■県内の「クマ」の現状は? 東北で人的被害相次ぐ【徳島】(徳島県)
今、東北地方を中心に全国でクマによる被害が相次いでいます。
2025に入って犠牲者はすでに10人を超え、11月5日には自衛隊が派遣されるなど、まさに異常事態です。
そんな中、県内はどうなのか、現状を取材しました。
連日ニュースなどで目にするクマによる被害。
今、岩手県や秋田県など東北を中心にクマが市街地に出没し、人に危害を加える事案が増えています。
2025年に入って確認された被害者は100人以上、犠牲者は過去最多の12人を記録しています。
四国は、徳島は果たして安全なのか、獣害対策研究所の吉田洋所長に聞きました。
(獣害対策研究所・吉田洋所長)
「(四国の)クマの生息頭数はだいたい20頭くらい」
「山にいる動物なので正確な数は難しいが、そのくらい少ない数だと考えられている」
「種としては絶滅危惧種ではないが、四国の個体群に関しては絶滅寸前だと考えている」
四国自然史科学研究センターなどの調査によりますと、現在、四国には剣山系のごく一部、限られた地域でのみ生息が確認されています。
これは調査のため設置された三好市東祖谷の定点カメラの映像です。
県内で2025年に入って寄せられたクマの目撃情報は6件。
那賀町沢谷で親子のクマが目撃されたほか、上勝町、つるぎ町などではクマの皮剥ぎが確認されています。
これらの目撃情報はすべて山の中で、人里での発見や、人的被害は報告されていませんが。
Q.人里におりてくる可能性は
(獣害対策研究所・吉田洋所長)
「その可能性はあると思います」
「今年は比較的どんぐりがなっていますけど、なってなければ四国のクマも行動圏を広げますし、広げた先が人里で、そこに柿の木やクリの木桑の木があるとなると、美味しいごちそうがたくさんあるわけですから、それで居ついてしまう可能性は十分にある」
10月12日には、美馬市木屋平でくくり罠にかかったツキノワグマが発見されました。
地元猟友会の男性は、50年活動してきてクマを見るのは初めてで驚いたということです。
近づきつつあるクマの脅威、私たちにはどんな対策が可能なのでしょうか。
(獣害対策研究所・吉田洋所長)
「里をクマのえさ場にしないというのが重要になります」
「例えば後ろに柿の木が見えていますけど、こういう風に収穫しない柿とか栗とかたくさんあるので、食べてしまいます」
「そして、そこに居ついてしまう。そういうごちそうになるものを収穫して利用するとか、逆に切ってしまう」
「とにかくクマにとって里が魅力的でない場所にしてしまう」
「また、ここに広がっているような耕作放棄地、見ての通り、中にクマがいても分からないこういうところを刈り払ったりして、管理することも重要です」
そして、もしクマにあった場合の対処法は。
(獣害対策研究所・吉田洋所長)
「クマと鉢合わせになっても、まずは落ち着く。大声を上げない。走って逃げないということが重要になる」
「そして、もし可能であれば、ゆっくりゆっくりクマを見ながら離れて距離をとっていくことも重要な方法」
ではもし、クマが襲ってきたら?
(獣害対策研究所・吉田洋所長)
「その時に、わーとかギャーとか騒ぐと、そのままどっといってしまう」
「それをされても慌てずに、とにかくゆっくりゆっくり距離をとることが重要」
県も登山やキャンプなどで山に入る人たちにクマへの注意を呼び掛けています。
(県鳥獣対策・里山振興課永本 吉宏 副課長)
「ごみを放置したり、一番いけないのはえさをやること。そういった方はいないと思うが、そういった行動をとると、クマの行動をエスカレートさせてしまうので慎んでいただきたい」
四国はごく限られた地域のみ、人的被害や人里への出没もなく、過度に心配する必要はありません。
四国のツキノワグマは絶滅が危惧される状況で、多様な種を保存していくという意味でも守っていくことも重要です。
ここまで、県内のクマに関する現状をお伝えしました。
(11/04 18:19 四国放送)
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