■地域の「絆」を未来へ 中学生が「鉦踊り」学ぶ【徳島】(徳島県)
三好市山城町に伝わり、地域の人々の「絆」となっているのが、伝統行事「鉦踊り」です。
その鉦踊りについて、若い人たちに知ってもらおうと先日、地元の中学校で「鉦踊り」について学ぶ授業が行われました。
若者たちは、そして大人たちは一体何を思ったのでしょうか。
■「昔のままで貴重で踊り」
(県立博物館・庄武憲子 民族担当学芸員)
「念仏踊りですね、一番古い所では京都で1400年代に記録されてます」
「それぞれの集落の幸福を願って、1年に1回踊るということをしています」
「山城の鉦踊りがですね、すごいのは、昔のまま変化せずに」
「ずっと自分たちの文化として伝えて踊ってきたっていうのが、とても貴重なものです」
「山城に住んでいらっしゃる中学生の皆さんの、ぜひ踊りについて知っておいてほしいなと思っているところです」
■地元の中学校が授業で…
この日、三好市の山城中学校では、地元に伝わる県指定無形民俗文化財「鉦踊り」を学ぶ授業が行われ、1・2年生10人が参加しました。
(寺野地区・佐古和巳さん70歳)
「そーりゃ」
「この『そーりゃ』も、低い声で『そーりゃ』って言うたら、元気なしになるけん、大きな声で『そーりゃ』」
■住民8人が講師
授業では「山城町粟山」「信正」「寺野」「茂地」4つの地区の住民8人が講師を務めました。
寺野地区の佐古和巳さんは、踊りの小道具である大うちわや長刀などを使って、生徒たちに鉦踊りを教えます。
(寺野地区・佐古和巳さん70歳)
「頭を付ける、今度とぶわけなんですよ」
「パッととんで行って、うちわ持って来るんよ、てんてこてん」
天狗は「はつり」と呼ばれる、まさかりを持って踊ります。
(寺野地区・佐古和巳さん70歳)
「それともう(はつりは)長いこと使ったら切れんようになるけん」
「はつり研がなあかん、座るようにてんてんと砥石で研がないかんのよ」
「研んぎょる動作は大きいにした方が、きれいに見えるけん」
生徒らは、動作の1つ1つに意味があることを学び、その奥深さに感じ入っている様子でした。
(参加した生徒)
「こういうのあまり知らなくて、こういうのは山城にもあるっていうことを知って」
「これをきっかけに、伝統を受け継いでいきたいと思います」
(寺野地区・佐古和巳さん70歳)
「これを土台というか基礎に、今後興味を持ってと言うけど」
「子どもたちだって、興味を持つまでのところまでいってないんじゃないかとまだ思う」
これは、七福神の1人「福禄寿」からきているといわれる、ホクロクのお面。
しかし、佐古さんが暮らす寺野地区では、こうした鉦踊りに使う小道具の数々は、もう手元にありません。
貴重な文化財であるため、2024年、県立博物館へあずけたとのこと。
地域の祭りと、子どもたちの距離は広がるばかりです。
■花笠づくりにも挑戦
一方こちらは、粟山地区の鉦踊り。
踊りに続いては、粟山鉦踊りの象徴、花笠づくりに挑戦です。
(粟山地区・喜多二三男さん73歳)
「ちょっとええ、ここでこう手で押さえてな、次下持ってきてこう折る」
「今度上からこう折る、ほれでこういうふうに折っていく」
(作業を見ていた人)
「すごい 蛇腹専用」
「ただただ、手で折るんじゃないんだ」
粟山地区の喜多二三男さん、手作りの折り機を使って…。
折り紙を5ミリ幅の蛇腹にしていきます。
これが花笠を彩る飾りとなるのです。
(粟山地区・喜多二三男さん73歳)
「こっちが僕で、こっちが生徒さん、ワシより上手いんかい」
「これをノリ付けて、こういうふうに引っ付ける」
蛇腹になった折り紙から、きれいな花が咲きました。
昔は150個の花飾りをすべて手作りしていました。
(粟山地区・喜多二三男さん73歳)
「きれいにできとる」
(粟山地区の鉦踊り)
鉦踊りを未来へつなぐため、子どもたちに伝えていかなければいけないことがたくさんあります。
(粟山地区・喜多二三男さん73歳)
「やっぱり子どもさんや覚えるんはやいし、きれいこないして喜んでやってくれるから将来有望なわな」
■若者に託す思い
(粟山地区・喜多二三男さん73歳)
「粟山地帯がもう4世帯しかないんでね、人も7人しかいなんで」
「続けていく形になるとすればやっぱり、(生徒から)お手伝いをいただくしか方法がない」
「また一つよろしくお願いを申しあげます、ありがとう」
山城の鉦踊りのうち、「寺野」と「茂地」の2つの地区は高齢化などのため現在、休止しています。
残る2つの地区のうち「信正地区」は8月16日に粟山地区は10月5日に行われる予定です。
(07/23 18:42 四国放送)
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