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阿南市・吉井小が県内初「小規模特認校」へ どんなメリットが?【徳島】(徳島県)



阿南市の吉井小学校が、2026年度から「小規模特認校」と呼ばれる学校へと生まれかわります。

県内で初めての導入となる、「小規模特認校」とは。

そして、吉井小学校の特色ある学びとは。

学校の1日に密着しました。

■阿南市の吉井小学校

「おはようございます」

元気に登校してきたのは、阿南市・吉井小学校の児童たち。

学校に着いてすぐ、何やら準備を始めました。

(児童)
「おはようございます」

(記者)
「これは何?」

(児童)
「交通事故なくすんじゃー」
「看板とかを振って、事故をなくすために今からやります」

これは、吉井小学校の児童が地域のボランティアや警察官と協力し、週2回おこなっている交通安全運動です。

通勤時間中のドライバーに手をふり、交通安全を呼びかけるもので、児童が自主的に地域の人たちと協力し、おこなっている活動のひとつです。

(地域のボランティア)
「子どもたちも減ってきている」
「元気もらえて、地域の人も喜んでくれていると思う」

地域とのつながりの深さこそ、2026年度から「小規模特認校」となる吉井小学校の特色のひとつ。

■「小規模特認校」とは?

この「小規模特認校」とは、通学区に関係なく、希望すれば同じ市町村の小規模校に通うことができる制度です。

少人数で、きめ細やかな指導や、地域の特色を活かした教育を受けることができるのがメリットで、県内では吉井小学校が初めて導入します。

導入の背景にあるのは、「少子化」による阿南市の学校再編計画です。

■「学校再編」をきっかけに逆転の発想

(阿南市教育委員会・坂本和裕 教育長)
「再編ということで、吉井小学校においては、学校力や地域の教育力、そういうものを最大限に発揮できる方策は何かと考え」
「小規模特認校を導入すれば良いのではないか」

急速に少子化が進む阿南市、2024年の出生数は349人です。

吉井小学校も、1947年には450人を数えた全校児童が、今では50人と、学校再編の瀬戸際にある中、「小規模特認校」の導入は、阿南市内から広く児童を募り、特色ある学校を残そうという逆転の一手です。

■特色は「探求する学び」

(1年生)
「葉っぱが前よりも大きい」

吉井小学校の特色。

もうひとつが「探究する学び」です。

夏に花を咲かせる「アジサイ」。

1年生たちはなぜか、10月に葉が出たばかりのものを育てています。

(1年生の担任)
「もう1回植えたら花が咲くんじゃないかという、みんなの疑問からもう1回植えてみようと」
「わたしも今年初めてです」
「あんまり変わってないかな」

(1年生)
「先生、ザラザラの葉っぱが、夏植えた時はすごいザラザラだったが、秋に植えるとあまりない」

(記者)
「これも実験」

(1年生の担任)
「そうですね、ここからどうなるか、春に植えた通りツルが伸びて花が咲くのか、それはどうなるかお楽しみで」

学年があがると、探究はさらに深まります。

(児童)
「ハイ ハイ」

3年生は、阿南市にこの時期飛来する旅するチョウ「アサギマダラ」の授業がおこなわれていました。

授業ではすぐに答えは教えず、児童が自分で考える時間を大切にしています。

(3年の担任)
「どうやって(アサギマダラに)ついていっている、どうやって調べる」

(3年生)
「だいたいの予想」
「GPSつけるトンボとかもそうしている」
「ドローン」

(3年生の担任)
「今度行ってみて、実際に聞いてみましょうか」

後日、地元の専門家を訪ねて、実際の「アサギマダラ」を見せてもらうことになりました。

(3年生)
「楽しかった」
「知らないことがわかったから」
「知らなかったことが知れて、なんかワクワクする、見に行くまでが」

(吉井小学校・鎌田秀幸 校長)
「あくまでも教員は学びの伴走者というイメージ」
「答えを教えるのじゃなく、試行錯誤しながらゴールに答えに向かっていく、その時間をすごく大事にしている」
「子どもたちの深く考えていく力が、自ずとついてくるのでは」

■小規模ならでは自由な取り組み

小規模の学校ならではの自由な取り組みも。

(大正大学の学生)
「こんにちは」
「お願いします」

この日の6年生の授業では、東京の大正大学から学生を招き、交流しました。

大学生は1か月間、阿南市に滞在し、移住者をテーマに取材をしていて、そのレポートを児童たちに紹介しました。

(6年生)
「みなさんが取材した移住者に行きついた経緯は」

(大正大学の学生)
「地域をよくするためには人が必要、お金や支援が必要と言うけれど」
「やっぱり大切なのは人間で、みんなの力がないと地域を守れないし、活かすこともできない」
「みんなでがんばろうぜっていう人を増やすために、移住者はある訳で…」

(6年生)
「大学は自由でいろんなことができるって聞いた」
「僕も大学に行ってみたいと思ったので、たくさん勉強したいと思った」

普段あまりない大学生との交流は、児童たちに大きな刺激となったようです。

通常のカリキュラムに加え、特色ある学びを展開する吉井小学校。

児童たちは口を揃えてこう言います。

(6年生)
「小学校楽しいです」
「楽しい」

(1年生)
「楽しい」

(吉井小学校・鎌田秀幸 校長)
「これからの時代は、激しい変化の止まらない時代と言われている」
「そういった中で周りに流されない、しっかり自分の意思を持って、いろんなことを考えて判断できる子どもたちを、しっかり育てていきたい」

(阿南市教育委員会・坂本和裕 教育長)
「これぐらい子どもが、のびのび自主性を持って学べる学校なのであれば『ぜひ通わせたい』と思うような、魅力ある学校を作っていきたい」

吉井小学校は2026年4月から、「小規模特認校」としてスタートします。

11月4日からは、阿南市内の全域で児童の募集が始まります。

少子化や不登校、近年学校が抱えるさまざまな問題に立ち向かう県内初の挑戦。

その可能性は、1年生が植えたアサガオのようにこれからまだまだ伸び盛りです。

(豊成アナウンサー)
「本当に自由な発想で教育しているんですね」

(森本アナウンサー)
「5・6年生は9月、大阪・関西万博を訪れ、地元、若杉山の辰砂をPRしようと、来場者に英語などを使って辰砂を紹介したそうです」
「自分たちで企画し実現する」
「さらに『英語の伝え方をもっと改善したい』と、そこでの課題も見つけてくる」
「頼もしい子どもたちが育っていますね」

(10/29 17:26 四国放送)

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