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【速報】「常軌を逸した上意下達の組織風土」いわき信用組合不正融資問題で第三者委員会調査結果公表 不正融資1293件、累計金額247億7118万円 福島(福島県)



いわき信用組合が不正融資や職員による多額の横領を長期にわたって隠ぺいしてきた問題で、30日午後3時頃に第三者委員会が調査結果を公表しました。
不正融資の実行件数は1293件、金額は累計で247億7118万円にのぼるということです。

いわき信用組合は、10億円を超える大口取引先への不正融資や職員による多額の横領について長年にわたって隠ぺいしてきたことを去年11月に公表。東北財務局によると名義人に無断で開設した複数の口座への「架空融資」や事業実態のない企業、いわゆる“ペーパーカンパニー”への「う回融資」を通じ、大口取引先への不正融資を繰り返していたといいます。

不正の調査を進めてきた弁護士らでつくる第三者委員会が午後4時から会見を開き、不正融資の実行件数は1293件、金額は累計で247億7118万円にのぼることを明らかにしました。
また、無断借用名口座として不正利用されたのは1316の口座にのぼります。役員や職員の親族など一定の関係がある人の名義が使用されていたということですが、中には無関係の人の名前もあったということです。

こうした不正に共通する原因として、第三者委員会は「当時の理事長をはじめ相当数の役員が関与した上で実行又は事後対応が行われたにもかかわらず、現在まで報告・公表がなされなかったことからして役員にはコンプライアンス意識の著しい欠如が認められる」としています。

また、組合の職員についても「上司からの業務命令に従わざるを得ない状況にあったとはいえ、相当数の者が無断借名融資の実行手続に関与しており、役員同様にコンプライアンス意識が欠如していた側面は否定できない」としています。

そして、会長・理事長として約20年トップに君臨した江尻次郎氏については厳しく批判しています。「無断借名融資の実行や乙事案及び丙事案の隠蔽を最終的に承認・決定したのはいずれも江尻次郎氏であったが、これらは明らかな法令違反行為であるにもかかわらず、他の理事や監事で江尻氏の不正行為を阻止するための具体的行動を実行した者は確認されていない。本調査でのヒアリングやアンケート結果においても、『理事長には逆らえない』、『理事長に嫌われると出世できない』、『理事長の決定は絶対である』、『役員報酬も江尻氏が一存で決めていた』という趣旨の回答があり、代表権を有する理事は他にも複数名いたものの、実質的には江尻氏が単独で人事権を掌握していたことが窺われる」としています。

こうした背景には「絶対的な人事権をもった江尻氏が会長期間を含め約20年にわたり実質的な経営トップの地位に居続けたことにより、他の役職員は、当該役職はもちろん職さえも失うことを恐れて江尻氏の定めた方針に従わざるを得ないという風土が醸成されたものと考えられる」としています。

さらに、いわき信用組合の組織について第三者委員会は「常軌を逸した上意下達の組織風土」と断じています。アンケートやヒアリングでは組合内部のパワハラ事案の報告が相当数寄せらえているということです。パワハラを行っていた者として特に名前が挙がったのが江尻氏などで、いずれも人事権を掌握、把握していた役職員でした。組合には一部の役職員による重度のパワハラが状態化していたとしています。
このほか、役員やコンプライアンス委員会による監督不全や内部通報制度の機能不全など組織的な問題も指摘されています。


(05/30 15:51 福島中央テレビ)

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