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2023年08月

“潮位”が高いシーズン…高潮に備えを

2023年8月29日(火)放送分

  • “潮位”が高いシーズン…高潮に備えを
  • “潮位”が高いシーズン…高潮に備えを

厳しい暑さが続く夏は、夏バテや熱中症など、私たちの健康に大きな影響を及ぼしますが、実は「海」にも、お盆を過ぎたあたりからは、夏の暑さによる、ある影響が現れてきます。
 
海の水は、空気に比べて温まりにくい一方で、一度温まると冷めにくい特徴があります。夏の暑さは例年、8月前半頃がピークですが、日本近海の海面水温は、夏の暑さのピークからは少し遅れて、8月後半から9月にかけてピークを迎えます。
そして水は、温度が暖かいほど膨張するため、水温がピークを迎える8月後半から9月にかけては、実は他の時期に比べて、海面の高さ=潮位が高くなる時期でもあるのです。
 
夏~秋の潮位は、冬に比べると25~40センチほど高くなり、特に大潮の時期にあたる新月や満月の前後数日間は、満潮時刻の頃は海面がかなり護岸に迫り、ちょっとした高波など海面が高くなるきっかけで、海岸や河口付近が浸水する「高潮」の心配があります。
「高潮」といえば台風接近時、というイメージを持っている方が多いですが、台風がなくても、時々「高潮注意報」が県内に出ることがあります。これは海が温まったことによる海の水の膨張によるもので、天気が穏やかでも注意報が出たときは、海沿いにお住いの方や、海釣り、磯釣りなどのお出かけは注意が必要です。
 
そんな元々から潮位が高い時期に、大潮と満潮、さらに台風接近が重なると、高潮にはいっそう注意が必要になります。台風による高潮は、台風での強い風が海から陸に向かって吹き、海水が海岸に吹き寄せられる「吹き寄せ効果」と、台風により気圧が下がり海の水が吸い上げられる「吸い上げ効果」によって起こります。吹き寄せ効果では、台風を取り巻く反時計回りの風により、県内では台風が県の西側を通ると瀬戸内側、東側を通ると日本海側で高潮が起こりやすい傾向があります。
特に周防灘西部の宇部・山陽小野田周辺は、南~南東の強風が吹くと、吹き寄せられた海水が関門海峡でせき止められて高潮がより大きくなる傾向があり、過去に1942年(昭和17年)の周防灘台風や、1999年(平成11年)台風18号により、甚大な被害が発生しています。
 
高潮による海水の侵入の速さは時速40~60キロ程度と言われ、高潮は一気に住民が逃げ場を失いやすく大きな被害に繋がりやすい特徴があります。穏やかな天気の時に、高潮防災ハザードマップを確認するなどして、高潮から身を守る手段をシッカリイメージしておきましょう。

雷から身を守る!

2023年8月22日(火)放送分

  • 雷から身を守る!
  • 雷から身を守る!

 いろんな天気の中でも、特に多くの人が恐怖を感じる現象の1つに「雷」があります。雷は発達する積乱雲により、雲の中にある氷の粒がこすれ合い発生した静電気が、一気に放電する現象です。

 静電気といえども、雷のパワーは私たちが下敷きをこすって発生させるものとは桁違いで、一度の稲光で1~10億ボルトの電圧があるとされます。雷のゴロゴロ…という雷鳴は、実は地面に落ちたときの衝撃音ではなく、電気が空気中を流れる時に一気に空気が暖められて膨張(局所的に2~3万度に達すると言われています)することで発生する衝撃波です。それほどの非常に強烈なパワーがあるので、当然、人間が雷に打たれれば、1回で命取りになります。

