■原発事故後2回目となる燃料デブリの取り出しが完了 作業員の人繰りなど今後の課題も 東電・福島第一原発(福島県)
福島第一原発2号機で進められていた燃料デブリの取り出しが23日午前10時15分に完了しました。2024年11月に続き2回目です。
取り出した燃料デブリは、茨城県の研究施設に送られ、線量や性状(硬さやデブリを構成する物質)の分析が進められます。東京電力は、得られたデータを基に、2030年代初頭に予定する本格的な取り出しに向け、工具や採取方法の選定に生かす考えです。
前回は0.7グラムのデブリを採取していますが、4月15日から始まった今回の取り出し作業では、前回とは場所を変え、原子炉の中心に近い場所で小石状の燃料デブリを採取しています。デブリは場所によって混入している物質が異なるとみられていて、採取場所を変えることで、情報量を増やす狙いがあります。
前回の取り出しでは、装置のトラブルもあり、着手から完了まで2か月ほどかかりましたが、今回は9日間で作業が完了し、大幅な時間短縮に成功しています。東京電力は3月に、2回目の作業に向けて取り出し作業に当たる約70人のスタッフを集め訓練をしていて、こうした経緯から作業員の練度も習熟した印象です。
ただ、課題も残ります。燃料デブリは、人体に有害な極めて高い放射線量を放つことから「廃炉の最難関」とも言われています。これは、試験的取り出し作業にも当てはまり、作業員の放射線被ばくをいかに減らすか、作業員の人繰りの問題も含めて課題の1つになっています。
世界初のデブリ取り出しは1979年にメルトダウンの事故を起こしたアメリカのスリーマイル島原発でも行われていますが、デブリのほとんどが原子炉の中に留まり、事故から11年後にほぼ全てを回収しています。
福島の場合は、原子炉建屋内の一部の作業エリアでは毎時約1.5〜3.0m?の線量が確認されていて、法定の被ばく線量限度を踏まえると1回の作業時間が20〜30分程度に限定されることになります。これに加え、幾重の防護服と手袋にマスクといった重装備の格好をした作業員にとって、熱中症対策は欠かせない状況です。
廃炉を1日でも早く完了するために作業スピードを上げることと、作業員の命を守るために被ばく線量を減らすこと。福島第一原発はこのジレンマを抱えながら、きょうも廃炉作業が進められています。
(04/23 11:55 福島中央テレビ)
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