■県内初の線状降水帯観測から2年 住民や行政の意識も変化が… 訓練やハード面の対策も 福島(福島県)
2年前の9月8日、県内では初めてとなる線状降水帯が観測され、いわき市で甚大な被害が生じました。大雨災害を経験し、大切な命や財産を守ろうと、住民や行政の意識も変わりつつあります。
2023年、県内で初めて観測された線状降水帯。特に被害が大きかったのがいわき市で、記録的な豪雨で1人が死亡、およそ1800棟の建物が浸水するなどしました。
当時取材したのが、いわき市内郷綴町(うちごうつづらまち)にある介護施設「さくら樹デイサービスセンター」。近くの川から氾濫した水が泥などと一緒に流れ込み、施設の設備が被害を受けました。
あれから、2年…。
■さくら樹デイサービスセンター 山崎祥子さん
(記者 Q どのくらいまで水に浸かったんですか?)
「60、70センチなのでこのくらいまでですね」
1か月かかった施設の再開。壁紙を張り替えたり、マッサージチェアやベッドを買い替えたりせざるを得なかったといいます。
■さくら樹デイサービスセンター 山崎祥子さん
「(総額で)1千万近くはいくと思います」
(記者 Q浸水の被害があると思っていましたか?)
「思っていませんでした。今までも周りは浸水したんですが、ここだけは浸水したことがなかったんです、今まで」
考えてもいなかった建物への浸水。幸いあの日は利用者がいなかったため、人への被害はありませんでした。ただ、「もしも」があるのが自然災害。施設ではこれまで火事や地震を想定していた避難訓練に、洪水や大雨を加え、年に2回行うことにしました。
■さくら樹デイサービスセンター 山崎祥子さん
(記者 Q 利用者がいることも想定している?)
「そうです。職員と利用者さんを交えて指定の避難所に避難する。もしくは浸水したときは垂直避難で、ここの階段を上る訓練をしています」
大雨災害に備え、ソフト面の取り組みを進める一方、市内では「ハード面」の対策も進んでいます。
■いわき市土木政策課河川政策担当 松本昌宏さん
「こちらがワンコイン浸水センサになります」
「ワンコイン浸水センサ」は、カバーの中にあるセンサーが浸水を検知すると、国土交通省の専用ウェブサイトで浸水の状況をリアルタイムで知らせるというものです。
■いわき市土木政策課河川政策担当 松本昌宏さん
(記者 Q 2つついているのは、何故なんですか?)
「まず低い方のものは浸水したかどうかを検知するもので、その一個上の高さのものは車が通れなくなるような高さになる前に行政が把握したい…」
「ワンコイン浸水センサ」は道路や側溝、それにアンダーパスなど市内42箇所に設置されていて、周囲の浸水状況をいち早く市民に知らせるのが狙いです。
■いわき市土木政策課河川政策担当 松本昌宏さん
「河川や水路の整備にはかなり時間がかかるので、ワンコイン浸水センサやハザードマップの作成、ソフト整備も一体的になって取り組んでいきたいと考えてございます」
大きな被害をもたらした線状降水帯の観測から2年。大切な命や財産を守ろうと、住民や行政による取り組みが続けられています。
(09/08 18:52 福島中央テレビ)
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