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「ただ一人の飼育員」奮闘中 うみがめ博物館カレッタ【徳島】(徳島県)



美波町の、日和佐うみがめ博物館カレッタは施設の老朽化に伴い、2025年7月にリニューアルオープンしました。

そのカレッタでただ一人の飼育員として、奮闘する女性にカメラが密着しました。

■カレッタ唯一の飼育員

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「脇が好きなんですよ」

日和佐うみがめ博物館カレッタで働く、徳島市出身の長楽美保さん、44歳。

ウミガメやリクガメなど20種類、約50匹を飼育しているカレッタただ一人の飼育員です。

大阪の専門学校を卒業後、とくしま動物園や県外の動物園で勤務し、カレッタでは、2025年で10年目になります。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「一瞬といえば一瞬だったんですけど、ようやく自分の考えで飼育の仕事ができるようになってきた」

午前7時半。

長楽さんの1日は、カメたちが暮らす水槽の水温チェックから始まります。

雨が降り、最低気温12℃と急に冷え込んだこの日。

屋外にある大ガメプールの水温は24.6℃でした。

■一日の始まりは水温チェックから

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「そうですね、ちょっと(水温が)低いですね。この前まで26℃ぐらいあったんですけど」
「今日みたいにすごく冷えこんだりすると、変温動物なので」
「1℃、2℃変わるだけで体調変わったりとか食欲とか変わるので、対応にすごく追われる」
「館長」
「ちょっと水温がだいぶ落ちたので、朝一からヒーター全部、淡水(の水槽は)入れておきます」
「キャパは大丈夫だと思うですけど、もしブレーカー落ちたら言ってください。」

水温が低い淡水の水槽は、急遽ヒーターを入れることに。

少しでも水温が上がるよう、調整していきます。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「ここ(下)で温めて、それ(温めた水)が上に行きます、だいたい27℃は欲しいかなと」

水温はちゃんと上がるのか。

水槽のカメは少し心配そう。

■リクガメをお湯で温める?

バックヤードではリクガメも飼育しています。

エサを与える前に、長楽さんが1匹のリクガメを抱えました。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「ちょっと(最近)うんちの出が悪いのと、水分補給を兼ねて」
「季節の変わり目が一番嫌、気温が下がると(カメの)代謝も落ちる」

37℃のお湯で温め、排泄を促します。

その間に、草食のカメたちのエサの準備。

ダイコンの葉っぱやにんじんなど、野菜をカットしていきます。

■好きなものから食べる?

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「いつも同じメニューだと飽きてくる、お腹は空いているが嫌みたいな」
「これお野菜です、きゅうりと人参と大根の葉っぱです」

この日、遠足で来ていた小学生たちは、カメがエサを食べる様子に興味津々です。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「今日は(雨で)外に出られないので、もうここでエサをあげてしまいます」

バックヤードのリクガメたちもエサの時間。

よく見ると、ニンジンばかり食べています。

長楽さん曰く、甘いニンジンを好んで食べる子が多いそう。

好きなものから食べるって、人間みたいですね。

そうこうしているうちに、温浴中のリクガメにも動きが…。

無事フンが出ました!気になるフンの状態は…。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「全然いけます、良好ですね」

まだまだ、やることは終わりません。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「飼育って、ほぼ雑用ばっかりなんで」

タオルの洗濯や、エサの準備が終わった後は、飼育日誌の記入です。

この日の水温や、エサの内容を日誌に残していきます。

■エサの調達も

日誌を書き終えると車に乗り、エサの調達のために近くの道の駅やスーパーに買い出しに向かいます。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「これは、もらうやつです」

道の駅からは、廃棄する野菜を提供してもらうこともあります。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「一気に冬になった感じ」
「秋ないん」

(道の駅店員)
「冷房から暖房やもん」

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「そうそう、暖房」
「爆睡。めっちゃ寝てる」

お昼休憩をはさんだ後、水温が上がっているか確認するため、ヒーターを入れた水槽の水温を再度計ります。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「(水温の)上りが弱い。こっちが22℃、あっち(隣の水槽)が24℃まで上がっているので、下手したら2℃ぐらい違う」

より強力なヒーターに交換し、水温を計り直します。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「多分これで大丈夫だと思います」

■健康チェックは入念に

ヒーターの交換のあと、アカウミガメのプールで食事の時間です。

食事の際、意識していることは…。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「ちゃんと前足と後ろ足が動いているか、エサを見たら反応するので、目が見えているかとか、健康チェックを兼ねている」



■多岐にわたる仕事

長楽さんは飼育だけでなく、広報業務やイベント企画なども担当しています。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「ハロウィンのことで、少しだけ話してくるので」
「こんなのどうですか?これをインスタグラムとXに添付して、文書は『こんなのをしますので』みたいな」

カレッタのイベントは全て長楽さんが考案

イベントの一つ、ウミガメのエサやり体験

SNS用の写真撮影・投稿

町の広報誌掲載用記事の作成

解説資料の作成

展示場の掃除など、一日中動き回っていた長楽さん。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・平手康市 館長)
「長い目で見ながら生き物の状態を観察して、ちょっとした変化も見逃さずにっていうことは、非常に重要なこと」
「長楽さんの存在は、カレッタにとっては非常に大切な館員」



■カメと一緒に成長

長楽さんが目指す、カレッタの在り方と飼育員としての目標は…。

(日和佐うみがめ博物館カレッタ・長楽美保 飼育員)
「博物館というと硬いイメージがある。気軽に来てカメのことを知ってもらえるような施設になったらなと思う」
「元気なカメを見てもらいたいので、とにかく飼育の技術を身に付けて、日々レベルアップしていきたい」

きょうも変わらず、カメと向き合い続ける長楽さん。

カレッタただ一人の飼育員として、これからもカレッタと、そしてカメたちとともに歩んでいきます。

(10/27 18:18 四国放送)

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