ヤスベェの人生100歳満点!

転ばぬ先の知恵

2023年05月 月間アーカイブ
地域包括ケアシステムについて
2023/05/27放送
出演者
山口県長寿社会課 地域包括ケア推進班 班長 木村 和人さん

◆当番組のタイトル「ヤスベェの人生100歳満点」でもありますように、人の寿命は伸び続けており、「人生100年時代」と呼ばれるようになってきました。今後さらに高齢化は進むと見られており、全国的に導入が進んでいますのが「地域包括ケアシステム」と言われるものです。今日はこの「地域包括ケアシステム」について皆さんと一緒に学びたいと思います。スタジオには山口県長寿社会課 地域包括ケア推進班 班長の木村和人さんにお越しいただきました。木村さん、よろしくお願いします。
 
◇よろしくお願いします。
 
 
◆以前にも山口県長寿社会課さんにはご出演いただいたことはあるのですが、改めてどういうことをする部署なのか教えてください。
 
◇はい。長寿社会課は、山口県の高齢者施策の総合調整をはじめ、高齢者の福祉や介護保険に関する事務などを所管している部署になりまして、市町や関係団体等と一体となって、本県の高齢者保健福祉の推進に取り組んでいます。
 
 
◆県内の高齢者のことを総合的に考える部署と言うことでよろしいでしょうか?
 
◇はい、大丈夫です。
 
 
◆それでは「地域包括ケアシステム」について、詳しく教えてください。
 
◇はい分かりました。まず山口県の高齢者の状況ですが、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率と言いますが、一般に、高齢化率が21%を超えると超高齢社会と言われます。令和4年10月1日現在で山口県の高齢化率は35.2%と、全国第3位となっており、全国に先行して高齢化が進行しています。
 
 
◆そうなんです。以前教えていただいて驚きましたが、なんと山口県の高齢化率は全国3位なんですね。
 
◇はい、そして令和7年(2025年)には、団塊の世代が全員75歳以上となり、また、令和22年にはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上になることから、今後、県全体の年齢構成の高齢化が進むことが予想されています。
 
 
◆そうなると高齢化率がさらに高くなっていきますね。
 
◇はい、本県の65歳以上の高齢者人口は、令和2年の約46万7千人をピークに緩やかに減少に転じることが予想されていますが、一方で、年少人口や生産年齢人口の減少が大きいことから、一層の高齢化が進むことが予想されています。高齢化が進むと高齢単身世帯や認知症の人の増加が見込まれ、医療や介護サービスを受ける人が多くなることが見込まれます。
 
 
◆そうですよね。
 
◇そこで県が市町と連携して取り組んでいるのが、「地域包括ケアシステム」の推進なんです。「地域包括ケアシステム」とは、高齢者の方が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい自立した日常生活を続けることが出来るよう、医療、介護、予防、住まいそして生活支援の各サービスが一体的・総合的に提供される体制です。
 
 
◆誰しも生涯にわたり、住み慣れた家庭や地域で、安心していきいきと暮らしたいものですよね。「地域包括ケアシステム」の内容を具体的に教えてください。
 
◇具体的には、皆様が暮らしている市や町が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築していくことになります。
 
 
◆具体的な内容は各市町の特性に応じて違うんですね。

◇はい。そして、この取組の拠点となるのが、各市町に設置されている「地域包括支援センター」で、高齢者の方が地域で安心して暮らしていけるよう、様々な相談に対応するなど総合的な 支援を行っています。

 
◆「地域包括ケアシステム」の中心となる場所が、「地域包括支援センター」なんですね。
 
◇はい。また、地域包括支援センター等が開催する「地域ケア会議」という会議もあります。
 
 
◆「地域ケア会議」とはどういうものですか?
 
◇この会議は、当事者だけでは解決できない困難な課題に対して、医療や介護などの専門職から地域住民まで幅広い人が集まり、困っている高齢者の支援方法を検討するとともに、地域に共通した課題を発見し、その解決をみんなで考える会議です。
 
 
◆1つの「地域包括支援センター」だけでは解決が難しい課題などを医療や介護の専門家、色々な分野で活動を行っている地域住民、そして各「地域包括支援センター」の方々などが集まって解決策を考える会議が「地域ケア会議」なんですね。大変重要な会議ですね。
 
