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福島市にジビエ専門店「猪鹿鳥」オープン ある保護者を支援する”役割”も 共生社会実現へ…(福島県)



福島市にジビエ料理の専門店がオープンしました。ほかでは食べられない新鮮さが売りですが、そのほかに、店が果たすもう一つの役割がありました。

福島市の市街地から南に車で20分ほどの場所に8月にオープンした、1軒の飲食店。店の名前は猪、鹿、鳥と書いて「猪鹿鳥(いのしかちょう)」といいます。週末には県外からも客が訪れる、いま話題のお店です。メイン料理は、焼き小屋スタイルで食べるお肉です。

■お客さんは…
「柔らかくて口触りがいい。『普通の肉』とやっぱり感じが違いますね」

客も絶賛するこちらのお肉、実は普通の焼肉店などでは食べることができない、特別なお肉なんです。

■猪鹿鳥 加治 浩子さん
「『ジビエ』を扱った焼肉屋。害獣として駆除されるシカやイノシシ、キジなどをメインに扱っている」

猟で得た野生の鳥獣肉「ジビエ」です。高たんぱく、かつ低カロリーで、ヨーロッパでは貴族の伝統料理としても発展してきたジビエ。近年シカやイノシシによる農作物への被害が大きな問題となる中、国内でも捕獲された動物をジビエとして活用する動きが注目を浴びています。
ただ県内では、原発事故の影響で野生鳥獣の捕獲や流通に制限があるため、店では北海道や千葉などのジビエを取り寄せて、提供しています。

■猪鹿鳥 菅野孝之さん
「ジビエは季節によって食べる餌がある(変わる)が、それによってお肉の風味、匂いもすべて変わります」

狩猟時期や個体によって味や脂付きがそれぞれ違うことも、魅力の一つのジビエ。ランチタイムは本州でとれるニホンジカ、北海道産のエゾシカの食べ比べセットが特に人気ということですが、気になるその味は…

■大川悠輔記者リポート
「お肉非常に柔らかいが、さっぱりしていておいしい」

山の恵みと命に感謝しながら味わうジビエ文化を広めたいとオープンした「猪鹿鳥」。その運営は、障がい児の家族を支援する一般社団法人が担っていて、店にはもう一つ狙いがあります。

■「みらいの光」の理事でもある 猪鹿鳥 加治 浩子さん
「子どもと一緒に通ってもらって、子どもをそばで見守りながらお仕事をしていただいて、さらに有償ボランティア費を得ていただく」

障がいのある子どもや難病を患う子どもを持つ保護者を支援するため、3年前に設立された「みらいの光」。引きこもりがちな親子が一緒に通えて、有償ボランティアとして賃金も得られる拠点づくりを進めてきました。その一つが、今回オープンしたジビエ専門店だったんです。安心して働けるよう、調理場の隣には子どもが遊んだり勉強したりして過ごせるキッズスペースもあります。

■「みらいの光」理事・猪鹿鳥 加治 浩子さん
「こちらがお母さまたちの作業場になっていて、ここからお子様の様子もみていただける」

店を訪れた人にもこうした活動を紹介し、支援の輪を広げていきたいと考えています。

■「みらいの光」理事・猪鹿鳥 加治 浩子さん
「地域の方も輪になって、楽しい明るい笑顔あふれる場所になっていけば」

福島市で注目される、ジビエ専門店。共生社会の実現に向けて、働く場の創出や新たな交流の場としても期待されます。

(09/02 18:41 福島中央テレビ)

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