転ばぬ先の知恵
◆先週は、山口県社会福祉協議会の大河原(おおかわら)部長にご出演いただき、「社会福祉協議会」とはどういう組織かということと、「ねんりんピック」「老人クラブ」について学びました。山口県内の市町にはそれぞれ「社会福祉協議会」がありますが、今日は社会福祉法人 防府市社会福祉協議会から地域福祉係 佐々木 めぐみ さんにお越しいただきました。佐々木さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
◆今日はどうようなテーマでお話しいただけますか?
今日は、防府市の地域福祉活動の中から「ふれあい・いきいきサロン」についてお話したいと思います。
◆「ふれあい・いきいきサロン」ですか。何だか楽しそうなネーミングですね。ではお願いします。
はい。「ふれあい・いきいきサロン」とは、人と人とのつながりづくりの活動でございます。高齢者や障がい者、また、子育て中の親子など、地域の誰もが、楽しく、気軽に参加できる 「地域の居場所」 であり、身近な場所で、レクリエーションや、体操、おしゃべりなど、交流をされていらっしゃいます。
◆高齢者だけでなく、障がい者の方や子育て中の親子など色々な方が参加されているんですね。どれくらいの人数の方が参加されているのですか?
防府市のサロンの状況をお伝えしますと、令和R4年8月現在で125件の登録がございます。また、 サロンの参加者は、 高齢者や子ども、子育て中の親子や障がい者などがいらっしゃいます。
◆125件の登録があるということは、防府市内125ヶ所で「ふれあい・いきいきサロン」が開かれるということですよね。1ヶ所の人数、どれくらいの間隔で開かれるのかは分かりませんが、すごい数じゃないですか?
そうですね。大変盛り上がっています。
◆驚きました。「ふれあい・いきいきサロン」では色々なことをされているようですが、活動の内容を具体的に教えてください。
サロンでの活動を紹介いたします
◎高齢者対象のサロンでは、健康チェックや、近況報告などお話を楽しまれたり、講師を招いた催しや、体操、小物作りなどの制作活動をされています。
◎子どもを対象としたサロンでは、学習支援や、イベントを行うなど、子どもの居場所づくりをされています。
◎子育て中の親子のサロンでは、予防接種や病気の事、おでかけスポットなどの情報交換の場になっているようです。
◆色々なことをされているんですね。世代間交流もあり、良い相乗効果も期待できそうですね。
実際にサロンではこんな効果がございました。
◎参加者にとっては、活動を通じて顔見知りができ、地域とつながることができています。
◎地域にとっては、住民と地域がつながることができ、孤立を防ぐきっかけにもなっています。また、このつながりが地域の福祉力となり、助け合い・支え合いの活動へとつながっています。
◆地域の人がつながる場になっているんですね。「孤立を防ぐきっかけにもなっている」ことも素晴らしいことですね。しかし、最近は「「コロナ禍」の影響で「サロン」の運営も大変なのではないですか?
はい。運営面で受けたコロナの影響をお伝えします。サロンの開催にあたり、それぞれの地区や自治会のルールに従って、感染状況を見ながら開催を慎重に検討し、感染拡大の対策を取り、大変ご苦労され、企画実施をしておられます。☆コロナ禍での工夫で開催されたサロンの例としまして、2つのサロンを紹介させていただきます。
(1)公園を利用し、屋外で行う、換気対策をしたサロンがございました。こちらは、園芸療法を取入れ、ハーブで五感を刺激し、心身のリフレッシュ効果を目的とした活動で、広い空の下での活動、とーっても気持ちが良かったです。
(2)外出機会が減り、筋力低下が懸念される中、ストレッチや運動を取入れたサロンです。自宅に帰られてから、普段の生活にも、取り入れやすい、ちょっとした運動をするきっかけ作りとなる様で、「運動の意識を持つ事ができた」とおっしゃられていたのが印象的でした。
☆それぞれの立場の方の声を紹介しますと
◎参加者からは:コロナ禍で生活が一変し、活動が制限され、人とのつながりが無くなって寂しく感じている。しかし、サロンがきっかけで、人と会いお話しができた。交流できるありがたさを改めて感じた。
◎担い手からは:家族からは、サロンは不要不急では無いのではと問われた時もあったそうです。そして、活動をすべきか、中止すべきか、判断に迷い悩んだそうです。しかし、このままだと、地域の方が孤立してしまう。孤立は、地域にとっても、失う物が大きいのではと大変悩んだそうですが、必要だと考え行動した結果、参加した方が、「開催してくれてありがとう」「毎日寂しかったけど、今日はすごく楽しかった」と笑顔で帰る姿に、喜びを感じるそうです。
◎担当している私としまして
この状況下でも、何か自分にできる事は無いかと模索し、頑張っている方々を沢山みてきました。担い手や参加者と一緒に悩みながら進んできましたが、やはり人と人が会い、交流をすることの大切さを改めて感じました。