◇はい。このようなことから「地域包括ケアシステム」は、私たちの手でつくる「地域づくり」とも言えると思います。
 
 
◆そうですね。地域に根差し、地域を挙げて高齢者の意思を尊重しながら支えるシステムという感じがしますね。
 
◇県も、各市町に設置された地域包括支援センターの体制の強化や総合相談機能の強化を支援していますので、介護や生活のことで悩み事などがあれば、まずはセンターに相談していただきたいと思います。
 
 
◆今日は「地域包括ケアシステム」のことがよく分かりました。木村さん、ありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。
 
 
◆来週は「地域包括ケアシステム」の中核的な役割を担う「地域包括支援センター」について、学んでいこうと思います。

フレイルの予防法とロコモティブシンドロームについて
2023/05/20放送
出演者
医療法人さいとう整形外科 理事長兼院長 斉藤 良明 さん


◆先週と今週はラジオネーム「さきちゃん」さんの要望により「フレイル」について、学んでいます。先週は「フレイル」とは、加齢によって心身が老いて衰えた状態のことで、健康な状態と要介護状態の中間の段階であること、そして「フレイルの症状」「フレイルの基準」について教えていただきました。今日も医療法人さいとう整形外科 理事長兼院長 斉藤 良明さんにお越しいただきました。斉藤先生、よろしくお願いします。
 
◇よろしくお願いします。
 
 
◆さて、今日のテーマは「フレイルの予防法」と「身体的フレイル」の中のロコモティブシンドロームについてですね。ではまず「フレイルの予防法」からお願いします。
 
◇はい。「フレイルの予防法」には3つの柱がありまして、①「栄養」、②「身体活動」、③「社会活動」です。
①「栄養」は、活力の源です。エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど必要な栄養素を取ること。特に筋肉量を増やすタンパク質、骨や筋肉の健康を保つビタミンD、骨折予防や骨量を維持のためのカルシウムが大切です。そして食事では、この栄養素を含む食品を1日3食、バランスよく取ってください。
②「身体活動」は、歩いたり、筋トレなどの運動です。少しの運動でも継続して行うことが大切です。筋力の低下を防ぐことで、転倒・骨折で寝たきりになるリスクも軽減されます。
③「社会活動」。特に社会参加の機会が低下するとフレイルの最初の入り口になりやすいことが分かってきました。地域のボランティア活動に積極的に参加したり、趣味のクラブに入会したり、自分にあった活動を見つけることが大切です。
この「栄養」「身体活動」「社会活動」は、どれか1つだけをすればいいというものではありません。3つの柱をうまくリンクさせて自分の生活サイクルに組み入れていくことが大切です。この3本柱は、「フレイルの予防法」であるとともに「健康寿命を延ばす」ことにもつながります。
 
 
◆「フレイルの予防法」は、「栄養」「身体活動」「社会活動」が3つの柱で、言い方を変えれば「健康寿命を延ばす」ためにも必要なことなんですね。よく分かりました。続いて「身体的フレイル」の中の1つ、ロコモティブシンドロームについてですね。分かりやすく説明してください。
 
◇はい。人間が立つ、歩く、作業するといった体を動かすために必要な仕組み全体を運動器と言います。運動器は骨・関節・筋肉・神経などで成り立ってますが、これらの組織の障害によって立ったり歩いたりするための身体能力が低下した状態を「ロコモティブシンドローム」(通称ロコモ)と言います。先週お話ししました「フレイル」になる3つの側面の一つ「身体的フレイル」の代表的なもので、実は要支援、要介護になる原因のトップは、転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障なんですが、この「ロコモティブシンドローム」が進むと起こるものなんです。
 
 
◆えっ!要介護、要支援になる原因のトップが「ロコモティブシンドローム」が進むと起こるのですか。では「ロコモ」ついて、よく知っておく必要がありますね。「ロコモ」になる原因は何ですか?
 
◇軟骨がすり減ったために発症した関節の変形や骨折が原因と考えられていますが、それだけではありません。運動不足、肥満、外出機会の低下によるいわゆる閉じこもり症候群も原因です。つまり、きっかけは様々ですが、活動量が減ることからロコモを引き起こしています。
 
 
◆なるほど。動くことが少なくなると「ロコモ」になる可能性が高まるということですね。ロコモの患者さんは、先生の診療所でもたくさんいらっしゃいますか?
 
◇はい、昔は整形外科を受診する患者さんは若い方が中心でした。交通事故や労災事故でけがを負った方が多く、当然ながら回復すれば治療は終了します。しかし、平均寿命が延びるのに伴って、骨粗鬆症や骨折、変形性関節症、脊柱管狭窄症など運動器の問題で受診される高齢の方が増えてきました。この人たちの中には、一度治ってもまた別の理由で受診して、それを繰り返すうちに要介護になってゆく人も多くなってきています。
 
 
◆ロコモかどうかを確認する方法はありますか?
 
