転ばぬ先の知恵
◆今週も先週に引き続き、NPO法人 終活支援協議会 理事長の徳沢 靖さんにお越しいただきました。おはようございます。
◇おはようございます。
◆今日は何についてお話しいただけますか?
◇はい。今回は初めてお話しする内容なのですが、企業の終活への取組みについてお話しします。
◆ほう!「企業の終活への取組み」ですか。よろしくお願いします。
◇はい。まず最近の時流なのですが、「終活」という言葉の認知度が進み、今や知らない人はいない状況です。そのような中、企業においても社員の福利厚生として「終活」の対応を進めています。福利厚生には各種ありますが、その中でも教育・研修支援、従業員のスキルや能力向上のための研修サポートの規定が注目されています。そこで全ての人が確実に関わってくる「終活」が注目されています。
◆なるほど。今や「終活」は完全に市民権を得たと言ってよい状況ですよね。
◇ただ、必要性について認識していても、いったいどうしたらいいのか分からないのが「終活」だと思います。また「終活」は、その範囲がどんどん拡大しており、しかし学問としての終活は始まっておらず、たとえば広辞苑には「終活」という言葉はありません。そのことからも、「終活」がより難しいものとなっているようです。
◆確かに。「終活」という言葉が出てきてまだ15年も経っていないんですが、その範囲はどんどん広くなっていますね。
◇しかし、確実に需要のある「終活」ですので、企業としても社員のために一部でも導入しようという動きがあります。そのために各士業や保険会社等と契約してセミナーや相談会を開いているのですが、現実には広い範囲の相談に対応することができず、問題解決に結びつかないことも多いと聞いています。「終活」の相談にはたとえば親の相続を受けて、そのお金で墓じまいをし、さらに配偶者や子供のために生命保険に入り遺言書も作りたい。また、同時に相続した不動産の処分もしなければならない。といった相談に全てを関連づけて回答することは専門職でも困難だと思います。
◆「介護」「保険」「年金」「遺言」「相続」「葬儀」「お墓」など終活の分野は広いですからね。
◇しかし、終活に特化した終活顧問が存在していれば、社員さんたちの、このような複合的な悩みについても聞くことができ、的確な判断ができるようになります。また、社葬、会社の葬儀ですね、各種の神事、お祓いですね、慰霊祭などのプロデュースのお手伝いや、葬儀マナー、また、法要や神事を行うお寺や神社との交渉、打ち合わせといった法人終活についても対応できます。
◆終活顧問とは、とくさんのような終活全般について幅広い知識を持つ終活カウンセラーのような存在ですか?
◇そうですね。終活の専門家というのは公的には存在しませんが、時代の要請で現実的には終活カウンセラーのような民間資格者が終活問題を全体的に対応するキャリアとして重宝されています。
まとめますと、企業が終活を福利厚生として導入することにより、まずは社員のメンタルヘルスの向上に繋がります。社員が終末期のことを考えることは、ストレスや不安を抱えることがあります。終活のサポートを通じて、社員のメンタルヘルスを向上させることが期待できます。
◆「社員のメンタルヘルスの向上に繋がる」とは具体的にはどういうことですか?