◆いやあ、コロナ禍のご苦労が偲ばれますね。しかし、この「ふれあい・いきいきサロン」を楽しみにされていらっしゃる方も多いでしょうから、何とか開催してほしいですね。
そうですね。私達も、できれば開催して欲しいと願っています。しかし、コロナ禍という新しい環境を受入れつつ、今までサロンや、地域を築いてきた方のご尽力とお気持ちを大切にしながら、担い手の方と一緒に進んでいきたいと思っております。
また、サロンでは、多くのシニアの方が活躍されていらっしゃいます。それぞれのお歳で輝ける事があり、何歳になっても、活躍の場がありますね。それを私自身、携わらせていただく中で感じました。シニアの方、とってもエネルギッシュで、日々、刺激をくださってます!
◆シニアの方が頑張っていらっしゃるんですか。素晴らしいことですね。
シニアの方が引っ張っているサロンが沢山あります。
<そうですか。いいことですね。「ふれあい・いきいきサロン」に参加するにはどうすればよいのですか?
各市町に「サロン」がございます。ご興味を持たれた方、まずは、お住まいの社会福祉協議会にお問い合わせください。皆様のご参加、ご活躍をお待ちしております。
◆分かりました。今日は「ふれあい・いきいきサロン」の内容がよく分かりました。地域がつながり、孤立を防ぎ、お互いが支え合い、助け合う地域活動は本当に大切なんですね。佐々木さん、今日は素晴らしいお話、ありがとうございました
ありがとうございました。
◆今週、来週は「社会福祉協議会」について勉強したいと思います。「名前は知っているけれども詳しくはよく分からない」という人が多いんじゃないでしょうか。しかし地域に無くてはならない組織です。今日は、社会福祉法人 山口県社会福祉協議会 地域福祉部長 大河原 修さんにお越しいただきました。大河原さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
◆今日は「生涯現役で人生に生きがいを」というテーマでお話しいただけるとのことですが、まずは、「社会福祉協議会」がどういう組織なのか教えてください。
はい。「社会福祉協議会」は、地域福祉の推進を目的とした、営利を目的としない民間組織のことです。地域福祉の推進って少しわかりにくいですが、自分たちが暮らすまちを自分たちで良くしていく住民主体のまちづくりを進めていく団体です。「社協(しゃきょう)」とよばれることも多くあります。
◆民間の組織なんですね。行政機関と思われている方もいらっしゃるじゃないでしょうか。
そうですね。行政と連携することが多いので、勘違いされる方が多いように思います。社会福祉協議会は全国各地の市区町村、 都道府県ごとにありまして、ネットワークを活かしつつ各地域の実情に合わせて様々な事業を展開しています。
◆全国にあるんですね。山口県では県と全ての各市町にあり、「住民主体のまちづくりを進めていく団体」ということですね。山口県社会福祉協議会では、具体的にはどのような事業をされているのでしょうか。
ここ数年の新型コロナウイルス感染症による影響を受ける中で社会福祉協議会を知った人は、「生活福祉資金の貸付」を行っているところだというイメージを持たれている人が多いかもしれません。窓口は市町の社会福祉協議会ですが、県社会福祉協議会も一緒に取り組んでいます。他にも「地域福祉権利擁護事業」といって、認知症や障害などにより判断能力に不安のある方が地域で安心して生活ができるように、福祉サービスの利用や金銭の管理、重要な書類をお預かりするなどの支援をしています。県民の皆さんに直接関わるのは市町社会福祉協議会ですが、情報提供や調査研究、研修などを行って市町社会福祉協議会のサポートをする役割を持っています。この中には、地域での見守り活動やボランティア活動などの地域活動も含まれています。さらには、福祉や介護・保育などの人材を養成・確保するために研修を実施したり、福祉人材無料職業紹介事業や資格取得支援をしたりしています。
◆事業内容は本当に幅広いんですね。「社会福祉協議会」の概略は分かりました。今回のテーマは「生涯現役で人生に生きがいを」とのですが、生涯現役というワードはこの番組のコンセプトと同 じですね。では、テーマに沿ってお話しをお願いします。
はい。分かりました。私たちは、高齢者の方はもちろんですが、これから年齢を重ねていくすべての方々が、健やかで自立した生活を送り、豊富な知識や経験・技能を活かして、仕事やボランティア活動、生涯学習・スポーツなど、様々な分野でいきいきと活躍できる社会づくりを進めていきたいと考えています。どのようなことでもいいので、生きがいを持ち続ける人生を送ることを支援するために取り組んでいます。このことに関する事業として、今回「ねんりんピック」と「老人クラブ」の2つを紹介させていただきたいと思います。
◆「ねんりんピック」と「老人クラブ」ですね。では、まずは「ねんりんピック」からお願いします。オリンピックと名前が似ていますが関係があるんでしょうか?
