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「見える119番」 映像で通報するシステム県内初導入【徳島】(徳島県)



一刻も早い現場の把握が求められる、救急・消防活動。

板野東部消防組合では、県内で初めて、映像で通報するシステムを導入しました。


■映像で通報するシステム「Live119」

(記者)
「いつどこで起こるか分からない事故や救急事案、その現場の状況をいち早くより正確に伝えようと」
「板野東部消防組合消防本部が取り入れたのが、この『Live119』です」

2025年5月に導入された映像通報システムは、119番通報者がスマートフォンで現場を撮影し、その映像を通信指令室のモニターや救急隊が所持するタブレットに共有します。

■板野東部消防組合消防本部に県内初導入

県内の消防では、板野東部消防組合消防本部での運用が初めてです。

(板野東部消防組合消防本部 通信指令課・伊賀隆智 課長)
「現場の状況や言葉では伝わりづらい」
「患者さんの状況が指令室の方で把握でき、初動体制や応急処置の初動に使えるようになっています」

実際どのように使うのか。

記者が通報の手順を体験しました。

現場の想定は、普通乗用車同士の事故を目撃。

場所とケガ人の数が不明という状況です。

(記者)
「あちらが事故現場です、いつも通り119番で通報したいと思います」

(通信指令室)
「はい 消防署です、火事ですか救急ですか」

(記者)
「救急です、車同士の事故が起きています」

■携帯電話で現場を撮影

(通信指令室)
「ある程度の町名は分かりますかね」

(記者)
「高速道路が近くに通っているのだけは、わかるんですけども」

(通信指令室)
「場所の確定と事故の状況を確認したいので、撮影をお願いしたいんですけど、よろしいですかね」

(記者)
「お願いします」

「Live119」はアプリのインストールが不要。

指令室から発信元のスマートフォンに送られる「URL」で起動できます。

端末の位置情報共有とマイク・カメラのアクセスを許可すれば、現場の状況や現在地が指令室と救急隊にリアルタイムで共有されます。

(通信指令室)
「安全でしたら近づいていただいて、あんまり近づくと危ないので」
「(ケガ人)確認できましたので、分かりました」

通報者の身の安全が確認できれば、必要に応じて指令室から指示も。

これによって、言葉だけでは伝わらなかった現場の今を正確に把握できます。

■応急処置も指示

また、救急隊到着までの応急処置が必要な場面では。

(通信指令室)
「動画の撮影の協力と、心臓マッサージってできますかね」

(記者)
「心臓マッサージ、ちょっとやり方が分からなくて」

(通信指令室)
「こちらの方で、やり方の動画の方も送りますので、ご協力お願いします」

指令室から心臓マッサージの方法を映した動画が送られ、手順を確認できます。

(通信指令室)
「胸骨圧迫している方が場所が悪いので、身体を倒れている方の真横に来ていただいて」
「胸部の真ん中を上から真っ直ぐ肘を伸ばして、5センチほど沈むように、胸骨圧迫していただけますかね」

このように映像の通報ならではの指導も行われます。

「Live119」は2025年5月の導入以降、10月29日までに29件使用されていて、夜間の事故現場の特定や胸骨圧迫で心拍が再開した例などが15件あります。

その一方で、通報失敗例は14件。

通信環境や端末の不具合に左右されるなどの課題があります。

県内の消防で初めて導入された映像通報システム。

この「見える119番」、救命の初動を支える新たな手段として期待されます。

(10/30 18:03 四国放送)

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