◇日本や中国では寿陵墓(じゅりょうぼ)という風習があります。これは生前に自分のお墓を建てることで「長寿」「子孫繁栄」といった極めて縁起の良いことが起こると言われており、聖徳太子も、この寿陵墓を建てたと言われています。実はこれ科学的根拠があり、墓の建立は人生の一大イベントですので、これを生前に終えることはそのストレスから解放されて「長寿」につながるものと医学的にも結論づけされています。これと同じで、墓の建立以外でも終活にまつわるストレスを解消することで大きくメンタルヘルスの向上につながると考えられます。
次にワークライフバランスの向上です。終活のサポートを提供することで、社員が仕事とプライベートの両方を大切にすることができるようになります。
◆「ワークライフバランス」も具体的に教えてください。
◇ワークライフバランスとは、いかに仕事に専念できる環境を作るかということです。終活に対するストレス解消は結果として生産性の向上に繋がり、企業としても大きな収益につながるものだと思います。また企業の社会的責任として、終活の導入は企業が従業員の生活全般に配慮する姿勢を示すことにつながり、企業の社会的責任を果たす一環となります。
このように終活の重要性が高まる中で、企業もその重要性を認識し、従業員や経営者の終活をサポートすることが、組織全体の健全な発展につながると言えます。
◆従業員自身のことも大切ですが、その前に親の今後に不安を抱いている方も多いでしょうから、その相談が出来ることも大きいと思います。
◇ただ、残念ながら企業における「終活」の導入については前例があまりなく、そのため導入に躊躇されている様子が伺えます。もちろん顧問となる終活の相談員によるアピール不足もあります。しかしながら最新の福利厚生として「終活」を選ぶのは、企業としてのセンスであり、ひいては企業価値の向上に結びつくのではないでしょうか。
◆「終活」を企業の福利厚生の一環として導入することは、「終活」と少し関わっている私から見てもとても大切なことだと思います。今後、増えてくると思いますよ。
◇さらに事業承継についても終活の範疇であるとの見方もあり、その知識も必要となってきます。また、以前お話ししたウェルビーイングについてもウェルビーイング経営という言葉が出てきており、これも終活との親和性が高いものであると判断されています。
◆企業が「終活」を取り入れ、心身ともに良好なウェルビーイング経営に繋がっていくと良いですね。今日はとくさんに「企業の終活への取組み」についてお話しいただきました。ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週はNPO法人山口県終活支援協議会理事長、徳沢靖さん、通称とくさんにお越しいただきました。とくさん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆今日は何についてお話しいただけますか?
◇今日は特別バージョンでお送りしたいと思います。実は先月、終活カウンセラー協会の「終活カウンセラー2級検定」がWEBと山口市内で開催されました。そして、この番組から2名のカウンセラーが誕生しましたのでご紹介したいと思います。ディレクターの伯野茂樹さんと、パーソナリティの大谷泰彦さんです。お二人ともおめでとうございます。
◆ありがとうございます。
◇これでお二人とも、立派なカウンセラーですから、今後は相談会やセミナーなどでご活躍されることと思います。そこで、今回はお二人に検定を終えての感想などをお聞きしたいと思います。
◆なるほど。今日はとくさんが司会者で、終活カウンセラー2級検定を受けた私とディレクターの伯野さんに感想を聞くということですね。分かりました。ではよろしくお願いします。
◇まずは検定セミナーを受講しての感想をお聞きしたいと思います。まずは伯野さん、いかがでしたでしょうか。
■初めまして。私は番組スタート当初から「転ばぬ先の知恵」コーナーを担当しております伯野と申します。よろしくお願いします。
さて検定セミナーですが、とくさんに薦められて7月30日(日)に山口市のKDDI維新ホールの会議室で受講しました。午前10時から午後3時15分まで、昼食時間を挟んでびっしりと講義がありました。その後、30分の検定試験を受けました。武藤代表理事をはじめとした講師の方々の熱い講義で、大変勉強になりましたが、できる限り吸収したいという気負いすぎもあり、頭がパンパンになりすごく疲れました。知恵熱が出るかと思いました。
◇ヤスベェさん、どうでしたか。
◆僕は当日、仕事が入っていたためオンラインでの受講でした。2日間に渡り計6時間でしたが、講師の方々の親切かつ分かりやすい講義で途中で眠くなることもなく楽しく学ぶことが出来ました。なぜかこちらのマイクスイッチが途中切れていたようでコミュニケーションが取れず失礼しました。デジタルがどうも苦手で(笑)
◇ありがとうございます。実は私も今回の検定では講師として「保険」科目を担当したのですが、WEBも実地セミナーも認定講師としてはデビューでして、お二人が受講されているのは分かっていましたが、自分のことで精一杯でして、全く忖度する余裕がありませんでした。最も今からは同じ終活カウンセラーですので、お互いに頑張っていきたいと思っています。
