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もしもに備える防災TIME

2021年09月

“マイ・タイムライン”を作ろう

2021年9月28日(火)放送分

  • “マイ・タイムライン”を作ろう
  • “マイ・タイムライン”を作ろう

災害での「逃げ遅れゼロ」を目指す取り組みとして、国土交通省をはじめ、全国各地の自治体での防災研修、学校での防災教育などで注目が高まっているのが「マイ・タイムライン」です。「マイ・タイムライン」とは、災害発生の危険が迫る時、「いつ」「何をするのか」を整理した個人の避難行動計画表です。

例えば、台風が来ると分かった3日前には何をするか?そして、どんな情報が出たら、何をしたらいいか?などを書き出して、整理しておきます。“自分のための逃げ方”を、あらかじめ考えておくことで、いざというときに自分自身が慌てず素早い避難行動へと繋げることができる、というものです。

マイ・タイムラインの作り方には、主に3つのステップがあります。

1つめは「知る」…ハザードマップなどを活用し、自分が置かれている環境での災害のリスクを把握して、どんな防災情報を入手すべきなのかを知っておきます。

2つめは「気づく」…災害の危険が迫る時に、必要な避難行動は何か、そして避難行動の妨げになるものがないか、事細かに確認します。自分だけでなく家族も含め、余裕をもって避難するためには、誰が、どのようなタイミングで、どんな避難行動を開始しなければならないか、個々の事情に気付きながら計画を立てることが大切になります。

3つめは「考える」…1つ目で知った自分が暮らす地域の災害リスクと、2つ目で知った個々の事情に基づいて、いつのタイミングで、何から行えばよいのか、時間の流れとともに行っておきたい具体的な行動を時系列の計画表の形に落とし込んで考えていきます。

この「知る」「気づく」「考える」ステップでマイ・タイムラインを作るにあたり、おすすめなのが、マイ・タイムラインを作るための資料がセットになった、小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール「逃げキッド」です。この逃げキッドは、国土交通省の下館河川事務所のWebサイトからダウンロードできます。(検索サイトで「逃げキッド」で検索!)また、スマートフォン向けの防災速報アプリで、自分の居住環境や家族構成に応じた防災行動計画を作成し、避難などが必要になったタイミングで通知が届くサービスを提供しているものもあります。

100人いれば、100通りの逃げ方があります。自分のための避難行動計画…マイ・タイムラインを作って、いざというときの防災行動について、頭の中で整理しておきましょう。

“潮位”が高いシーズン…高潮に注意

2021年9月21日(火)放送分

  • “潮位”が高いシーズン…高潮に注意
  • “潮位”が高いシーズン…高潮に注意

台風接近時などに時々「高潮」という言葉を耳にすることがありますが、台風が来ていない時でも「高潮」が発生することがあります。これは、海の水は、空気に比べて温まりにくい一方で、一度温まると冷めにくい特徴があるからです。日本近海の海面水温は、夏の暑さのピークからは少し遅れて、8月後半から9月頃にピークを迎え、水は温度が暖かいほど膨張するため、水温がピークの8月後半から9月頃は、他の時期に比べて海面の高さ=潮位が高くなるのです。夏~秋の潮位は、冬に比べると25~40センチほど高くなる、とされています。

特に大潮の時期にあたる新月や満月の前後数日間は、満潮時刻の頃は海面がかなり護岸に迫り、台風がなくても、時々「高潮注意報」が県内に出ることがあります。天気が穏やかでも注意報が出たときは、海沿いにお住いの方や、海釣り、磯釣りなどのお出かけは注意が必要です。

そんな元々から潮位が高い時期に、大潮と満潮、さらに台風接近が重なると、一層大きな高潮の発生の心配があります。台風による高潮は、台風での強い風が海から陸に向かって吹き、海水が海岸に吹き寄せられる「吹き寄せ効果」と、台風により気圧が下がり海の水が吸い上げられる「吸い上げ効果」によって起こり、特に周防灘西部の宇部・山陽小野田周辺は、南~南東の強風が吹くと、吹き寄せられた海水が関門海峡でせき止められて高潮がより大きくなる傾向があります。過去に1942年(昭和17年)の周防灘台風や、1999年(平成11年)台風18号により、甚大な被害が発生しています。