 厳しい暑さとなる真夏は、強い日差しで一気に暖められた空気が強い上昇気流を起こし、急発達した積乱雲(入道雲)によって、雷が度々発生します。また、秋にかけても、台風の接近などで南からの湿った空気が流れ込んだ時や、寒冷前線が通過する時など、夏の空気と秋の空気が激しく衝突する場所で、急に雲が発達して雷を引き起こすことが度々あります。
突然の雷雨が迫る時には、雷の音や黒い雲が近づくほか、川の水が濁ってくるのも、川の上流部で激しい雨が降っているサイン。また、強い雨が降ると、上空の冷たい空気が地上に降りて涼しい風が吹くこともあるので、これも雷雨が近いサインと覚えておきましょう。

 一般に雷雲の大きさは数キロ~10キロ程度の規模があり、雷の音自体、聞こえる距離は通常で10~15キロ程度と言われています。つまり、雷鳴が聞こえたら、すでに次は自分の所に雷が落ちてきてもおかしくない、危険な状態といえます。

 雷は高い所ほど落ちやすく、身に着ける金属の有無などはほとんど関係ないことが、最近の研究で分かっています。建物や車の中などの安全な場所に逃げるのが一番ですが、建物などがない場所では、雷は高い所ほど落ちやすいので、高い木などから離れて姿勢を低くしましょう。また、平たい海でも、波頭などに雷が落ちることがありますので、海水浴などでも、雷の危険を感じたら、すぐ海から離れることが大切です。

 また、気象庁のホームページでは「雷ナウキャスト」という、雷雲の活動度の状況を、リアルタイムで更新しています。屋外作業の際は、雷鳴の状況と合わせて活用すると良いでしょう。

進化を続ける台風“予報円”

2023年8月15日(火)放送分

  • 進化を続ける台風“予報円”
  • 進化を続ける台風“予報円”
  • 進化を続ける台風“予報円”

 台風は、ひとたびやってくると、大雨や激しい風など、度々大きな被害をもたらします。このため、天気予報では、台風の進路を予測することは極めて重要です。

 台風の予測は普段の天気予報と同じく、スーパーコンピュータの計算がベースとなっていますが、この時、条件を少しずつ変えて計算し、計算のばらつき具合を見ながら予測を確率的に捉えていく、「アンサンブル予報」という手法が、一般的に用いられています。

 気象庁は台風の進路予報を、「予報円」という形式で発表していますが、この予報円は、このアンサンブル予報を参考に、台風の中心が円の中に入る確率が70%以上となるエリアを示しています。アンサンブル予報の結果で、ばらつきが大きくなるほど予報円が大きくなり、ばらつきが小さければ予報円が小さい、ということになります。
また、予報円には、円の中心を結んだ破線が表示されていますが、アンサンブル予報での計算のばらつき方には様々なパターンがあるため、必ずしも、この中心線を台風が通る、とは限らないことに留意が必要です。台風情報を確認する時は、予報円の大きさに着目しながら、予報の幅を考えて、段階的に備えを進めていくことが大切です。

 一方で、やはり、予報円ができるだけ小さくなることが、台風予報の理想でもあります。

 気象庁では、台風進路予想の中心位置の誤差がどれくらいあったのか、予報精度の検証結果を公表していて、それによると、10年ほど前は5日先の中心位置の予報には、500キロくらいも誤差があったのが、ここ近年、観測技術の向上や、コンピューターの進化などで、誤差は300キロを下回るくらいになり、予報の精度は高まってきています。
このことを踏まえて、気象庁は今年から、台風の進路予報の予報円半径を5日先で、従来より最大40パーセント小さくする形で、台風の進路予報を発表しています。見た目で気づいている方は、あまり多くないかもしれませんが、地道に進化を続けている台風情報に、今後もシッカリご注目下さい。

台風の風を侮ることなかれ!

2023年8月8日(火)放送分

  • 台風の風を侮ることなかれ!
  • 台風の風を侮ることなかれ!
  • 台風の風を侮ることなかれ!