さて、次にカウンセラーとなられてさらなる目標ができたのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。伯野さん、どうですか。
■そうですね。今回「終活カウンセラー協会」の代表理事、副代表理事の講義を受け、大変感銘を受けました。もともと「終活」は大切なものだと思っていますが、今回その思いをより強くしました。引く続き「終活」の勉強を続け、近い将来「終活」が仕事になればいいなと思います。
「相続」「葬儀・お墓」「介護」等々、後を託す人が困らないように準備することも重要な「終活」ですが、私が一番大切だと思っていることは「生まれてから現在までの自分の人生を振り返って、自分の歴史「自分史」をつくる。そして今の自分の健康状態・意欲・将来の経済状況を考えて、今後やりたいことを見つけ、それに向かって進んでいくこと」です。健康とやる気があれば、「人生100年時代」時間は十分にありますので、何でもできます。そんな前向きな生き方を進めていきたいと思います。
◇ヤスベェさん、いかがですか。
◆この番組は、シルバー世代向けのラジオプログラムが少ないというところから、自身も還暦を超え、何かリスナーの皆さんと一緒に学びながら様々な情報を共有できる番組はないかなと思い自分がプロデュースして始めたものです。1回目からとくさんには準レギュラーとして活躍してもらってます、本当に感謝です。おかげ様で両親は高齢ですが元気で暮らしており、そこで自分自身も老後に備えて今回のカウンセラー取得がこれからの人生の役に立てばと思ってます。そして何より、僕がカウンセラーの資格をとることによってリスナーの皆さんにより分かりやすく終活を伝えられたらと決意を新たにしています。
◇今では終活にもいろいろな資格が存在していますが、民間資格とはいえ、これを取得することは、相当な意義があると思っています。なぜなら資格取得のためには相応の勉強をしなければならず、終活をするに当たっての大きな指針になると思うからです。また、広い範囲の終活に総合的な対応できる強みがあり、以前、お話ししたように町医者のように総合的に相談を受け、専門職のアドバイスが必要な時には専門職に繋ぐ大切な役割があります。また、セミナーや相談会について開催要領や裏方の役割などを含めて広く学ぶことができるため、終活に限らず広く社会人としてのスキルを向上させることができると思います。
◆そうですよね、上級者になればパワーポイントの作成要領や機材のセッティング、果ては司会進行までスキルとして習得する必要があるようですからね。
◇いずれにせよ今回の検定でお二人とも2級カウンセラーとなられたので、次は更なるスキルアップのため1級カウンセラーを目指して下さい。
◆はい、がんばります。とくさんのおかげで2人とも良い経験をさせていただきました。また「終活」の大切さを改めて感じました。とくさん、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週も先週に引き続き不動産、特に土地について学んでいこうと思います。今日も周南市で開業されています司法書士 藤井彰事務所所長 藤井彰さんにお越しいただきました。藤井さん、おはようございます。
◇おはようございます。
◆先週は「相続登記の申請義務化」という大切なお話をしていただきましたが、今週のテーマは何でしょうか?
◇今日は「相続土地国庫帰属制度」について、お話ししたいと思います。
◆「相続土地国庫帰属制度」ですか。難しそうなテーマですが、出来るだけ分かりやすくお願いします。
◇分かりました。実はこの「相続土地国庫帰属制度」はすでに創設され、令和5年4月27日から施行されているんです。
◆4月からすでに施行されているんですね。どのような制度なんでしょうか?
◇はい。土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの、土地を手放したいと考える人が増加しています。また相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており、管理の不全化を招いています。
◆土地の買い手があれば売却したいが、なかなか買い手がつかない。また古くなった家屋を壊す必要もあるので、どうしようか悩んでいるという方も多いでしょうからね。
◇そうですね。平成30年度版の土地白書によると、土地所有に対して負担を感じたことがある、または感じると思う人は約42%に上っています。
◆42%ですか。多いですね。
◇所有者不明の土地の発生を抑えるため、相続や遺贈により土地の所有権を取得した人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が創設されました。
◆先週も出ました「九州の面積以上ある」と言われるほど多い所有者不明土地の発生を抑えるため、創られた制度がこの「相続土地国庫帰属制度」なんですね。ところで遺贈とは何ですか?
