
転ばぬ先の知恵

◆5/29の放送で「高齢者被害の犯罪の実情」についてお話いただき、高齢者犯罪を防ぐ方法として「成年後見人制度」があるとのことでした。今日はその続きということで、「高齢者被害の犯罪の実情について パート2」というテーマでお話ししていただきます。
前回は高齢者被害の犯罪となる特殊詐欺、いわゆる「オレオレ詐欺」の類いについてお話ししましたが、今回は詐欺に近い、もしくは詐欺として認定されているものもある「悪質商法」についてお話ししたいと思います。そして前回少しお話した高齢者を被害から守る決定打とも言える「成年後見人制度」についても少し触れたいと思います。
◆興味深いテーマです。じっくりと聴きたいと思います。
「悪質商法」といいましても非常に幅が広いのですが、今回は高齢者対象の「悪質商法」に的を絞ってお話します。まず、山口県内でも多く発生している手口にSF商法、催眠商法ともいわれる悪質商法があります。これは、閉め切った会場に人を集めて日用品などをただ同然で配って雰囲気を盛り上げた後、冷静な判断ができなくなった来場者に高額な商品を契約させる手口です。会場内にはサクラも混ざっており、熱狂的に購入したりして場を盛り上げたりします。SF商法の販売員は、来場者に思いやりのある発言や親切な態度で接し、面白い話をして楽しませるなど、高齢者の心理を巧みに利用して信頼関係を作るため、周囲や本人が被害に気付いても解決は簡単ではありません。なかには被害に遭ったことにすら気づいていない高齢者もいます。
◆やり方が実に巧妙ですね。被害に遭ったことに気づかず、結果的に高額な商品を契約させられているんですね。
つぎに多いのが「点検商法」と言われるものです。手口としてはセールスマンが、「床下が湿気ています。」「地震が来たときに大変だ。」などと、不安感をあおり、不要な内容の工事を不当に高額な金額で契約させるやり方です。これらは「床下の点検に来ました」など、「点検」を口実にすることがあることから「点検商法」と呼ばれていますが、「水道管の高圧洗浄をします」とか「下水マスの掃除サービスをします」など、セールスの切っ掛けは必ずしも「点検」に限られません。したがって、「点検」を口にしないセールスマンが来たときにも注意が必要です。
◆言葉が巧みなんでしょうね。
さらに送り付け商法またはネガティブ・オプションと言われる、注文していない商品を、勝手に送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する商法も存在します。ただし、この商法については昨年7月に特定商取引法が改正されて、契約に基づかない商品が送られてき場合、その商品を直ちに処分して代金を支払う必要もなく、もし間違って支払っても返金するように要求することができるようになりました。ただ、実際に商品が送られてきた場合には混乱してしまうことも多いと思います。もし自分で判断できないような時には、お近くの消費生活センターや警察に相談してみて下さい。
◆家族や知り合いに相談することも必要ですね。
また、悪質商法ではないのですが、訪問販売や電話勧誘販売などで商品等の購入契約をした後でも、これを解約することができるクーリング・オフという制度があります。クーリング・オフには、期間の制限があり、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、書面によって解約ができます。買ってから失敗したと思ったら、期間内に手続きをしましょう。
まとめになるのですが、ではなぜ、このような高齢者を狙った悪質商法が存在するのでしょうか。
その背景には、高齢者が健康への不安や経済的不安、日常的な寂しさ等があるといわれています。自治体や民間において高齢者に対して、これらの不安を少しでも和らげられるように頑張ってはいるのですが、完ぺきにとはなかなか行かず、悪質商法や特殊詐欺は跡を絶ちません。
◆しかし、「悪質商法」や「特殊詐欺」にはいろいろな形のものがありますね。
そこで、高齢者の財産を守る決定打としてあるのが「成年後見人制度」なんです。これは家庭裁判所の指定を受けて対象者の財産管理や身体監護を行うもので、いわば高齢者の個人マネージャーといったところです。
◆ここで「成年後見人制度」出てきましたが、残念ながら時間となってしまいました。とくさん、「成年後見人制度」については次回、詳しくお願いしたいと思います。

◆介護施設にはどのようなものがあるのですか
介護施設は大きく分けると、「介護保険施設」と呼ばれ、社会福祉法人や医療法人などが運営する公的施設と、民間企業が運営している「有料老人ホーム」などがあります。主な介護保険施設を紹介します。特養と呼ばれる「介護老人福祉施設」は、常に介護が必要で原則として要介護3以上が入所の要件とされています。老健と呼ばれる「介護老人保健施設」は、在宅復帰・在宅支援を目指すための施設と位置づけられていますので、長期間の利用は原則としてできません。「介護医療院」は2024年3月で廃止が予定されている介護療養型医療施設に代わり長期の療養や生活するための施設です。
