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元Jリーガーがはじめた「一生の思い出に残る学童」とは?【徳島】(徳島県)



現役引退から10年、県出身の元プロサッカー選手が運営する「民間学童」が徳島市にあります。

コンセプトは「一生の思い出に残る学童」、立ち上げた思いや取り組みを取材しました。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「(現役時代は)学童をまさかやるとは、1ミリも思ってなかった」

徳島市城南町の放課後学童クラブ。

児童たちとスマホを見つめる、こちらの男性。

■元Jリーガー

元プロサッカー選手で、ゴールキーパーとして徳島ヴォルティスにも在籍していた阿部一樹さんです。

徳島市八万町出身の阿部さんは、2006年に高校卒業と同時に、愛媛FCでプロキャリアをスタート、2008年には徳島ヴォルティスに加入し、6年間在籍。

そして、2014年シーズンを最後に27歳で現役を引退しました。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「2014年12月に戦力外になった地元で引退するのが、これからの人生で僕の中でプラスになるんじゃないかな(と思って)」
「試合には全然出られなかったが、やり切った感がすごくあったので」
「すごい気持ちよく辞められたというか、サッカー選手を引退できた」

■民間学童「#スタトレ」立ち上げ

現役引退後パーソナルジムを立ち上げ、トレーナーとして活動していた阿部さんは、2020年に民間の放課後学童クラブ「#スタトレ」を立ち上げました。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「(友人家族から)公立の学童の定員が、かなりいっぱいいっぱいだと聞いて」
「『子育て世帯の方々の手助けになればいいんじゃないか』って、調べるうちにそういう気持ちが高まってきた」
「(子育て世帯を)サポートできる学童を作ることによって、本当に困っている家庭の最後の砦になるんじゃないかと思って、この学童を立ち上げました」


「スタトレ」は、「スタディ」と「トレーニング」を組み合わせてつけた名前。

子どもの成長過程で欠かせない、「学習」と「運動」の両方を兼ね備えた学童です。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「昔なら外で体を動かして、鬼ごっこなどをしてその中で体幹などを鍛えられた」
「今の子どもたちはそういう環境、遊べる環境が少ないのではないかと思っているので」
「いろいろな体を動かすイベントを、定期的に行っている」
「コンセプトが『一生の思い出に残る学童』子どもたちが明日も行きたい、ずっと学童に行きたい、6年生になっても行きたい、と言ってもらえるような、学童運営を行っている」

■「学習」「運動」のほかにも

スタトレでは学習や運動のほかに、様々な経験を通じた学びにも力を入れています。

夏休み期間には流しそうめんや、高校生との百人一首など、多種多様な行事を毎日行い、普段なかなかできないことを児童たちに経験させています。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「子どもたちって、いろいろな経験をする中で成長すると思っている」
「例えばリスクがあるからといって、やるのを止めようとなってしまうと、子どもの生活の中で、行動の制限を生んでしまう」
「子どもたちにチャレンジしてもらうことを、すごく意識していて」
「そのチャレンジの中で、いろいろな経験を子どもたちに積んでもらおうと」



考えているのは、子どもたちのことばかりではありません。

働き方が多様化している中で、年間の利用以外にも1日のみ利用や、春休み、夏休みといった長期休暇のみの利用など、家庭の都合に合わせて対応するのもスタトレの特長です。

そんなスタトレの、一日の様子を撮影させてもらいました。

(塾講師)
「おかえり」

午後3時ごろ。

学校から児童たちが、学童にやってきます。

現在は、八万小学校の1年生から4年生までの児童、約15人がスタトレを利用しています。

学童に来ると、まずは宿題の時間なのですが…。

(塾講師)
「宿題ないわけじゃないよな?」

(児童)
「ない」

(塾講師)
「ないん?」

(児童)
「音読と日記」

(塾講師)
「日記もう書くか?」

この日は午前中に台風が通過し、午後からの授業となったため宿題はなかったそう。

それでも学習を大事にするスタトレでは、パートナーシップを結んでいる「塾講師」が持ってきたプリントを解いていきます。

(児童)
「ひこうき」

(塾講師)
「もしかしたら、ここ(下に)書いてあるやつかもしれんよ」

勉強が終われば、自由時間です。

児童たちはお菓子を食べたり遊んだりと、自由気ままに過ごします。

阿部さんも、子どもたちに混ざってカードゲームをすることに。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「+2」
「4枚、あるん」
「うそー!8枚」

何気なくカードゲームをしているように見えますが、実は子どもたちを観察しています。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「児童同士の会話や行動を、スタッフみんなが共有して表情をよく見ること」
「しっかり保護者の方との、コミュニケーションだったり、児童とのコミュニケーションだったりというものを、かなり僕たちは意識して過ごしている」

そして、みんなが待ちに待ったイベントの時間です。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「きょうはみんなのために、この機械を持ってきてくれて」
「今から楽しい遊びをしながら体を動かすので、みんな全力で楽しんでください」

■楽しみながら体を動かす

この日、スタトレで行われたのは床に投影した映像を元に、ゲーム感覚で遊びながら楽しめる新時代のトレーニング。

初めての経験に、子どもたちも大はしゃぎで取り組みます。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「はい、頑張って!」

この後も、足踏みをしてキャラクターを走らせる新時代のかけっこや、足し算や掛け算が盛り込まれた、頭を使ったトレーニングなど、約1時間、休憩をはさみながら全力で取り組みました。

そして、トレーニングも終わり、お迎えの時間です。

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「こんにちは。すみません、びっくりさせて」
「さようなら」

困っている家庭の、最後の砦になればと立ち上げた「#スタトレ」。

阿部さんが見据える、スタトレの未来とは…。

■「一生残る思い出作り」の手伝い

(#スタトレ・阿部一樹 代表)
「チャレンジや経験の中で、自分のやりたい夢だったり目標を叶えられる」
「人間性を築ける、きっかけにスタトレがなればいい」

現役引退から、10年。

阿部さんはスタトレを通じて、一生に残る思い出作りの手伝いを続けるとともに、子どもたちと共に成長していきます。

(09/09 18:45 四国放送)

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