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「吃音」と生きる 教員を目指す大学生【徳島】(徳島県)



話し言葉が滑らかに出てこない、発話障害のひとつ「吃音」。

100人に1人、国内では約120万人いるとされています。

その当事者であり、「吃音」のことを広く知ってもらおうと活動する、県内の大学生を取材しました。

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「吃音とは、話し言葉が滑らかに出ない発話障害です。主な症状としては、さっきのように言葉が詰まってしまう」

鳴門教育大学4年生の安藤瑞輝さんです。

話し言葉が滑らかに出ない「吃音」があります。

安藤さんが「吃音」と出会ったのは、小学4年生の時、クラスで自己紹介をする場面でした。

■自分の名前が出てこないことも

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「自分の名前が出てこなかったんですよね、恥ずかしい気持ちと同時に何で自分の名前が出てこないの」
「言いたいのに、何で言えないのっていう驚きの感情もあったことを覚えています」

■吃音の主な症状

「吃音」とは言葉がスムーズに出てこない発話障害の一つで、100人に1人、日本には約120万人いると言われています。

主な症状は、言葉のはじめの音を繰り返してしまう「連発」、音が伸びてしまう「伸発」、うまく言葉が出ずに間が空いてしまう「難発」の3つあります。

クラスみんなの前で名前が言えなかった安藤さんはそれ以来、自己紹介がトラウマになりました。

その後、「吃音」に悩む日々を送った安藤さんですが、自分と向き合い、高校に入学してからは周りに「吃音」のことを話すなど「吃音」が、知って欲しいものへと変わりました。

2025年5月には大学1年生を前に、自身の体験を伝えました。

(学生)
「どのように『吃音』について考えたり接して欲しいですか」

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「言い終わるまで待ってください、待ってほしいです、ありがとうございました」

■夢は学校の先生

そんな、安藤さんの将来の夢は学校の先生になること。

今は勉強と両立しながら「吃音」の啓発活動に取り組んでいます。

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「高校の公民科で受験したいので、言葉が上手く出なくても、自分の生き方を子どもや生徒に示したい」

■「吃音」の全国大会

10月25日、何やら忙しそうな様子。

実はこの日、安藤さんが所属するグループが企画する「吃音」の全国大会が徳島市で開かれました。

このイベントは「吃音」のある人たちでつくる自助団体「言友会」が毎年開いているもので、2025年で59回目です。

■チャールズ国王から激励のメッセージ

大会の冒頭には、イギリス王室から届いたチャールズ国王からの激励のメッセージが紹介されました。

(スタッフ)
「大会が最も成功するイベントになりますことを願っております、国王陛下の心温まるお気持ちをお伝えいたします」

イベントには当事者やその家族など約150人が参加し、障害者手帳を取得して変わったことや「吃音」のある家族が電話をかける際に苦労したエピソードなど、「吃音」に関する発表や意見交換が行われました。

(参加者)
「第一声が出てこないということは、間違い電話やイタズラと思われるかもしれない不安」
「(息子は)電話をしました、電話でつながったからこそ得られた情報もあったみたいで」
「言葉が出ない理由があるのかなと、聞き手が余裕を持って待っててくれるような社会になっていったらいいな、と思いました」

そのほか、詩を創作するワークショップも開かれました。

参加者で決めた詩のタイトルは「伝える」。

(参加者)
「あなたも同じ私も、同じひとりではないことを大丈夫」

運営スタッフとして大忙しの安藤さんのもとに嬉しい応援が。

「吃音」の当事者で、同じ教師を目指す友人が県外から駆けつけてくれました。

友人も見守る中、イベント2日目には安藤さん自らが登壇し、「吃音」と向き合うことの大切さを伝えました。

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「教育実習で50分授業する中で、むちゃくちゃ『吃音』が出て授業が思うようにいかなかった時には、向き合いたくない時もあります」
「向き合って自分が変わったら、変わることもあるのかなと思っていて」

(安藤さんの友人)
「『吃音』があるからこそ、なれる教員像があると思うので、これから私も頑張っていきたいと思った」

(大学の先生)
「自分の輝く姿を生徒の前で見せられると思うので、生徒が困っている時に寄り添っていけるような教員になって欲しい」

(鳴門教育大学4年・安藤瑞輝さん)
「自分はやり切ったというのがあります。それぞれつながりが生まれていたので発見かなと思う」
「いろんな悩みを抱える人たちが、学校っていうものが少しでも過ごしやすい場所になればと思っている」

春からは、地元の愛媛県で高校の講師として働きながら「吃音」を知ってもらう活動を続けていきたいという安藤さん、夢に向かって新たな日々が始まります。

(10/30 18:02 四国放送)

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