◆公的施設である「介護保険施設」には「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護医療院」の3つがあるということですね。
はい。次に介護保険施設以外の施設です。介護保険施設のように設置法人に制限がないことから、民間事業者によって多様な施設が運営されています。代表的な施設を説明いたします。「有料老人ホーム」とは、生活を安定させるために必要な、食事、介護、家事、健康管理のうち、いずれかのサービスを提供している住まいのことです。「住宅型有料老人ホーム」は施設のスタッフによる見守りや食事の提供、掃除・洗濯などの生活支援サービスを行う有料老人ホームです。介護が必要になった場合は、通所介護や訪問介護など、必要に応じて外部の事業者のサービスを利用します。「介護付有料老人ホーム」は「特定施設入居者生活介護」という介護保険事業の指定を受けた有料老人ホームです。住宅型有料老人ホームで提供されるサービスに加え、食事・入浴・排泄などの介護サービスが介護保険給付の対象となり、施設から提供されます。「サービス付き高齢者向け住宅」は居室の広さや設備、バリアフリー構造に関する明確な基準が設けられ、安否確認と生活相談サービスの提供が義務付けられている施設です。住宅型有料老人ホームと同様に介護サービスは提供されないため必要に応じて外部の事業者と契約する必要があります。最後に「認知症対応型共同生活介護」、いわゆるグループホームです。認知症のある方が共同生活を行うための施設です。地域密着型サービスという、原則として施設の所在地の市町村にお住いの方のみがご利用できるサービスとなっています。
◆民間事業者が運営する「有料老人ホーム」には、「住宅型有料老人ホーム」「介護付有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」があるということですね。またグループホームは認知症の人が入れる施設なんですね。
地域密着型サービスとしては、「通い」を中心としながら「訪問」「宿泊」などを組み合わせて利用することができる「小規模多機能型居宅介護」などがございます。
◆本当に施設の種類は多いんですね。「こもれびの杜」さんの施設はどうでしょうか?
弊社は訪問サービスや通所サービスなどの在宅サービスだけではなく、有料老人ホームも運営し、「介護」と「住まい」を軸に事業運営しています。
◆施設の種類が多く、運営者も多いとなると施設を選ぶのが大変ですね。
そうですね。まず自治体や地域包括支援センター、紹介業者などから情報収集し、候補施設をピックアップ。詳細な資料を取り寄せ検討する。見学や体験入居があればしてみるのもよいでしょう。

◆「在宅のサービス」とは在宅、つまり家にいながらの介護サービスですね。
はい。居宅サービスとも言いますが、ご自身の住まいで暮らしながら受けられるさまざまな介護サービスです。大きくわけると「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「その他のサービス」となります。訪問サービスには、ご自宅にホームヘルパーが訪問して買い物や調理などの日常生活の援助や入浴、排泄、食事の介護を行う訪問介護、ご自宅に浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う訪問入浴介護、医師の指示に基づき看護師等が療養の世話や診療を行う訪問看護、リハビリスタッフがご自宅でリハビリテーションを行う訪問リハビリテーション、往診等を行っているかかりつけの医師・歯科医師が、療養上の管理や指導、助言を行ったり、薬剤師が服薬の指導を行う居宅療養管理指導がございます。
◆「訪問サービス」にもいろいろなサービスがあるんですね。
そうですね。続いて通所サービスです。日帰りで機能訓練や食事、入浴などのサービスを受けられる通所介護、リハビリを施設で受けられる通所リハビリテーションがございます。短期入所サービスには、短期間、特別養護老人ホームなどの施設に入所して日常生活の介護を受けられる短期入所生活介護と、医学的管理が必要な場合には短期間、介護老人保健施設などの施設に入所して医療のケアも受けられる短期入所療養介護がございます。
◆通所介護はデイサービス、短期入所生活介護はショートステイと呼ばれているものですよね。
通称そう呼ばれていますね。その他のサービスには、福祉用具のレンタルや福祉用具購入費の支給、ご自宅で暮らし続けられるように住宅改修する場合の費用が支給される住宅改修費の支給などがございます。福祉用具は介護度によってレンタルできるものできないものがあります。車いすや特殊ベッドなど福祉用具はレンタルが基本ですが、ポータブルトイレや入浴補助具といった肌に直接触れるものは購入が基本となります。
◆基本的なことですが、どうすればこのような介護サービスが受けられるのですか?
