■徳島道「4車線化」の現状は? 2人死亡の正面衝突事故を受け【徳島】(徳島県)
7月、徳島自動車道でバスとトラックが正面衝突し、2人が死亡した事故現場は、片側1車線のいわゆる「対面通行区間」でした。
改めて危険性の高さが露呈した、対面通行区間を解消する「4車線化」の現状や安全対策を取材しました。
■高速バスとトラックが正面衝突 2人死亡
7月、徳島自動車道で起きた、高速バスとトラックの正面衝突事故。
バスの乗客1人とトラック運転手が死亡するなど、14人が死傷する大惨事となりました。
バスの運転手は。
「トラックのタイヤがバーストしたように見え、車線をはみ出してきた」
■現場は片側一車線の「対面通行区間」
現場は片側1車線の、いわゆる『対面通行』区間でした。
互いの車線を隔てるものは、何もありません。
(負傷したバス乗客の男性)
「そりゃ、一車線でタイヤパンク(バースト)して操縦失ったら、どうしようもないと思うので」
「ゴールデンウイークやお盆で、満員で何十人とか亡くなる事故が起きる可能性があると思うので」
「変えれる部分、変えていって欲しい」
■徳島道「4車線化」の現状は?
待ち望まれてきた徳島道の4車線化…。
現状は、どうなっているのでしょうか。
阿波市土成町の工事現場では…。
(記者)
「ここはどういう場所?」
(ネクスコ西日本 徳島工事事務所・小石寛大 工務課長)
「こちらは、土成工事になります」
「あちらが、今共用している本線のトンネル坑口。こちらが新しく4車線化する為に作っているトンネル」
現在、片側1車線、対面通行の浦ノ池トンネル。
隣に建設中のトンネルが完成すれば、上下線が2車線ずつに分かれ、4車線となります。
(ネクスコ西日本 徳島工事事務所・小石寛大 工務課長)
「現在、トンネルの掘削をお盆明けくらいから開始して、13m程、トンネルを掘り進んでいる」
「これから、トンネルを7本掘る予定です」
■約7割が「対面通行区間」
この工事が行われているのは、土成インターチェンジと脇町インターチェンジの間の一部、7.7キロの区間。
この区間をはじめ、現在、徳島自動車道は総延長106キロのうち、約7割に当たる74キロがいまだ、片側1車線の対面通行区間です。
しかし、工事は新たなトンネル掘削や橋の建設など、大掛かりなものにならざるを得ません。
限りある予算を、どう配分するべきなのか。
(ネクスコ西日本 徳島工事事務所・池田順一 所長)
「高速道路における安全・安心基本計画におきまして、時間信頼性の確保、事故防止」
「ネットワークの代替性の確保の観点から、優先整備区間が設定されています。」
■55キロが「優先整備区間」
国交省は、藍住インターから川之江東ジャンクションまでのうち、いまだ4車線化されていない55キロを「優先整備区間」に指定。
現在はこの中で、この日、取材した土成・脇町間の一部など、17.3キロが事業化されています。
しかし藍住インターより東など、これ以外の区間は未定です。
(ネクスコ西日本 徳島工事事務所・池田順一 所長)
「すべての徳島自動車道の優先整備区間を、同時に着手していくことは困難なので」
「優先順位を決めた上で、順次、事業を進めていきたい」
■ワイヤーロープ設置するも制限あり
そんな中、2車線区間の事故防止策が。
(ネクスコ西日本 四国支社・福本薫 交通計画課長)
「ワイヤーロープは高い靭性のワイヤーロープと、比較的強度の弱い支柱で構成されている」
「衝突したときに、車がワイヤーロープの引っ張りで車の衝撃を抑える構造」
「ワイヤーロープを設置した箇所については、これまで死亡事故は発生しておりませんので、有効的と考えている」
このワイヤロープは現在、対面通行区間74キロのうち、27キロで設置されています。
しかし、今回の事故現場のような橋やトンネルは道幅が狭く、事故で反対車線に倒れたワイヤロープの支柱が道を塞ぐ可能性があるため、設置出来ないということです。
■新たな対策を検討
そこでネクスコ西日本では、新たな対策を検討しています。
(ネクスコ西日本 四国支社・福本薫 交通計画課長)
「現在、センターブロックとセンターパイプ、2つの技術がありまして、試行的に検証を行っている」
センターブロックとセンターパイプは衝撃緩和性にすぐれ、ぶつかっても倒れる恐れが小さいため、橋やトンネルにも設置できると期待されています。
(ネクスコ西日本 四国支社・福本薫 交通計画課長)
「徳島道も設置することが報告されていますので、今後はその方向で、動いていく」
物流の大動脈として、また災害時には救助隊や支援物資が通る「命の道」として、私たちの生活に欠かせない高速道路。
だからこそ早期の4車線化と、安全対策が求められます。
(09/05 18:01 四国放送)
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