60歳以上のシニア層の方を中心として、あらゆる世代の方が楽しみ、交流を深めることができるスポーツと文化の総合的な祭典である「健康福祉祭」というイベントの愛称を「ねんりんピック」と言います。全国健康福祉祭は昭和63年(1988年)から全国持ち回りで開催されていて、山口県でも2015年に開催されました。県版ねんりんピックである山口県健康福祉祭も毎年開催されています。
◆なるほど。やはりオリンピックのように様々な競技があるのでしょうか?
そうですね。まずスポーツ系で言いますと、ソフトボール、サッカー、ラグビーフットボールのような団体競技のほか、卓球、テニス、ゴルフ、剣道、弓道、ウォークラリー、グラウンド・ゴルフなど個人競技の種目もあります。それに文化系の囲碁、将棋や健康マージャンなどの種目もありまして、令和4年度は11月に神奈川県で合計28種目の大会が開催されます。山口
県からは21種目165名の選手がエントリーされています。そのほか美術関係として、日本画、洋画、彫刻、工芸、書(書道)、写真の6部門は県の美術展を開催し、金賞を受賞された作品を山口県から全国美術展に出品予定です。
◆スポーツ、文化、芸術まで様々な分野があるんですね。全国大会があるということは、県大会は予選のようなものでしょうか?
種目によっては県の大会で優秀な成績を収めた方が全国大会に出場されていますので、全国大会の予選を兼ねているケースもあります。
◆県大会に出場できるのはレベルの高い方だけでしょうか?県大会に出場する条件のようなものがあるんですか?
ねんりんピックの趣旨は、「健康や福祉に関する多彩なイベントを通じ、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与する」というものです。私たちはねんりんピックを通じて60歳以上のシニア層の皆様がいきいきと暮らしていただきたいと思っていますので、年齢、経験、レベルの違いにこだわらず、興味関心のある方はぜひどなたも参加していただきたいと思います。例年2,500~3,000名くらいの参加があります。
◆参加方法を教えていただけますか?
競技ごとに参加方法が異なります。私たちの山口県社会福祉協議会の生涯現役推進センターという部署がこの事業を所管していますので、ホームページをご覧ください。様々な競技大会や美術展の様子などを動画で配信していますので、それをご覧いただくと様子がおわかりいただけると思います。
◆ねんりんピックのことが分かってきました。さて、もう一つの「老人クラブ」も生きがいに関係するのでしょうか?
生きがいに大きくかかわります。老人クラブは概ね60歳以上の方が地域で結成したグループのことで、健康づくりや文化活動、社会奉仕、仲間づくりなど自分たちがやりたい活動を計画することができるのが特長です。山口県内では令和4年3月末時点で3万9千5百人、およそ4万人の方が加入されていますので、ご存じの方も多いと思います。
◆4万人もいらっしゃるんですか!