高潮による海水の侵入の速さは時速40~60キロ程度と言われ、高潮は一気に住民が逃げ場を失い、大きな被害に繋がりやすい特徴があります。高潮の被害から逃れるためには、台風情報や高潮注意報・警報の情報に十分注意し、何より早めに安全な場所に移動することが一番重要です。穏やかな天気の時に、高潮防災マップを確認するなどして、高潮から身を守る手段をシッカリイメージしておきましょう。

“猛烈な”台風が増えている

2021年9月14日(火)放送分

  • “猛烈な”台風が増えている
  • “猛烈な”台風が増えている
  • “猛烈な”台風が増えている

2021年台風14号は、フィリピンの東海上で急速に発達し、一時は「猛烈な」勢力となりました。

台風の「猛烈な」というのは、台風の強さのランク分けで最上級の呼び名です。台風は「強い台風」「非常に強い台風」もしくは「猛烈な台風」と呼ばれることがあり、中心付近の最大風速によってランク分けされます。「強い台風」になると、平均風速33メートル以上…台風の中心付近はトラック横転や道路標識が傾くこともある風、「猛烈な台風」では平均風速54メートル以上…電柱が折れたり鉄塔が変形など、甚大な被害も心配なレベルの風が吹くおそれがあります。
よく、中心気圧が低いほど強い台風、と認識している方が多いのですが、確かに中心気圧が低いほど強い風は吹きやすくなるものの、気圧は同じでも台風の大きさで、いわゆる“密度”の違いにより風の強さが異なることがあります。

この「猛烈な」台風は、20~30年ほど前の頃は、1年に1~2個程度発生するペースだったのですが、ここ最近10年間では1年に3~4個程度発生するペースに倍増しており、2018年には1年に7個と統計開始以来最多にもなりました。
猛烈な台風が増えているのは、近年、夏は猛暑になることが多く、これにより海面水温が高くなり、台風が発達しやすい条件が整う状態が長引いているから、とみられます。長い目で見れば、地球温暖化による影響もあるのでは、とみられています。

猛烈な台風が多くなれば、それだけ、あまり勢力を落とさず日本に影響を及ぼす台風も増えていきます。台風1個1個が、より強力になりやすい時代に突入しているのかも、という心構えで、昔とは違う台風対策も進めていく必要があります。

台風の暴風域、強風域とは

2021年9月7日(火)放送分

  • 台風の暴風域、強風域とは
  • 台風の暴風域、強風域とは
  • 台風の暴風域、強風域とは

天気予報の台風情報では、台風の中心位置や進路予想とともに、台風の中心の周りには、赤や黄色のエリアが示されています。

台風は基本的に、中心に近いほど強い風が吹き荒れていますが、平均風速25メートル以上の範囲を「暴風域」として赤色の円、平均風速15メートル以上の範囲を「強風域」として黄色の円で示されています。なぜ15メートル、25メートルなのか、というと、古くは海上船舶が、強風域レベルの風では注意を要するが何とか航行可能、暴風域レベルの風だと航行不可能になっていた、ということから、この区切りの基準になったようです。

私たちの生活の中では、一般的に風速15メートル以上で大きな木が幹ごと揺れたり、風に向かって歩けず転倒事故が起こりやすくなる、とされます。そして25メートル以上だと、木が根こそぎ倒れたり、屋根瓦が飛散するなどの家屋への被害が出始めるほか、飛行機などの交通機関もほぼストップとなります。台風に備えるにあたっては、強風域や暴風域に入るかどうか、というところに着目することが、ポイントの1つです。

また、台風は大きさにより「大型」「超大型」という表現があります。この大きさは、風速15メートル以上の強風域の広さでランク付けされます。大きなサイズの台風ほど、台風の中心が離れていても警戒を心がける必要があります。

天気予報では、台風の特徴によりで、どんな解説が行われているのか、大きさ、強さに注目しながら、ご覧頂きたいと思います。