NNNニュース

聖地巡礼効果でもっと地元を盛り上げたい… ”日常”も撮れる被災地を推す人たち 福島・相双地方(福島県)



映画やドラマのロケ地をめぐる「聖地巡礼」が今、旅行の新たなスタイルになっています。地域活性化の鍵を握るとされ、県内でもその力を活用して、震災・原発事故の被災地の今を映画などで発信しようという取り組みが進められています。

最近よく聞く「聖地巡礼」というワード。みなさんはご存じでしょうか?
福井県大野市の山あいに広がる田園地帯も、最近注目を浴びています。そのワケは…

■訪れた人は…
「Mrs.GREENAPPLE(ミセスグリーンアップル)の夏の影の写真と同じ風景を見に来た」
「夏の影の聖地巡礼をしに来た」

人気ロックバンド「Mrs.GREENAPPLE」の新曲『夏の影』。 そのミュージックビデオが、この一帯で撮影されたのではと今、話題になっているのです。ロケ地として知られ多くの人が訪れる、これこそが「聖地巡礼」です。
そんな「聖地巡礼」。東日本大震災の被災地、岩手にもスポットがあります。三陸が舞台となった、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地です。海女の素潜り実演などに多くの観光客で賑わったのは、記憶に新しいところです。
その「聖地巡礼」の効果を福島の被災地・浜通りにも、と活動をしているのが、大熊町にある相双フィルムコミッションです。2024年に設立され、映画やテレビの撮影を誘致。ロケ地の紹介やエキストラ手配の協力など撮影の支援にもあたっていて、既に実績もあります。

■相双FC 馬場立治さん
「これは犬童一心監督の、映画『ハウ』という映画のポスターですね」

犬童一心監督の映画『ハウ』。浪江町と双葉町で撮影が行われ、相双フィルムコミッションが支援にあたりました。

■相双FC 馬場立治さん
「このとき、撮影スタッフ70人くらいいたのかな。その人たちががっと集まる感じで。撮影場所、例えば請戸漁港、ここで撮影したいんですけどというと、ここだったら撮影して良いよ、ここ使っても良いよみたいな交渉とか、あと当然エキストラの人たちとかそういった人たちを集める(協力)というのが我々の仕事になる。(この地域が)映画のワンシーンとして使われるのがうれしかった。これだけの人が来るんですよ。一回の撮影で。そうするとホテル貸しきってもらったりとか。ご飯なんかも、お昼ご飯なんかも、地元のお店で全部手配してもらったりとか」

こうして地域を盛り上げる、相双フィルムコミッション代表理事の根本李安奈(りあな)さんです。被災地・南相馬市の出身で、東京の広告代理店に勤めたあと福島のためにとUターン。相双フィルムコミッションを設立しました。

■根本李安奈 代表理事
「ただ、ウェブサイトにロケーション載せれば良いかなくらい、部活動みたいな感じで始めた。どんどん話が大きくなって、いろいろな監督が訪れて、実際にこういう撮影がしたいと問い合わせがくるようになって」

地道な活動が実を結び、去年は東京国際映画祭で、著名な映画監督などと、浜通りでの映画製作について意見を交わすといったことも…。さらに今年は相双フィルムコミッションも全面協力して、浜通りを舞台にした映画の企画のコンペを開催中です。グランプリとなった企画には、100万円がおくられ、映画化に向けたサポートもあるということです。

■根本李安奈 代表理事
「震災を扱った作品しかだめだというイメージがある。そうではなくて、やはり、いろいろな作品が撮れる場所だと思うので、そういう企画に関わる、撮った作品ではなく企画を募集することによって(浜通り)地域に関わってみよう、間口を広げられるのかなということでやっている。現状の浜通りに関心を向けてもらえるのはすごく良い」

震災・原発事故から14年、地域を盛り上げようと、ロケ地探しなどにも日々忙しい根本さん。いまの思いは…

■根本李安奈 代表理事
「製作者もここに来ると、(地域の)みんなが応援して(作品を)作れるとか、住民も日頃ないもの(撮影)が楽しいとか、地域が映ってうれしいみたいな、エキストラで参加できて俳優のうしろに映ったみたいなそういうことで楽しんでもらえるのが一番。大変なことも多いが、住民であったり、行政であったり、企業もそうですし、そういった方々の垣根を超えて、みんなで作っていくみたいな。そういうことがみんなで楽しんでいける状態を作れると良い」

(09/03 19:10 福島中央テレビ)

TOP

Copyright(C)NNN(Nippon News Network)