そうですね。かつて定年が60歳の頃は、定年後に加入される方が多かった
のですが、最近は70歳以降も働く方が多く、60~70歳代の加入が極端に少なくなっています。老人クラブによって活動内容は異なりますが、例えば仲間内でグラウンド・ゴルフや、地域の小学生と農業体験などの交流、それから通学路の見守りボランティア活動などの活動があります。
◆なるほど。「老人クラブ」は、趣味の活動からボランティアまで様々なメニューがあるので、生きがいを見つけるきっかけになりやすいということですね。
そうなんです。活動そのものはもちろんですが、お仕事などで地域の方とのつながりがなかった方や、退職をきっかけに引っ越しをされた方が新たに地域で知り合いを作るのは難しいと思います。そうした時に老人クラブを通じて自然と仲間づくりができるのも魅力です。60~70歳代の若い方は特に歓迎されると思います。
◆「老人クラブ」に入りたいと思った時はどうしたらよいのですか?
地域の回覧板や広報誌に広告が掲載されていることもあります。お住まいの市町に「老人クラブ連合会」というところがありますので、そこにお問い合わせいただくと地元の老人クラブを紹介してもらえます。問い合わせ先が分からない場合は、私たち山口県社会福祉協議会 生涯現役推進センター(083-928-2385)にお問い合わせいただければと思います。
◆「老人クラブ」は県下すべての市町にあり、入会したい方、興味のある方は、お住まいの市町の「老人クラブ連合会」にご連絡されるか、山口県社会福祉協議会 生涯現役推進センター(083-928-2385)にお問い合わせください。今日は、「社会福祉協議会」とはどういう組織かということと、「生涯現役で人生に生きがいを」というテーマで「ねんりんピック」と「老人クラブ」を勉強しました。社会福祉法人 山口県社会福祉協議会 地域福祉部長 大河原(おおかわら) 修(おさむ)さん、どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
◆先週は、「地域包括ケアシステム」とその中心となる「地域包括支援センター」について学びました。今日も引き続き「地域包括支援センター」について勉強したいと思います。『いきいきさぽーと周南東部』の藤本(ふじもと) 稔(みのる) さんにお越しいただきました。藤本さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
◆藤本さん、今日のテーマは何でしょうか?
今日は、『最後まで“自分らしく生きる”ために 元気なうちから知っておいてほしいこと』についてお話したいと思います。
◆これは興味深いテーマですね。高齢期になって、“自分らしく生きる”とはどういうことでしょうか?
特別な生き方のことではなく、自分にとってのふつうのくらし、マイペースな暮らしだと思ってください。
元気なときには、自分の好きなことを好きな時間に、気の合う人としたり、好きな食べ物、音楽や映画などを自由に楽しんだりすることができますが、介護が必要な状態になると、制約がでてくることもあります。そんな中でも、できるだけ好きなことをしながら、マイペースに暮らすことが「自分らしさ」かな?と思っています。
◆体の状態が変わっても出来る限り、「自分のやりたいことをやる」ということですね。現在は元気な高齢者の方が多いですが、今元気な人は、どのようなことに気をつけたらいいですか?
元気な方は、ぜひフレイル予防に取り組んでください。フレイルとは、日本語で「虚弱」を意味しますが、健康な状態と介護が必要な状態のちょうど中間の状態です。足腰が弱くなってきた、転倒に不安がある、意欲や気力が低下してきた、食事量が減り体重が減ってきたというような状況が考えられ、コロナ禍で増えてきています。
ただし、しっかりと対策をとれば、元の状態に戻ることもできますし、フレイル予防は、認知症の発症予防や進行の予防にもなります。
◆フレイル予防や認知症予防には、どんな対策をとればよいのですか?
キーワードは、「やっぱり動かんにゃあ!」です。
家事でも趣味でも運動でも、まずは体を動かすことが大切です。体を動かせば生活リズムが整いお腹もへるため、3食しっかり食べることにつながります。そして、何かしら動くことによって、人とのつながりが生まれます。フレイルの最初の入り口は、「人とのつながりが失われること」と言われますので、動いて食べて、人と関わることを大事にしてほしいと思います。
◆フレイルや認知症の予防は、運動、栄養、社会とのつながりということですね。買い物や掃除など、身の周りのことがやりづらくなってきたら、介護保険を申請した方が良いのでしょうか?
まず地域包括支援センターに相談してください。介護保険を申請して要介護認定されると、一定のサービスを受けることはできますが、必ずしも万能ではありません。軽度の人のための総合事業というサービスもありますし、地域の様々な資源を活用することもできます。
また、できないことだけに視点をあてるのではなく、工夫すればできることもたくさんあります。出来ていることを続けることもとても重要となります。どうやってやったらよいか分からない時は、ぜひご相談ください。
◆物忘れが気になり始めたら、どうしたらいいのでしょう?