介護サービスを利用するにあたっては、まず、市町の介護保険の窓口で、「要介護(要支援)申請」をする必要があります。その後調査や主治医の意見書などをもとにどの程度の介護が必要かを認定します。約1か月後に認定通知が届きます。結果が要介護の場合は、居宅介護支援事業者に、要支援の場合は地域包括支援センターに、サービスの利用計画の作成を依頼することになります。ご本人・ご家族のお体の状態や生活の状況に合わせた介護サービスを、ケアマネジャーと相談しながら適切に組み合わせることが大事です。また、介護保険外のサービスを上手に取り入れると、よりよい介護につながることもあると思います。
◆介護サービスを受けるには、まず「要介護(要支援)申請」が必要ということですね。
そうです。そして、出来るかぎり、在宅で、そして自分の力で生活できるということが大切ですね。
◆今日は「在宅のサービスについて」学びました。来週のテーマは?
どうしても自宅での生活が難しくなった場合ということで、介護サービスのうち、「施設サービス」についてお話したいと思います。

◆中曽さんのプロフィール
「介護保険制度」が始まる2000年に老人保健施設に介護職員としてご入職。以降 通所介護管理者、通所介護の開業支援業務をご経験。現在は周南市の「このれびの杜グループ」居宅介護支援センターこもれびでケアマネジャーとして勤務されています。
◆今日から3回シリーズで「介護」について学んでいきます。
「母親が一人で暮らしているのが不安だけど、一体どこに相談したらいいのだろう」「父親のもの忘れが進んでいるみたいで、どうすればいいのだろう」など、介護は実際にご自身に関わってこないと深く考えることはないと思います。そのため、実際に介護が必要となった時には介護の知識も経験もありませんので、不安ばかりが大きくなり「何をどうしたらいいのかわからない」「誰に、何を、どこで相談したらいいのかよくわからない」とひとりで悩んでしまいがちです。
◆その気持ちはよくわかります。親の体に異変・不安を感じるようになったらどうすればいいのですか?
大事なのは、ひとりで悩まず、まず誰かに話すことです。ご兄弟やご友人に「母が最近こんな感じでね…」と話すだけでもよいのです。誰かに話すことで、ご自身が何に困っているのか、何を不安に思っているのか、例えば、「部屋に閉じこもっているので、寝たきりになるのが心配」などが頭の中で整理されてくると思います。
◆家族、親族や友人など身近な人に相談してみるということが大切ということですね。
そして専門的なアドバイスが欲しいなど、介護に関する相談をしたい時は、お住まいを管轄している「地域包括支援センター」に相談するのもよいと思います。
◆「地域包括支援センター」ですか?
地域包括支援センターとは、地域で生活するご高齢者をサポートするために作られた施設です。地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員など、介護・医療・保健・福祉それぞれの専門知識を持った職員が在籍しており、さまざまな外部機関とも連携しながら機能しています。相談できる内容は介護や介護の予防など「保健福祉サービス」に関するものだけでなく、日常生活でのお困りごとについて相談したり、介護保険の申請窓口としても利用ができる「ご高齢者のための総合相談窓口」といえます。
◆総合的に相談できるところなんですね。最後に一言。
介護は、身体的にも精神的にも負担が大きくなり、疲れやストレスをためこんでしまいます。特に認知症の介護の場合、繰り返し同じことを言われたり、話がかみ合わなくなるなど、精神的ストレスはかなり大きくなります。ひとりで抱え込まないこと。とにかく誰かに話してみることです。介護を自分一人だけで何とかしようと思わずに、ご家族やご兄弟、ご友人と話をしたり、今紹介しました地域包括支援センター等の専門施設に相談することが大切です。介護とうまく付き合っていく方法をみつけていきましょう。