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無人駅が本屋に 鳴門の池谷駅で期間限定イベント 【徳島】(徳島県)



JR鳴門線の無人駅・池谷駅が5月に、2日間限定の本屋さんとなりました。

一体どんなイベントだったのでしょうか?。

(記者)
「みなさんは最近、本読みますか?」
「県内では、いま本屋が減少しているんですが」
「ここ池谷駅では半年に一回、待合室に本が並ぶんです」

5月23日、24日に開催された、期間限定の本屋さんのイベント、その名も【無人駅本店】。

今回で5回目を迎えました。

企画したのは、東京の鉄道会社社員・堤聡さん。

幼いころから年に数回、祖父母の住む徳島を訪れています。

(無人駅本店・堤聡さん)
「今日はありがとうございます。このあたりに古本があって」
「外には新刊があります。コーヒー屋さんも来てます」

池谷駅は、祖父の家からの最寄り駅。

小さい頃から馴染みの場所でした。

この無人駅で、本屋をしようと思ったきっかけは。

(無人駅本店・堤聡さん)
「ふと帰省で帰ってきたときに、この駅の空間ってすごいかっこいいなあと思って」
「高校生が地べたで座って、ホームで乗り換えで待っている場面をよく見ていたので」
「ここでなにか出来たらいいなあと思って、はじめました」

誰もがふらっと立ち寄れる場所。

何気ない空間が、知的好奇心いっぱいの空間となります。

本に親しむことでいろんな人の人生を追体験したり、新しい出会いの場を作りたいと考えました。

中でも駅を利用する学生に向けて、本選びにこだわりがあります。

(無人駅本店・堤聡さん)
「一度、自分自身の興味について考えてみたりとか」
「知らない仕事に出会える、業界研究みたいなのができる場所があればいいなと思って」
「仕事にまつわる、マニアックな本とかも置くようにしています」

(鳴門市の高校生)
「自分はあんまり、本読まない人間なんですけど」
「国語の時間で本を読んで感動するときってあるので」
「こういうところで、新しい本との出会いがあったら嬉しいかな」

店内には、古本や自主出版の手に入りにくい本、大型書店でも小さなコーナーに置かれている詩や、短歌関係の新刊などを取り揃えています。

デザイン性が高いのも特徴です。

お客さんは、高校生だけではありません。

常連のお客さんや、SNSを見てやってくる人、近所の人も訪れます。

(板野町の小学生)
「いろんな本があって面白い」

(阿波市から訪れた人)
「本屋でなかなか見ない本が置いてあったので、ちょっと気になるなと思って手に取って」
「普段触らない本が結構あるので、こういう機会に買って帰るのもいいかな」
「いつもは通り過ぎるような駅だったんですけど、こういった催しがあったらちょっと寄ってみようかなと」

堤さんは8年前にこの企画を思いつき、本の知識を身につけようと、古本の出店や図書館司書などの資格を取得しました。

2023年、ようやく開催に漕ぎつけ、それ以降、年2回開催しています。

回数を重ねるごとに、地域にも溶け込んでいるようで…。

(地域の人)
「どうぞちょっとやけど、(パン)食べてください」

(無人駅本店・堤聡さん)
「ありがとうございます」

地域の方から、パンの差し入れもありました。

(徳島大学に通う・岩田悠利さん)
「コーヒーと本のある所を作りたいなと思って」

コーヒーを出店するのは、徳島大学の学生たち。

2024年の春、無人駅本店に遊びに来たことがきっかけで、今回出店することになりました。

(徳島大学に通う・岩田悠利さん)
「駅だと本当にいろんな方がいるので、(汽車から)降りてきた高校生だったりとか」
「(普段は)地域の方とか、あんまり出会えなかったりするので」
「そういう方とお話できると嬉しい」

(無人駅本店・堤聡さん)
「1回目(来店した客)は、SNSの方だったんですけど」
「最近やっと地元の人が遊びに来られるようになったので、続けていきたいなと思っています」

堤さんは無人駅本店以外にも、電車の中や町中で本棚を背負って歩く取り組みなど、様々な本に関する活動を行っています。

(無人駅本店・堤聡さん)
「すごい文豪が書いている本を、若い人が読むこともあるし」
「一方で、写真が多かったり、デザインがかわいい本を、年配の方が選ばれることもあるし」
「世代も問わず楽しめるっていう良さがあると思います」
「私一人でやらないで、徳島のいろんな人と一緒に、いろんなものに挑戦していきたいです」

期間限定で本屋さんが開かれる池谷駅。

無人駅の待合室では本を通した、新しい出会いと人々の交流の輪が少しずつ広がっています。

(06/03 18:45 四国放送)

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