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災害時だけでなくイベントでも…棚倉町がトイレトレーラー導入 災害で出張も 福島 (福島県)



東日本大震災や能登半島地震など、大きな災害のたびに繰り返し直面しているのが、「トイレ問題」です。その問題を解消しようと、棚倉町(たなぐらまち)が「あるもの」を導入しました。町にとどまらず、全国的にも活用されています。

大きな災害が発生すると、断水や下水道の損傷などさまざまな原因で水洗トイレが使えなくなり、被災者を苦しめます。そのためトイレの回数を減らそうと水を飲まなかったり、トイレを我慢したりと、「トイレ控え」をする被災者もいますが、これは命にかかわるおそれも。
こうした状況を未然に防ごうと棚倉町が導入したのが、トイレトレーラーです。けん引車があればどこへでも移動でき、給水タンクと汚水タンクを備えているため、到着後すぐに使うことができます。さらに…

■井上千沙アナリポート
「こちらのトレーラーの上に太陽光パネルが設置されていて、災害時でも(トレーラー内は)明るく、安心して使うことができます」

電力も確保されているんです。中に入ってみると…

■井上千沙アナリポート
「広い! 両手を広げられるくらい広々としていて、お子さんと一緒に入ったり、着替えたりすることもできそうです」

手洗い場もあり、衛生的な作りになっています。

■棚倉町 住民課 消防環境係 菊池良訓さん
「やはりトイレを我慢することによって災害関連死(にもつながる)。(トイレの回数を減らすため)飲食を控えるなどもありますので、大規模災害時に深刻化するトイレ問題を解消するために導入を決めました」

避難所のトイレは混んでいて、清潔感がない…
女性や高齢者に対しても配慮がない…
などの理由で「トイレ控え」をしてしまうことは、少なくありません。災害はいつ起こるか、わかりません。棚倉町はクラウドファンディングで資金を集め、去年の4月にトイレトレーラーを購入しました。購入と同時に、「災害派遣トイレネットワーク」にも加盟。災害時には全国の自治体からトイレトレーラーを持ち寄ってもらい、個数不足を解消する仕組みも取り入れています。
逆に、棚倉町から被災地に派遣することもあります。実際、能登半島に支援に行った職員は?

■棚倉町 住民課 消防環境係 蛭田圭祐さん
「(トイレは)日常生活では当たり前になっているんですけれど、災害時は当たり前ではないということに気づきましたね」

被災者からとても感謝され、こんな寄せ書きも…。

■棚倉町 住民課 消防環境係 蛭田圭祐さん
「『トイレカーがここにある事で、沢山の人が集まり、笑顔のある場所となりました』ということで、一番、精神面的にも支援できたのかなという風に感じました」

このトイレトレーラー、出番は災害の時だけではありません。町のウオーキングイベントなど日ごろから使い、いざという時にもすぐに使えるよう訓練しています。イベントに参加した人たちからは…

■参加した人は…
「珍しいですよね」
「女性の方(トイレ)はもうちょっと台数があればね…。いつも混んで行列ができるのは女子(トイレ)の方なので…。後は本当に快適です」
「(東日本大震災の時は)浜通りに家があって避難もしたので、その時に水問題やトイレ問題がやはりあったので…。広いし、皆さんが安心して使えると思います」

使い心地もよく、好評のようです。

■棚倉町 住民課 消防環境係 蛭田圭祐さん
「もっと全国でトイレトレーラーネットワークの加盟している自治体が増えていって、大規模災害時に全国的に支援の輪が広がっていけばいいかなと思います」

(08/28 18:53 福島中央テレビ)

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