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9月1日「防災の日」 住宅の耐震化で巨大地震に備える【徳島】(徳島県)



2024年元日に発生した「能登半島地震」。

最大震度7、マグニチュードは7.6と推定されます。


石川県輪島市や珠洲市などでは、古い木造住宅を中心に倒壊が相次ぎ、約8万棟が被害を受けました。

関連死を除く200人余りの犠牲者のうち、約4割が圧死、2割が窒息・呼吸不全で、多くの人が倒壊した建物の下敷きになったとみられています。

まさに、住宅の「耐震性」が生死を分けたのです。

一方、30年以内に80%の確率で発生が予想されている「南海トラフ巨大地震」。

内閣府の新たな被害想定では、県内の死者は最大4万1000人。6万900棟が全壊し、3900人が、建物の倒壊などで死亡すると推定されています。

私たちが今、できることとは。

(森本アナウンサー)
「9月1日は「防災の日」です」
「スタジオには、徳島大学の中野晋名誉教授にお越しいただきました。よろしくお願いします」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「よろしくお願いします」

(森本アナウンサー)
「冒頭に数字をお伝えしましたが、南海トラフに関する内閣府の被害想定では」
「県内の被害者のうち、約1割も建物による被害があるとされているんですね」
「ほとんどが津波と思っていたので、少し驚きました」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「この6万900棟が全壊という数字ですけど、戸建て住宅の3分の1です」
「そう考えれば、それぐらいの数値があって当たり前かなと」
「震度6強、あるいは震度7が想定されていますから」


(森本アナウンサー)
「能登半島地震のケースを見てみますと」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「能登半島でも、全壊が6500棟ありました」

「こちら、耐震基準の表ですが、1981年を境に旧耐震と新耐震の区別がされています」
「新耐震でも、こまかく見ると2000年より前の基準と、2000年以降ではちょっと違います」
「2000年以降が現行基準で、この場合だと能登半島地震でもあまり被害がでていせん」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「データを紹介しますと、日本建築学会で調べられた結果なんですけど」
「3本の棒グラフの左から旧耐震の住宅、真ん中が新耐震ですが、2000年より前の住宅、右が現行基準の建物になります」
「注目してほしいのが赤とオレンジです」
「通常、全壊・半壊・一部損壊で分類しますが」
「こちらのグラフでは、倒壊と大破が赤とオレンジで示されています、これが全壊に相当します」
「そうやって見ると全壊率が、(右に行くほど)低くなっている」
「ただ、真ん中のグラフでも全壊している建物がけっこうある、こういう所を注意していただきたい」

(森本アナウンサー)
「耐震基準の差が被害の差になっているということですね」
「能登半島の被害を見ると、一目瞭然という感じだと思います」
「東日本大震災以降、津波への備えが進められてきたと思いますが」
「能登半島地震を経て、建物倒壊への備えが必要だと」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「非常に重要なことなんです」

(森本アナウンサー)
「そこで今回、実際に耐震工事を行うお宅にお邪魔しました」

1992年に建てられた、新耐震基準の住宅です。
しかし、耐震診断を行ったところ、安全と言われる「1」に対して、3分の1の強度しかないと診断され、今回、耐震工事を行うことになりました。



耐震工事を行う前に、まずは耐震診断を受ける必要があります。

この耐震診断を受けるにも条件があり、「木造」で「2000年5月31日以前に着工」していて、「3階建て以下」が対象です。

費用は5万円ですが、補助金を活用すれば3000円、もしくは無料で受けられる市町村もあります。

この耐震診断の評点が、安全と言われる「1」を下回ると耐震工事を行う必要があります。

(誉建設 技術部管理課・大坂直也 現場監督)
「(工事前に)補強計画を行います、その段階で各柱や壁に応じて強度を決めていきます」
「こちら現段階は解体、ばらしが終わった状態です」
「この後、図面に応じて構造金物や耐力面材を施工していきます」
「こちらから順に強度が上がっていくような順番に並べている」
「『は』とかいているのは、『は』に該当する金物を柱の足元と先に取り付けを行います」

このような一見小さな器具が、地震から建物を守ってくれるのだそうです。

(誉建設 技術部管理課・大坂直也 現場監督)
「土台と柱、梁とが金物で強固に緊結されて、地震の際に揺れた時に」
「土台と柱、梁が引っ張られて抜けないように、強度に応じてつけている」

耐震工事は、必要な場所に必要な強度の金物や耐力壁を使用するため、最低限のコストで耐震化が可能だということです。

(誉建設 技術部管理課・大坂直也 現場監督)
「耐震補強工事は住みながらの工事もできますので、また補助金もおりますので」
「そこまで敷居が高いものでは決してありませんので、お気軽に耐震診断からお申込みいただければ」

(森本アナウンサー)
「耐震補強工事といっても、思ったほど大げさなものではないんですね」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「そうですね、必要なところ、構造的に弱いところに金物を取り付けたり」
「あるいは、合板をはって強くしたりします」
「全てを修復する訳ではないので、一部なので、比較的短期間でできるという感じです」

(森本アナウンサー)
「今回のお宅のように、耐震基準を満たしていても安心、というわけではないんですね」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「そうなんです、やはり能登半島の事例でも」
「新耐震の建物だけども、全壊とか半壊がけっこうありました」
「震度6強、震度7レベルになると、どうしても一部壊れたりするので」
「できるだけ耐震化を進めていくことが、必要となってきます」

(森本アナウンサー)
「住みながらの工事も可能という話でしたから」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「必要なところから工事をして、また移してというような形で進めますので、住みながらできるかたちです」

(森本アナウンサー)
「工期、費用が気になると思いますが」
「VTRにご出演いただいた現場監督の方によりますと、工事の規模にもよりますが」
「期間はだいたい1か月から1か月半くらいだということです」
「しかし一方、費用の方は平均約260万円ほどということで、こちらはそうお気軽にといったわけにはいきません」
「そこで現在、自治体による補助制度などはどうなっているのか、県の担当者に訊きました」

(県 住宅課・森中美紀 係長)
「能登半島地震では、建築年代の古い木造住宅が多数倒壊した」
「物価高騰対策と合わせて、耐震改修の補助上限金額の拡充をしております」

工事に対する補助金は自治体によって異なるものの、120万から200万円、震度5強でブレーカーを強制遮断する感震ブレーカーにも10万円の補助がおります。

県によりますと、現在県内にある住宅約30万戸のうち、少なくとも4万2000戸が危険、実際に耐震工事が必要な住宅の数は把握できていないのが現状です。

(県 住宅課・森中美紀 係長)
「補助金が引きあがっている今、耐震化に取り組んでいただくと」
「自己資金が少なく取り組めるので、是非活用してほしい」

(森本アナウンサー)
「中野先生は県内の耐震化の現状について、どのようにご覧になりますか?」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「まだ耐震診断をしていない建物がたくさんあります」
「2000年より前の住宅は、耐震診断を受けることができますので」
「まず、耐震診断をしていただいて、可能な範囲で耐震工事に着手していただく」
「後悔先に立たずということで」
「地震が来るまでに、備えていただきたいと思っています」

(森本アナウンサー)
「ここまで、県内の住宅進化の現状についてお伝えしました」
「中野先生、ありがとうございました」

(徳島大学・中野晋 名誉教授)
「ありがとうございました」

(09/01 21:10 四国放送)

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