◇「ロコモ度テスト」には3つの方法があります。
1つ目は片脚または両脚でどれくらいの高さの台から立ち上がれるかをしらべる「立ち上がりテスト」、
2つ目は2歩分の歩幅を測る「2ステップテスト」です。
3つ目は運動器の不調に関する25の質問に答える「ロコモ25」です。これらのテストの結果により、ロコモでない状態。ロコモが始まっているロコモ度1、ロコモが進行したロコモ度2、ロコモがさらに進行して社会参加に支障をきたしているロコモ度3を判定できます。そしてロコモ度3の状態を「身体的フレ
イル」と言うのです。
 
 
◆ロコモ度1・2はまだフレイルではないのですね。私たちはロコモおよびフレイル対策としてどのようなことに取り組めばよろしいのでしょうか?
 
◇時系列に注目して考えますと、最初に現れるのは生活習慣病・やせ、続いてロコモ、その後にフレイルがおこります。つまり身体的フレイルに限って言えば、ロコモのほうが早くから始まるので、まずはロコモ対策に取り組み、それで運動機能が維持・回復できれば、フレイルへの進行が防げます。ヤスベエさん「80GO(ハチマルゴー)運動」って聞いたことがありますか?
 
 
◆ハチマルゴーですか?ないです。どういった運動ですか?
 
◇はい、80歳でも元気に外出出来るよう活動性の維持を目指す運動です。具体的には10秒で11m歩くという歩行速度目標があり、このスピードで歩ける機能を保つことが大事とされています。また、歩行速度は歩幅と強い相関関係がありますので、歩幅を保つことも大切です。
 
 
◆80歳になっても活動的でありたいですよね。身体的フレイルおよびその前段階のロコモの予防と早期発見・対策が、要介護リスクを減らすために重要なことがよくわかりました。斉藤先生ありがとうございました。
 
◇ありがとうございました。
 
 
◆先週と今週は、ラジオネーム「さきちゃん」さんからの要望で「フレイル」について詳しく、斉藤先生にお聞きしました。

フレイルについて
2023/05/13放送
出演者
医療法人さいとう整形外科 理事長兼院長 斉藤 良明 さん

◆今日は、ラジオネーム「さきちゃん」さんからこのコーナー宛てにメールをいただきましたのでご紹介します。
「おはようございます。シルバー世代ではないのですが、毎回大変 為になるお話を、わかりやすく伝えていただけるので、楽しみに聴いています。ところで、夏が来る前にシルバー世代の問題「フレイル」について取り上げられてはいかがでしょうか?私には90歳を超えた祖母がいるのですが、夏になるといつもより更に食欲が落ち、食事が疎かになっています。これ高齢者あるあると思うのですが、私や家族が言っても聞く耳ナシ、でもヤスベェさんが専門家の方と、いつものとくさんとの回のように面白く詳しくお話されたらきっと同じ夏より食欲が疎かになるシルバー世代に届くはず!是非よろしくお願いします。」
とのことです。先週・先々週の「食事・栄養」の回でも「フレイル」が出てきましたが、今週・来週は、「さきちゃん」さんのご要望にお応えして「フレイル」をトータル的にお送りしたいと思います。医療法人さいとう整形外科 理事長兼院長 斉藤 良明さんにお越しいただきました。斉藤先生、よろしくお願いします。
 
◇よろしくお願いします。
 
 
◆斉藤先生は、このコーナーのご出演は3回目になるのですが、改めまして先生のプロフィールをご紹介します。先生は、柳井市ご出身。故郷で地域医療を提供したいとの強い想いを持ち、2010年12月平生町に医療法人さいとう整形外科を開かれました。好きな言葉は「思いやり」「感謝の気持ち」で、郷土愛とやさしさに満ちた、笑顔の素敵な先生です。では先生、「フレイル」について分かりやすく教えてください。
 
◇分かりました。
 
 
◆まず「フレイル」とは何ですか?教えてください。
 
◇「フレイルと」とは、「加齢により心身が老いて衰えた状態」のことで、健康な状態と要介護状態の中間の段階と言えます。そして「フレイル」には色々な要素があるのですが、大きく3つの側面に分かれます。
 