いつもと違うと思ったら、かかりつけの先生や地域包括支援センターに早めに相談してください。悩みや心配事が小さなうちに相談してもらうことで、今後の見通しをもって、対策を立てることが可能となります。介護保険制度や認知症という病気を正しく理解することも重要ですし、何より、できるだけ今まで通りの生活や活動を行い、社会との関りを持ち続けてください。
◆なるほど。また、体調が急変して緊急入院するようなこともあるかもしれません。そのような急変時に備えて準備しておくことはありますか?
急な入院や意識がはっきりしなくなったときに、家族や周囲が判断に迷う場面がよくあります。そうしたことを避けるためにも、元気なうちからご家族と「介護が必要になったらどうしたいのか?」「もしもの時にどこまでの治療を希望するのか?」などを話しておきましょう。エンディングノートなどを用いて、書き残しておくのも良いと思います。衣類や日用品をまとめた入院セットを作っておくのもおすすめです。
◆最近は豪雨や台風などの災害も増えてきています。高齢者世帯は、日ごろからどんな準備が必要ですか?
まずは市町が作成しているハザードマップや防災ガイドブックを手に入れてください。市町のホームページで確認したり、窓口に行ってももらえると思います。ハザードマップを見て、自宅周辺の危険箇所を確認したり、避難場所や避難経路も併せて確認していきましょう。また防災ガイドブックには、土砂災害や地震などの災害に応じて注意することや、非常持出品のリストも記載されていますので、平常時から準備しておくといいと思います。
◆なるほど。日頃からの準備も必要ということですね。最後に、地域包括支援センターから伝えたいことはありますか?
今後、働き盛りの人口が減少し、介護人材の不足も懸念されるところではありますが、地域包括支援センターとしては、元気な高齢者を増やしていきたいと思っています。これまでは虚弱の為、支援される側だった高齢者を、支援する側に回ってもらうことが出来るように、フレイル予防の取組や社会参加の支援を進めていきたいと思います。
また、地域包括支援センターは高齢者の生活を支える相談機関です。生活への不安や、健康状態に不安があるとき、はっきりと言葉にならない漠然とした心配や、悩みでも、まずは気軽に連絡してみてください。必要に応じて、かかりつけの主治医の先生やリハビリ専門職、ケアマネジャーと連携しながら、保健・医療・福祉の面から専門的な支援を行いますし、支援が必要のない方であっても、心の内を少し話すだけでも、気持ちが軽くなると思います。
◆「地域包括支援センター」は山口県内の全ての市町にあり、高齢者やその家族の総合的な相談窓口です。気軽に何でもご相談いただきたいですね。
そうですね。
◆「地域包括支援センター」のことがよくわかりました。藤本さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
◆今週、来週は「地域包括支援センター」について学んでいこうと思います。少し説明しますと、高齢者の方々に住み慣れた地域で、自分らしく生き生きと暮らし続けることが出来るよう、総合的に支援する体制を「地域包括ケアシステム」と言いまして、全国的に推進されています。その中心的な役割を果たすのが「地域包括支援センター」です。この「地域包括支援センター」は、名称の違いはありますが、山口県の全ての市町にあります。周南市には5つのセンターがあり、今日はその中の1つ「いきいきさぽーと周南西部」の金池(かないけ) 聡(さとし)さんにお越しいただきました。金池(かないけ)さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
◆周南市では、「いきいきさぽーと」と言うのですね。
はい。周南市では親しみやすい名称にしました。
◆全国的に高齢化が進んでいますが、実際にはどのような高齢者が増えているのでしょうか?
高齢者とひとくちにいっても、元気でご活躍されている方も非常に多いです。ただ85歳以上のお一人暮らしの方や、高齢者夫婦世帯が増えていて、筋力の低下や認知症などのために自立した生活が困難になった人が増えていると感じます。最近は、コロナ禍で外出を控えていたら、いつの間にか外出できなくなったという声もよく聞きます。
◆本当にコロナの長期化は高齢者の方々にも大きなダメージを与えていますよね。住み慣れた地域で、自分らしく暮らしてくことは、誰もが望むことです。そのための地域づくりが「地域包括ケアシステム」ということですが、もう少し具体的に教えていただけますか?
