絶対王者が帰って来た。小橋建太が帰って来た。
腎臓ガンの病に打ち勝って帰って来た!!
1万7000人が固唾を飲む。
そして待ちきれない武道館が沸く。大小橋コール。
僕も武道館に行きたかった。
フード被った小橋が花道を出てきた。花道の横には8万羽の千羽鶴。
涙が溢れて画面が滲む。実況の矢島君も涙声。そうだろう。
秋山・三沢・高山・小橋、4人が揃った。
小橋がコール、546日ぶりのリングでコール、
紫の無数の紙テープが舞う。
涙があふれ出てもう前が見えない。
ガウンを脱いだ小橋の体は十分にビルドアップされていた。
きけば腎臓がひとつないと、
タンパク質を控える食事制限をせねばならないとの事。
やはり努力の人だ。
高山とがっちり腕を組んで小橋先発。
546日ぶりのゴングが鳴り響く。
いきなり逆水平。ショルダータックル。
秋山、三沢と相対する。
小橋は最初から全開だ!!
技を出す小橋も受ける2人も技を噛み締めるようだ。
秋山・三沢の攻めは初めは様子見に見えた。
しかし、徐々に容赦ない攻撃にレベルアップ。これがエグい。
手加減しないのが復帰祝いだ。
容赦ない攻撃に武道館のファンから悲鳴が響く。
小橋がやられる。執拗な攻撃を受け続ける。ローンバトル。
涙がひっこむ。
小橋が膝をつく。やはり、いきなりのメインは難しいか。
しかし、歯を喰いしばる、小橋は立ち上がる。
また、涙がこみ上げてきた。
タッグを組む高山も
ここぞという時にしか出さないドロップキックを連発。
攻める小橋。
逆水平、手刀チョップ、数えられないくらいのマシンガンチョップ、
試合後で数えたら113回!!
さらには往年の
スリーパースープレックス&ハーフネルソンスープレックス、
そして、青春の握り拳ムーンサルトプレス。
信じられない。涙を流しながらソファを叩く。
1・2、スリーならず。
さらには、豪腕ラリアットまで。手術前以上の強い小橋建太だ。
しかしながら、終盤、
三沢・秋山の小橋への攻撃はさらに厳しさを増す。
秋山はニー、三沢のエルボーはすべての組み合わせで、
しかもタイガードライバーまで。
どれも、的確に、全く手加減ない攻撃。
でも、それを受け続ける耐え続ける小橋。
序盤小橋への体力の不安を抱いた自分を反省した。
いい意味で裏切られたのだ。
耐える小橋、三沢の決め技・エメラルドフロウジョンまで返した。
また涙があふれる。
なぜ、ここまで闘えるのか。
しかし、三沢・秋山組みが最後に選んだのは
トップロープからのエメラルドフロウジョン。
3カウント。
これを出すしかなかったのだ。
その昔、三沢は言っていた。
超危険な技は打っても相手が受けきれる確信がないと出せない。
小橋はそこまで復帰した証だ。
勝った三沢のスパルタンXが流れているのに大小橋コール。
『小橋は勝った、腎臓ガンに勝った!!』
矢島君の実況最高。その通り!!
終盤は涙が出っぱなし。
またまた小橋から勇気を元気を貰った。
初めて三冠ベルトを獲った翌日も一人道場で練習していた小橋。
努力の素晴らしさを教えられた。
ありがとう小橋。
「リングはいいね。花道はいいね。男は40からが勝負」
試合後の小橋は本当にいい顔をしていた。
「明日から頑張ろうと思ってもらえるレスラーになりたい」
明日からまた頑張ろうと感じた。
僕らの小橋。
やはりプロレスラーは強い。これからも強い小橋を見続けたい。
ありがとう小橋。そしておめでとう。