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県民のソウルフード「ボウゼの姿寿司」 89歳の職人が握る!【徳島】(徳島県)



徳島の秋の味覚、ボウゼの姿寿司。

2025年も、県民のソウルフードをいただける季節がやってきました。

近年では作る家庭も減っている中、御年89歳の寿司職人に、姿寿司の美味しい作り方や醍醐味を教えてもらいました。

■89歳の寿司職人

手際よく魚をさばき寿司をにぎるこの男性。

なんと、御年89歳。

今も現役バリバリの寿司職人です。

徳島市中央通に店を構える「千両寿司」。

(豊成アナウンサー)
「こんにちは」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「いらっしゃいませ」

(豊成アナウンサー)
「よろしくお願いします」

店主の山手明二さん。

この道、実に73年の大ベテランです。

店を構えたのは62年前、1963年のことでした。

(千両寿司・山手明二さん(89))
「1回目の東京オリンピック(1964年)のちょっと前」

■あのヒラリー元大統領夫人にも

長い職人歴の中では、アメリカ・ワシントンでVIPの舌をうならせたことも。

(千両寿司・山手明二さん(89))
「1996年と97年2回行った」

(豊成アナウンサー)
「ワシントンでは誰に握った?」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「ヒラリー(大統領夫人)」

■プロだからこそ大事にしたい家庭の味

(豊成アナウンサー)
「長い寿司職人の人生の中で、ボウゼの姿寿司は」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「郷土料理は何かと言うと家庭の味、たまにごちそう食べて美味しい」

プロの職人だからこそ大事にしたい家庭の味、「ボウゼの姿寿司」。

「ボウゼ」は今がまさに旬です。

9月から10月にかけ県沿岸でよく獲れる魚で、この呼び名は徳島特有のもの。

正式には「イボダイ」といいます。

今の時期は、徳島市漁協だけで1日1トン以上の水揚げがあり、うち7割が県内で消費される、まさに県民のソウルフードです。

なかでも姿寿司は特別なもの。

秋祭りなどの行事には欠かせない一品で、かつてはどの家庭でも手づくりしたものです。

山手さんはまず頭をつけたまま開きにします。

(豊成アナウンサー)
「内臓は手でとる」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「手でとります」

■89歳とは思えない手さばき

丁寧に手で取り除くことで、臭みを減らすことができます。

さらにピンセットで骨なども取り除きます。

(豊成アナウンサー)
「細かくて大変な作業」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「大変、黒いところも取りにくいので」

御年89歳とは思えないこの手さばき。

塩を揉みこみ40分置くことで、余分な水分を抜きます。

(豊成アナウンサー)
「少し水が出ていますね、身の透明度も少し変わっている」

水で割ったお酢とすだち果汁に3分ずつ、3度漬け込みます。

漬ける時間を短くすることで、皮の光沢を保つことができます。

その後は、冷蔵庫で1日寝かせ熟成させると、身の出来上がりです。

最後に俵型の酢飯をまとわせるように握ると「ボウゼの姿寿司」の完成です。

(豊成アナウンサー)
「ありがとうございます」
「うわーすごくきれい」
「光沢感があって近くで見るとキラキラ輝いています」
「この姿を見るだけで徳島の秋を感じられる」
「身は淡泊な感じだが、噛んでいるとふわっと甘みが追ってくる」
「想像以上に脂が乗っているのにびっくりした」
「お酢とスダチの酸味が、ボウゼの風味に絶妙にマッチする」

(千両寿司・山手明二さん(89))
「ボウゼの姿寿司は徳島ぐらい、お祭りになくてはならないお寿司」
「家族で作る楽しみ、家の者もそれを食べる唯一の楽しみにしていた」
「毎日食べられるものではないから、大事に食べてほしい」

家庭ごとにさまざまな姿や味がある、まさに県民のソウルフード。

旬の今、みなさんも「ボウゼの姿寿司」を食べて、徳島の秋を感じてみてはいかがでしょうか。

(09/24 18:00 四国放送)

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