地域包括ケアシステムとは、自立した生活が困難になった場合でも、日常生活圏内で、住まい、医療、介護、予防、生活支援 が一体的に提供されるよう、地域全体で支え合う仕組みや状態のことをいいます。まずは自分自身や家族が行う「自助」や、ご近所や地域で助け合う「互助」、介護保険や公的サービスなどの「共助」「公助」がバランスよく働くことが重要といわれています。
◆「自助」や「互助」、具体的に周南市では、どんな取組をされていますか?
「自助」では、介護予防として、週1回のいきいき百歳体操に取り組む「住民運営通いの場」を推進しています。現在、市内各地に約130か所まで広がっており、約1600名の様々な状態の高齢者が、自分のペースで楽しく活動しておられます。単に週1回体操をするというだけでなく、その場所まで通うこと、人と会って話すことが介護予防の効果を高めています。「互助」としては、買い物や掃除などちょっとしたくらしの支援に関して、地域で話し合う場の設置を進めています。話し合いの中から、有償ボランティア活動や、身近な居場所など、様々な助け合い活動が生まれています。
◆地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの中心となる場所、「公助」の要と思います。どんな専門職がいて、どんなことをされているのですか?
地域包括支援センターには原則として保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3職種が配置されています。日々たくさんの相談が寄せられますが、3つの専門性を生かした視点から対応できる強みがあります。役割としては、高齢者からの様々な相談に対応する事、高齢者の権利を守ること。ケアマネジャーや関係機関との連携、介護予防計画の作成、サービス調整などです。認知症地域支援推進員も配置しており、高齢者が、住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるような地域づくりも進めています。
◆最近は、どんな相談が増えていますか?
介護保険に関する相談や認知症に関する相談が多く寄せられます。最近ではコロナ禍で、遠方に住まわれている家族が以前と様子が違うことを心配し相談されることが多くなったように感じています。外出や交流の機会が減り、閉じこもりがちになると意欲が低下し、そのために今までやっていた家事や外出をしなくなり、結果として筋力や認知機能も低下するという悪循環に陥ることがあります。周囲が「まだこのくらいは大丈夫」と思っていても、何もしないでいると短期間で心身機能が悪化していたということもあり、注意が必要です。
◆できることはやった方がよいということでしょうね?
はいそうです。家事や、今やっている活動は、できるだけ続けた方が良いと思います。周囲から見て「危ない」と思うことでも、工夫すればできることはたくさんありますし、動いて危ないというリスクよりも、動かない状態が続くリスクの方が高い場合があります。家事も十分な運動になるので、役割や活動をできるだけ減らさないように心がけると良いと思います。
◆認知症が心配な方や家族も多いと聞きます。
認知症は誰でもなりうる脳の病気です。進行していくと、少しずつ分からなくなることやできないことが増えてきますが、何も分からなくなる、出来なくなるわけではありません。自分の力を活かすと、一人でできることが色々あります。先ほども言ったように、できることは続けること、そして人と繋がる事が重要です。介護サービス以外にも、地域には住民の集いの場やサロン活動など様々な資源があり、活用できるものがあります。近所との関わりがあると、認知機能が低下しても安心して暮らし続けることができるように感じています。
◆どんなタイミングで、地域包括支援センターに相談するとよいのでしょう?
相談に早い遅いはなく、基本的にはいつでも良いのですが、問題が大きくなってからよりもその前の方が、本人や家族に提案できる選択肢が広がります。「今はまだ大丈夫」と先送りせず、「以前できていたことができなくなってきて不安」「最近様子が変わってきた」など、変化を感じたタイミングで、遠慮なくご相談ください。まだ直接的な支援が必要でない場合でも、現状を維持し、悪化を防ぐための色々なアドバイスや情報提供ができます。今後の見通しが持てると、心構えができ、ご本人も周囲も安心して「今できること」を行ったり、そのサポートに取り組んだりできます。
◆「地域包括支援センター」は各市町にあり、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3分野の専門職員がいて、高齢者やその家族の総合的な窓口なのです。何でも相談していただきたいということですね。また、どんな相談でも出来るだけ早い方が良いということですね。
そうですね。
◆来週も「地域包括支援センター」について学びたいと思います。金池さん、今日はありがとうございました。
ありがとうございました。