は日本史で習った覚えがあります。「神と仏は一体である」とする宗教思想ですよね。
◇はい。その後、一般的な神社とも言える教派神道と国の道徳を定めた国家神道に分かれて、それぞれの役割を担っていたのですが、戦後、GHQの指示により、現在の神社神道の形が形成されました。
◆なるほど。
◇それでは、初詣などでの神社のマナーについてお話しします。まず参拝の方法ですが、テレビなどで参道の真ん中は神様の通り道なので神社の参道は端を歩きましょう、鳥居の前では一礼しましょう等々解説がありますが、参拝をしたという充実感を味わうならそれでいいと思います。しかし、神道は形式的なことは神職が行い、一般参拝者は常識の範囲で自由に参拝していいと思います。もちろん他の参拝者に迷惑だったり不快に思われるような行動を慎むのは参拝でなくても社会人としての常識です。次に何をお願いするかなのですが、先に申しましたとおり、神道は八百万の神、いわゆる自然に自分が生かされていることを感謝する行為なのです。よって、「いつも見守っていてくださり、ありがとうございます」と感謝をする場所だと心えてください。また、自宅においても神棚をお祭りしているご家庭もあると思います。神棚は決して大袈裟にする必要はなく、箪笥の上に神社のお札を置いて、毎日、手を合わすだけでも十分です。要は気持ちです、お札を置くことは神社が自宅にできたものと同じですので、より、日々の充実感が増すのではないかと思います。
◆うちの実家でもそうでしたが、神棚と仏壇が両方ある家も多いですよね。
◇そうですね。最後に神社と終活についてお話しします。実は神社にも「神葬祭」という葬式の儀式があり、四十九日にあたる五十日祭や仏壇にあたる祖霊舎など、仏教と同じようにご供養が存在しています、また、墓地や納骨堂を運営している神社も県内には多数あり、私もある神社の納骨堂の管理のお手伝いをしています。さらに終活相談会などで自分の家の宗派は、と話される方も多いのですが、確かに先祖から引き継がれた自分の宗派を守られることは大切だと思いますし、宗教観が薄れつつある現代において宗教宗派を守ることは立派なことだと思います。ただ、日本にいる限り神社に行ったことがない方は極めて少数ではないかと思います。
◆私も日本人にとって神社は特別な場所だと思います。「初詣」には毎年、相当数の人が行きますし、「七五三」で神社に行かれる人も多いと思います。また、住んでいる場所ごとに氏神様と呼ばれる氏神神社もありましたよね。
◇そうですね。私ごとなのですが、私の家は仏教寺院の檀家ですが、母親の葬儀は神道式の神葬祭で実施しました。また墓は神道型の墓石ですし、自宅には祖霊舎があります。このように、ご自分で納得のいく方法でご先祖の供養をされてはいかがでしょうか。
◆分かりました。今日はお正月特別版として「神社」についてお話ししていただきました。とくさん、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。