NNNニュース

「命尽きるまで地元に貢献」 がんと闘うイカ焼き店主【徳島】(徳島県)



お祭りの屋台などで人気の「イカ焼き」。

あの香ばしい匂いをかぐと、思わず買っちゃいますよね。

そんな「イカ焼き」を気軽にテイクアウトできるお店が、吉野川市にオープンしました。

しかしその影には、病との壮絶な戦いがあったのです。

■魅惑の「イカ焼き」

クーラーボックスの中には、大きなスルメイカ。

カチコチに凍ったイカを電子レンジで解凍し、食べやすいサイズに切れ目を入れていきます。

下ごしらえを終えたイカを、いざ、使い込まれた鉄板のもとへ。

油を十分なじませたら…。

「ジュ〜」

グッとおさえて。

もはやコテは、指先の一部。

全ては体が覚えてる。

ひっくり返して、さらに一押し

(RICCHIN・徳永力さん)
「プリプリで、美味しいですよ」

ん〜たまりません。

■店を開いたある「きっかけ」

ここは吉野川市・鴨島駅前にある、いか焼き専門店「RICCHIN」。

香ばしい匂いが、通りに漂います。

2024年11月にオープンしました。

もともと、電気工事関係の仕事をしていた店主の徳永力さん。

お店を開いたのは、あるきっかけがありました。

■「がんで3回ほど死にかけました」

(RICCHIN・徳永力さん)
「ちょっと病気になってしまって、電気工事ができなくなって」
「自分のペースでできるのは何かと思って、飲食店を始めました」

(記者)
「どういった病気だったんですか」

(RICCHIN・徳永力さん)
「『食道胃接合部がん』って言って、ややこしいところ『がん』になって」
「リンパとかにも転移してしまって、ステージ4で、3回ほど死にかけたことがありました」
「抗がん剤治療と放射線治療の影響で、食欲もなく水分も取ったら嘔吐する、食べれん飲めれん」
「このまま放っておいたら、亡くなってましたと」
「口からモノ食べるってことは本当に幸せですよ、食べること幸せなのでこの幸せをみんなに」

■病床で見た夢

壮絶ながんとの闘いの中で、食べられることの幸せに気が付きました。

病床で見たのは、飲食店を経営する夢。

資金面などでその夢を助けてくれたのは、弟の豪さん。

命の恩人でもあります。

■弟が心臓マッサージ

「ジュ〜」

(RICCHIN・徳永力さん)
「本当、倒れたときは本人記憶ないので」
「母親が弟に連絡して、心臓マッサージしてくれて、それで助かりました」

2人で作った秘伝のタレをたっぷりと。

■地元への愛

鴨島阿波踊り。

2025年も、この夏がやってきました。

実は徳永さん、「一夜限りの鴨島阿波おどり」実行委員会の創立メンバーでもあります。

(実行委員長・和泉敦史さん)
「言いづらいんですけど(実行委員会に)もう戻って来ないのと違うかと、みんなで内々には話していました」
「抗がん剤治療で家に帰ってるから行くわって言って、来たらチューブしたままの状態で、みんなそれを見てえ〜っみたいな」
「病気の人がこんなんできるっていう勢いなので、これ(阿波踊り)が楽しみで生きているんと違うかってくらい」
「熱意がすごすぎて、僕も実行委員長代わってもらいたいって思いですね」

「RICCHIN」の店先にはられた、鴨島阿波踊りのポスター。

徳永さんのイカ焼きには、地元への愛も込められています。

こちらは、トッピングのチーズ。

美味しそうな焦げ目がついたチーズの上に、特製マヨネーズ。

ご自慢の特製ソースにネギを散らして、一番人気の「イカ焼き大スペシャル」の完成です。

(RICCHIN・徳永力さん)
「こちらが、イカ大スペシャルです」

■「命尽きるまで地元に貢献」

イカ焼きと阿波踊りで、地元を盛り上げたい。

がんになって、その想いがより一層強くなったという徳永さん。

(RICCHIN・徳永力さん)
「鴨島、地元活性化して、自分の命が尽きるまでは、この町に貢献しようと頑張ってます」

中学生や高校生だけで来店すると、各サイズ100円引きでトッピング無料の学割価格もあるそうです。

(07/22 19:43 四国放送)

TOP

Copyright(C)NNN(Nippon News Network)