◇遺贈とは、故人の残した遺言にのっとって、その遺産の一部、あるいはすべてを譲ることを指します。相続との違いは、遺言を残す必要があるということ、そして譲る相手は法で定められた相続人でなくてもよいし特定の個人でなくてもよいということです。
◆「遺贈」の意味がよく分かりました。
◇令和2年の法務省調査によると、土地を国庫に帰属させる制度の利用を希望する世帯が約20%となっています。
◆20%ですか。相続した土地の処分に困っている人には有効な方法の1つでしょうね。
◇そうですね。この申請ができるのは、相続や相続人に対する遺贈により土地の所有権を取得した相続人です。土地が共有地である場合は、相続や遺贈によって持分を取得した相続人全員で申請する必要があります。相続登記がされてなくても、申請する土地を相続または遺贈によって取得したのであれば申請することができます。ただし所有者であることを証する書面(戸籍事項証明書等)を添付する必要があります。またこの制度が始まる前に相続した土地であっても申請することができます。
◆「相続土地国庫帰属制度」を利用できる人は、相続または遺贈により土地の所有権を得た相続人ですね。またこの制度が始まる前に相続した土地であってもこの制度を利用することができるということですね。
◇はい。国庫帰属の用件は法令で定められており、まず申請自体ができない土地には、建物の存在する土地、抵当権などの担保権や、賃借権のような使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地、現に通路として使用されている土地が含まれている土地、境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属または範囲について争いがある土地などです。
また土地の通常の管理または処分を阻害する工作物、車両または樹木その他の有体物が地上に存する土地などは帰属の承認がされません。
◆「建物がある土地」「担保権や使用収益権が設定されている土地」など、国が引き取れない土地、要件があるということですね。
◇農地や森林でも申請することができます。農地であっても申請前に農業委員会の許可取得は不要です。
◆なるほど。申請方法はどうすればよいのですか?
◇申請方法は、法務局本局(山口県では山口地方法務局)に申立人または法定代理人が来庁するか郵送で申請します。まず法務局手続き案内サービスから、土地の所在する法務局の本局で相談の予約をして下さい。相談の際には登記事項証明書、法務局で取得した地図、土地の現況がわかる写真などを持参して下さい。
◆山口県の場合、山口地方法務局に申請するんですね。費用はかかりますか?
◇審査にかかる審査手数料は土地一筆当たり14,000円です。
◆「一筆」とはどういう意味ですか?
◇土地は、地番あるいは家屋番号ごとに「一筆」という数え方をします。国庫帰属の承認が受けられた場合、土地の性質に応じた標準的な管理費を考慮して算出された10年分の土地管理費相当の負担金を支払う必要があります。申請があった土地は「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に区分され、その区分に応じて納付が必要となる負担金が決まります。いずれの場合も原則一筆につき20万円ですが、面積単位で負担金を算出する場合もあります。
◆一筆あたり基本20万円の負担金がかかる訳ですか。藤井さん、最後に一言お願いします。
◇「相続土地国庫帰属制度」の目的は先に言いましたように、所有者不明土地の発生を抑えるためのものです。まず相続登記をした上で、国庫に帰属させるこの制度の利用を考えて下さい。
尚、申請自体は本人しかできませんが、申請書類の作成業務は、司法書士、弁護士、行政書士に限り、依頼することができます。司法書士会などにお問い合わせ下さい。
◆藤井さん、2週にわたり「土地の所有者不明問題」とそれに対する法改正、解決策の大切なお話、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。
◆今週と来週は、「不動産:特に土地」について学んでいきたいと思います。今日は、周南市の司法書士 藤井彰事務所所長の藤井彰さんにお越しいただきました。藤井さん、よろしくお願いします。
◇よろしくお願いします。