 
◆「フレイル」とは「加齢により心身が老いて衰えた状態」のことで、大きく3つの側面があるんですね。
 
◇はい。

1つ目は「身体的フレイル」。運動器の障害で移動機能が低下したり、筋肉が衰えたりするなどが代表的な例です。高齢期になると、筋力は自然と低下していきます。
2つ目は「精神・心理的フレイル」です。高齢になり、定年退職や、パートナーを失ったりすることで引き起こされる、うつ状態や軽度の認知症などを指します。
3つ目は「社会的フレイル」です。加齢に伴って社会とのつながりが希薄化することで生じる、独居や経済的困窮の状態などを言います。そしてこれら3つの「フレイル」が連鎖することで、老い(自立度の低下)は急速に進みます。
 
 
◆「フレイル」には、「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の3つの側面があり、これらが連鎖すると急速に悪化するんですね。「フレイル」になると具体的にはどうなるんですか?
 
◇「フレイル」状態になると、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になります。例えば健常な人が風邪をひいても、体の怠(だる)さや発熱があっても数日すれば治ります。しかし、フレイル状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠(だる)さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。また、入院すると環境の変化に対応出来ずに、一時的に自分がどこにいるのか分からなくなったり、自分の感情がコントロール出来なくなることもあります。転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうこともあります。
 
 
◆ただの風邪だと軽く考えているうちに重篤化することもあるのですね。「フレイル」はこわいですね。
 
◇そうなんです。しかし、家族や医療者が早く気づき対応することが出来れば、「フレイル」の状態から健康な状態へ改善したり、要介護状態にならずに済むことも可能なんですよ。
 
 
◆対応が早ければ健康な状態に戻すことが出来るんですね。斉藤先生、「フレイル」かどうかを調べる基準はあるのですか?
 
◇はい。アメリカのフリード博士が提唱した指標が「フレイルの基準」としてよく使われます。それは5つの質問なんですが、その内3つに該当するとフレイル、1~2つ該当するとプレフレイルと判断します。今からその質問をしますので、ヤスベェさんもリスナーの皆さんもいくつ該当するかやってもてください。
 
①体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
②疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
③歩行速度の低下
④筋力(握力)の低下
⑤身体活動量(運動、体操)の低下   です。
 
 
◆「体重減少」「疲れやすい」「歩行速度の低下」「筋力(握力)の低下」「身体活動量の低下」の5つですね。リスナーの皆さんはどうですか?該当する項目はありましたか?
私は~    。
そろそろ時間となってしまいました。今日はラジオネーム「さきちゃん」さんからの要望で「フレイル」について斉藤先生にお聞きしました。先生、来週のテーマは何でしょうか?
 
◇来週は「フレイルの予防」と「身体的フレイル」の中のロコモティブシンドロームについて、お話ししようと思います。
 
 
◆大切なテーマですね。斉藤先生、来週もよろしくお願いします。
 
◇よろしくお願いします。
 
 
◆尚、メールをいただきました「さきちゃん」さんには、終活カウンセラー協会監修によるエンディングノート「マイ・ウエイ」をお送りいたします。

高齢者の食事の際のポイント
2023/05/06放送
出演者
山口県健康福祉部 健康増進課 健康づくり班 松本 ふみ さん

◆今週も先週に引き続き、「食事・栄養」について学んでいこうと思います。山口県健康福祉部 健康増進課 健康づくり班の松本 ふみ さんです。松本さん、おはようございます。今週もよろしくお願いします。
 
・おはようございます。よろしくお願いします。
 
 
◆先週は「高齢者の食事に必要な栄養素~低栄養によるフレイルの予防~」というテーマで、特に重要な栄養素は、たんぱく質、ビタミンD、カルシウム、そしてバランスのとれた食事が重要というお話でしたね。松本さん、今週のテーマは何でしょうか?
 
・はい。今日は「高齢者の食事の際のポイント」についてお話しします。
 
 
◆今週のテーマは「高齢者の食事の際のポイント」ですね。ではお願いします。
 
・はい。まずは、高齢者の食事はどのようにそろえればよいのでしょうか。ヤスベェさん、大事な食品は何だと思われますか?
 
