「山」で暮らす夫婦と、支える家族
誰もが自分や家族に重ねずにはいられない、
25年間の貴重なドキュメント。
山口県のローカル放送局・山口放送が、ある夫婦と彼らを支える家族の姿を足かけ25年にわたり追いかけたドキュメンタリー。
カメラが静かに捉え続けた、電気も水道もない山で暮らす夫婦と、離れて暮らす家族の姿は、多くの人々の心を掴み、再放送を望む声が局に寄せられるなど大反響を呼んだ。
山口県内および日本テレビ系列「NNNドキュメント」で長きにわたり放送され、「第4回日本放送文化大賞 テレビ・グランプリ」ほか数々の賞を受賞した伝説のシリーズ、待望の映画化!
山口県岩国市美和町の山奥で暮らす田中寅夫さん・フサコさん夫妻。二人が、電気も電話も水道も通っていないこの山で暮らすのには、ある理由がありました。山は、戦後まもなく一からやり直そうと自分たちの手で切り開いた大切な場所。高度経済成長期に大阪へ移住し、三人の子供たちを育て上げた寅夫さんとフサコさんでしたが、夫婦で還暦を過ぎた時、「残りの人生は夫婦で、あの山で過ごそう」と、思い出の山に戻り、第二の人生を生きる道を選んだのでした。
畑でとれる季節の野菜、湧き水で沸かした風呂、窯で炊くご飯…かけがえのない二人の時間に、やがて「老い」が静かに訪れます。山のふもとの老人ホームに生活の拠点を移した後も、山のことが心から離れない二人。離れて暮らす家族の葛藤と模索。そして夫婦亡き後、残された家族に〈芽生えた〉ものとは――?そこには、現代における“幸せの形”のヒントがありました。
映画『ふたりの桃源郷』は、山口県のローカル放送局・山口放送(*1)が開局60周年記念事業として製作した長編ドキュメンタリー映画です。山口県内および日本テレビ系列「NNNドキュメント」(*2)で2002年から2013年にかけて放送された人気TV番組シリーズで、今回新たに撮影した映像を加え、再編集して一本の映画にまとめました。「NNNドキュメント」映画化としては、『放射線を浴びたX年後1・2』(2012年・2015年/南海放送)、『夢は牛のお医者さん』(2014年/テレビ新潟)に次ぐ第三弾となります。
地方発TVドキュメンタリーの映画化が注目される今、一組の家族を通して「家族とは何か」「生きること・老いることの本質とは何か」をシンプルに問いかけた本作が生まれた背景には、地域に密着した報道を続けてきた山口放送が持つ強みと、夫婦たちの姿に惚れこんで、バトンをつなぎながら粘り強い取材を続けてきたディレクターやスタッフらの情熱がありました。さらに、映画化を後押しする大きな力となったのは、テレビ放送される度に局に寄せられた視聴者からの大きな反響・再放送を望む声でした。映画化にあたり、TVドラマ『北の国から』シリーズや映画『男はつらいよ』シリーズ、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどで知られる俳優・吉岡秀隆さんがナレーションを務め、作品が持つ優しくあたたかな魅力を、より一層引き出しています。
昭和31年4月、山口県で最初の民間放送「ラジオ山口(略称KRY)」として開局。昭和34年10月、テレビ放送開始。昭和36年、社名を「山口放送」に改称。ラジオ、テレビともに地域に密着した番組作りに取り組み、テレビでは月~金曜日の毎日、早朝の「KRYさわやかモーニング」、夕方の「熱血テレビ」「KRYニュースライブ」自社制作3番組を制作。現在、20年連続視聴率四冠王を継続している。また、長年、精力的にドキュメンタリー作品を制作し数々の賞を受賞。平成28年4月1日、開局60周年を迎えた。
日本テレビ系列 毎週日曜24:50~放送
1970年1月に放送が始まった日本テレビと系列29局がつくる報道ドキュメンタリー番組。制作本数は、45年間で2300本以上。「3分クッキング」「笑点」に続く日本テレビで3番目の長寿番組で、「文化庁芸術祭大賞」「日本民間放送連盟賞最優秀」「放送文化基金賞本賞」などを受賞、品質の高さにも定評がある。流行語にもなった「ネットカフェ難民」をはじめ、医療・高齢化・災害・原発事故といった様々な問題に目を向けるとともに、人々の生きる力となる“希望”や“絆”を描いてきた。制作・著作がキー局だけではないことが大きな特徴で、地域の特性を生かした番組を制作している。
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