◆まずは、藤井さんのプロフィールを簡単にご紹介しましょう。1958年(昭和33年)徳山市(現在の周南市)のお生まれ。1989年に司法書士登録、1991年に行政書士登録をされ、同年 故郷の周南市に司法書士 藤井彰事務所を開設されました。そして2013年5月から4年間、山口県司法書士会会長を務められ、2020年6月から今年6月まで、日本司法書士会連合会 司法書士中央研修所の所長を務められました。藤井さん、輝かしい経歴をお持ちですね。
◇いえいえ、単に長くやってきただけです。今年、前期高齢者になってしまいました。
◆まず司法書士とはどういうお仕事なのか、分かりやすく教えてください。
◇はい。司法書士は、不動産登記、商業登記、また認定を受けた司法書士は簡易裁判所での訴訟代理業務を行うことができます。土地を購入したり建物を建てたりしたときに、司法書士に登記の依頼をされたこともあると思います。
◆私は「司法書士とは登記を中心とした法律事務の仕事をする専門家」という認識でしたが、簡易裁判所での訴訟代理業務を行うこともあるんですね。分かりました。さて、今日は何についてお話しいただけますか?
◇はい。最近話題になっている相続登記の申請義務化についてお話ししたいと思います。
◆「相続登記の申請義務化」ですか。ではよろしくお願いします。
◇分かりました。来年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。所有者が亡くなったのに相続登記がされないと、登記簿を見ても現在の持ち主がわからず、復旧・復興事業等や取引が進められないといった問題が起きています。この「所有者不明土地問題」を防ぐための法律が令和3年4月に成立し、来年、相続登記の申請が義務化されることになります。
◆以前、新聞で「所有者不明土地の面積が九州の面積以上ある」という衝撃的な記事を見ましたが、これはこの問題に歯止めを掛けるための法律なんですか?
◇そうです。先ほども言いましたように、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されますが、さらに令和8年4月までには、住所、氏名の変更があった場合、その変更の登記も義務化されます。相続登記申請の義務化については、過去に発生した相続も対象になりますが、相続登記の申請については、制度のスタートから3年間の猶予があります。
◆3年間の猶予があるということですね。しかし難しい問題ではありますよね。所有者と連絡が取れないと公共事業の用地取得が出来なくなったり、空き家が管理されず長期間放置されると景観の悪化だけでなく、家屋が倒壊したりゴミの不法投棄を招いたりしやすくなりますよね。しかし一方、相続した人がその家に住めればよいのですが、少子化や働いている場所などの問題で住めない、借りてくれる人もおらず、家を壊すには大きな費用がかかり、土地も安く売りにくいという現状もありますよね。
◇そうですね。この新しい制度では、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。ただし、例えば関係者が多くて必要な資料を集めるのが難しい場合などは罰則の対象になりません。今日は詳しくは話せませんが、相続した土地を国に引き取ってもらう制度がすでに始まっています。
◆何代も前から名義が変更されていないというケースもあるでしょうね。
◇私の経験でも4代にわたって相続がされていない事案もありました。制度がスタートした後、不動産を相続したとしたら、相続人の間で遺産分割の話し合いが整った場合にはその結果を踏まえた登記をすることになります。話し合いが難しいような場合には、今回新たに作られた「相続人申告登記」の手続きをとることで、義務を果たすこともできます。この手続きは、自分が相続人であると申告して、それを示す戸籍を出せば、一人で行うことができます。
◆なるほど。いずれにしても「所有者不明土地問題」「空き家問題」はどうにかしないといけない課題ですよね。
◇そうですね。相続登記について不明な点がある場合は、お近くの法務局や、山口県司法書士会などにご相談下さい。また法務省の専用ホームページでも、相続登記を推進するさまざまな取り組みの情報提供をしています。
◆分かりました。大変重要なことですね。今日は大切なお話、ありがとうございました。
◇ありがとうございました。