 
◆大事な食品ですか。そーですね。「肉」「魚」「大豆」ですかね。
 
・正解です。「お肉」「お魚」「大豆」は大事ですね。実はこの3食品を含む今から申し上げる10個の食品を一日に1回は食べるようにすると、筋力の維持に効果がある可能性があると言われています。
 
 
◆ほ~、10個の食品ですね。教えてください。
 
・その食品は①肉類、②魚介類、③卵類、④大豆、大豆製品、⑤牛乳、⑥緑黄色野菜、⑦海藻類、⑧いも、⑨果物、⑩油を使った料理です。
 
 
◆どれも体に良い食品として聞いたことがありますね。繰り返しますと①肉類、②魚介類、③卵類、④大豆、大豆製品、⑤牛乳、⑥緑黄色野菜、⑦海藻類、⑧いも、⑨果物、⑩油を使った料理 の10食品ですね。
この10食品を一日に1回は食べるようにすると、筋力の維持に効果があると言われているんですね。
 
・はい。そして、これらを無理なく食べるためには、食事の中に主食(ごはん、パン、麺類など)、主菜(肉、魚、卵、豆腐などのおかず)、副菜(野菜やきのこ類、いも類を使ったおかず)、汁物、乳製品、果物をそろえることです。これらをそろえることで、たんぱく質やビタミンD、カルシウムをはじめとした栄養素がとれるようになります。
 
 
◆なるほど。「主食」「主菜」「副菜」「汁物」「乳製品」「果物」ですね。そしてこれらを一緒に食べることで、重要な栄養素である「たんぱく質」「ビタミンD」「カルシウム」をはじめとした栄養素が取れるわけですね。
 
・はい。食欲がない方は、先におかずを食べ、ご飯などの主食を控えめにするとよいでしょう。食事を欠食すること(抜くこと)は栄養素が全くとれなくなるため、できるだけ避けて、何か一口は食べるようにしましょう。
 
 
◆いくら食欲がなくても食事を抜くことは避けるべきということですね。
 
・はい。なかなかここまで食べられない方については、間食、つまりおやつの時間に食べられなかったものを食べるようにすることです。例えば、主菜をあまり食べられなかったのなら、チーズやヨーグルトなど、副菜が食べられなかったのなら甘味の少ない野菜ジュースなどです。また、最近ではドラッグストアなどで、たんぱく質が多めのゼリーや飲み物が購入できますので、こういったものを活用してもいいと思います。
 
 
◆なるほど。一度の食事で「主食」「主菜」「副菜」「汁物」「乳製品」「果物」が食べられない場合は、間食で補うということですね。
 
・間食のおやつというと、お菓子をイメージされるかもしれませんが、お菓子はどうしても食べ過ぎてエネルギーを取りすぎてしまう傾向にあります。そうなると、次の食事もあまり食べられなくなり、バランスよく食べることが難しくなるため、注意が必要です。
 
 
◆そうですね。
 
・また、バランスの良い食事をそろえても、噛みづらい、飲み込みづらいなどがあると食べられずに残してしまうことにもつながります。食べやすくする工夫として、硬いものは小さめに切る、柔らかくなるよう調理をする、パサパサしたものはとろみをつけるなどがあります。料理できる方はそのような工夫を、料理が難しい方には、市販の食品で、柔らかく、飲み込みやすくしたものもありますので、そういったものを活用してもよいかもしれません。
 
 
◆そうです。年を取ってくるとどうしても歯が悪くなったり、飲み込みづらくなりますからね。食べやすくする工夫は大切ですね。
 
・味付けについては、塩分を控えるのが理想はですが、加齢により、味を感じにくくなることがあるため、どうしても濃い味付けになることがあります。ご自分で料理されるのであれば、だしや香辛料、酢などを利用する、味付けは食べる直前に行うことなどで、少ない塩分でも満足した味付けにすることができます。
 
 
◆塩分を控える工夫も大事ですね。
 
・はい。また食べるときは、可能であれば一人ではなく家族や知り合いの方と一緒に食べることで、食欲も増加し、一人の時よりもしっかり食べることができます。ここ数年は新型コロナウイルスの影響で会食などの機会が少なくなっていましたが、それも緩和されてきていますので、ぜひ誰かと共に食べる「共食」で楽しくバランスよく食事をとられてください。
 
 
◆は~、一緒に食事をすることは大切ですね。これが一番かもしれませんね。松本さん、シルバー世代、高齢者が食事をする際、気を付けることは色々ありますね。
 
・そうですね。今日のまとめになりますが、バランスの良い食事は、主食、主菜、副菜、汁物、乳製品、果物をそろえること。そして食事を食べやすくする工夫をすることが大切です。
 
 
◆松本さん、今日は大切なお話、ありがとうございました。
 
・ありがとうございました。