天気予報の台風情報では、台風の中心位置や進路予想とともに、台風の中心の周りには、赤や黄色のエリアが示されています。
 
台風は基本的に、中心に近いほど強い風が吹き荒れていますが、平均風速25メートル以上の範囲を「暴風域」として赤色の円、平均風速15メートル以上の範囲を「強風域」として黄色の円で示されています。
なぜ15メートル、25メートルなのか、というと、古くは海上船舶が、強風域レベルの風では注意を要するが何とか航行可能、暴風域レベルの風だと航行不可能になっていた、ということから、この区切りの基準になったようです。
 
私たちの生活の中では、一般的に風速15メートル以上で大きな木が幹ごと揺れたり、風に向かって歩けず転倒事故が起こりやすくなる、とされます。
そして25メートル以上だと、木が根こそぎ倒れたり、屋根瓦が飛散するなどの家屋への被害が出始めるほか、飛行機などの交通機関もほぼストップとなります。
 
一方、台風の暴風域に入ったのに、大して暴風が吹き荒れていない…という経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。これは風の強さは地形や周囲の建物の状況などで大きく変わるためで、何らかの要因で風が遮られて局地的に風が弱くなっていたから、と考えられます。暴風域全体では非常に強い風が吹き荒れているおそれがあるため、一時的に風が弱くなったタイミングを見計らって外に出るなどの行動も禁物です、
 
また、風が吹くとき、私達は風による圧力「風圧」を感じることになりますが、その風圧は風速の2乗に比例して大きくなる、という法則があります。例えば風速1メートルが2メートルと2倍になると、風圧は2倍の2乗で4倍に、風速3メートルと3倍になれば3の2乗で9倍です。普段の2倍、3倍の風となると、人や物が風にあおられる可能性は急激に高くなる、ということになり、車やバイク、自転車の運転も急激に危険が高まります。風のパワーを侮らず、事前に風で飛びやすい物は片付けたり、強い風の時は外に出ない、などの心がけが大切です。

熱中症警戒アラート  

2023年8月1日(火)放送分

  • 熱中症警戒アラート  
  • 熱中症警戒アラート  
  • 熱中症警戒アラート  

「熱中症警戒アラート」とは、熱中症の危険が極めて高いと予想されるときに、環境省と気象庁が共同で発表する、熱中症の予防行動を促す情報です。
2021年から全国で本格運用が始まりました。
 
この熱中症警戒アラートの発表基準になっているのが「暑さ指数」…熱中症の国際的指標として用いられているもので、気温のほか、湿度や、日光や照り返しなどでの熱量の、3つの要素から算出され、数値により、「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の5つのランクで、運動や日常生活などでの行動の指針を示しています。
過去の統計から「厳重警戒」以上のランクで、熱中症患者が著しく増えることが知られていて、熱中症の危険を示す情報として、非常に有効とされています。
熱中症警戒アラートは、暑さ指数が「危険」ランクの31をさらに上回る、暑さ指数33以上が見込まれる、極めて危険と言える時に、前日の夕方、そして当日の朝に、県単位で発表されます。
 
KRYでは、この熱中症警戒アラートを、天気予報の「熱中症情報」の画面に表示してお知らせします。この画面は、テレビの天気予報コーナーのほか、KRYホームページや、KRYアプリでも、天気のメニューの中にある「熱中症情報」で、ご覧いただけます。
また、環境省でも熱中症予防のサイトで、暑さ指数の予測情報を公開しています。
 
熱中症警戒アラートが出たら、特に4つの行動をとる心がけを。
1つ目は、気温や湿度など、暑さに関する最新情報を確認。
2つ目は、高齢者や子供など、特に熱中症のリスクが高い方に、積極的な声かけを行う。
3つ目は、不要不急の外出は避け、エアコンなどがない場所での運動や活動は、原則中止する。
4つ目は、暑さを避け、こまめな水分補給などの、熱中症予防の実践です。
アラートが出ていなくても普段から心がけたいことですが、アラートが出た時は、よりシッカリ意識して、適切な予防行動で、体を守っていきましょう。