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受験生死亡事故の初公判 被告は一部争う姿勢 検察側も赤信号を守っていた時間帯に注目(福島県)



今年1月にJR郡山駅前で受験生の女性が信号を無視してきた飲酒運転の車にはねられ亡くなった事故の初公判が、8日開かれました。
被告の男は「故意に赤信号を無視したわけではない」と、危険運転致死傷罪の成立について争う姿勢を示しました。

「危険運転致死傷」などの罪に問われているのは、郡山市の無職、池田怜平被告(35)です。
起訴状によりますと、池田被告は今年1月、酒を飲んだ状態で車を運転し、赤信号を殊更に無視した上、時速70キロメートルで交差点に進入し、横断歩道にいた2人を死傷させたとされています。
この事故で、大阪府から大学受験に訪れていた当時19歳の女性が亡くなりました。

福島地方裁判所郡山支部で午後1時半に裁判が始まると、池田被告は起訴された内容について「赤信号と分かっていながら殊更に無視したわけではありません」と、危険運転致死傷罪の成立について争う姿勢を示しました。

事故当時の様子をとらえた防犯カメラの映像を見ると、横断歩道の信号が「青」に変わり、被害者が歩き始めたところに、池田被告が運転するとみられる車が直進してきます。
起訴状によれば、この時、車側の信号は「赤」。
検察側は「現場の見通しや赤色の表示時間、速度などを考慮すれば、池田被告の運転は極めて危険」と指摘。一方の弁護側は、この信号無視について「飲酒により注意力が散漫で見落としてしまった」と主張しました。

裁判は9日も開かれ、17日に判決が言い渡される予定です。

裁判を取材した平瀬史敦記者の解説です。

まずは池田被告が起訴された内容について、改めて整理します。
起訴状によりますと、池田被告は事故当時、酒気を帯びた状態、平たくいうと「酒を飲んで」車を運転した上、赤信号を「殊更に」、つまり「故意に」無視し、重大な交通の危険を生じさせる時速およそ70キロメートルで交差点に進入して、2人を死傷させたとされています。

池田被告は「危険運転致死傷」の罪で起訴されていますが、法律では「赤信号を殊更に無視する」「車を制御することが困難な高速度」での運転は、「危険運転致死傷罪」の適用条件の1つとなっています。

そうした中、池田被告は起訴された内容のうち「赤信号を殊更に無視した」という点に関して「飲酒により注意力が散漫で見落としてしまった」とし、「殊更=故意に無視したわけではない」と、危険運転致死傷罪の成立を争う姿勢です。

この主張に対し、検察側は、事故が起きるおよそ2時間前、池田被告は酒を飲んだ状態で事故現場を車で走行していて、その時は信号を守っていたこと。にもかかわらずその後、事故現場付近を通った際は、複数の赤信号を無視していることから、池田被告が故意に赤信号を無視したことを立証していく構えです。

9日は、事故当時池田被告の運転する様子を目撃した人物が証人として出廷するほか、10日には、事故で亡くなった19歳の受験生の遺族らも意見を述べる予定です。

(09/08 18:49 福島中央テレビ)

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