■「知らないところで勝手に操作が…」口座解約の利用者も…いわき信用組合の不正は「類例をみないほどに悪質」 福島(福島県)
金融機関への信頼を揺るがしかねない前代未聞の不祥事が県内で起きています。いわき信用組合が不正融資や職員による多額の横領を長期にわたって隠ぺいしてきた問題で、第三者委員会が会見を開き調査結果を公表しました。
前代未聞の不祥事が明らかになったのは、去年11月。
いわき信用組合 本多洋八理事長「10億を超える金額になるというふうに思っています」
10億円を超える大口取引先への不正融資や職員による多額の横領について長年にわたって隠ぺいしてきたことを公表。東北財務局によると名義人に無断で開設した複数の口座への架空融資や事業実態のない企業いわゆる“ペーパーカンパニー”への「う回融資」を通じ、大型取引先への不正融資を繰り返していたといいます。
一連の不祥事について預金者は…
預金者「顧客の信用失うようなことをしているなと思いますけど、そういうことがやっぱりできるのかなっていうのは不信感ではありますよね。」
預金者「もし私の口座が偽造されてが使われていたら腹立つかもしれないけど…」
口座を解約に来た人も。
口座を解約に来た利用者「預金とかなんかも解約にきました。もう不信感があって、そんな架空の取引…知らないところで勝手に操作がされているって思ったらやっぱり不安になりますね」
また、金融機関を管轄する国のトップからは…。
加藤財務相「経営陣による“う回融資”が行われた上に長期間にわたり隠ぺいが図られていたこと自体大変遺憾でありますが、東日本大震災の被災地域の復興に貢献するために国からの資本参加を受けながら、それを奇貨にして“架空融資”の償却を行っていたことは、極めて遺憾であり、金融庁としても非常に重く受け止めております」
財務局は重大な問題があると判断し、組合に対し、経営責任の明確化や、さらなる真相究明、コンプライアンス意識が欠如した企業風土の改善といった業務改善命令を29日付けで出しています。
そして、30日…弁護士などで構成された第三者委員会が調査結果を公表しました。
調査補助者 金田康裕弁護士「この不祥事は明らかに法令違反であり役員は解任されるべき」
利息や返済金として組合に還流したものもあわせると不正融資は、遅くとも2004年3月ごろから始まり、少なくとも、累計金額はおよそ247億円以上となっています。また、不正融資に使用されたのは、ペーパーカンパニー3社のものとあわせて名義数で263、口座数で1316に及ぶということです。
第三者委員会 新妻弘道 弁護士「全容解明にはほど遠い」
第三者委員会は「およそ20年もの長期間にわたり多くの役職員が関与して多数回の犯罪的な不正融資が行われた本件は我が国の金融機関の歴史を見ても類例をみないほどに悪質な事案」と厳しく指摘しています。
今回の会見で新たにわかったことを改めて整理します。まずは、不正融資について。
期間は、遅くとも2004年3月ごろから始まり2024年11月ごろまでのおよそ20年にわたりました。金額は、利息や返済金として組合に還流したものもあわせると少なくとも、累計金額はおよそ247億円以上となっています。また、不正融資に使用されたのは、ペーパーカンパニー3社のものとあわせて名義数で263、口座数で1316に及ぶということです。そして、第三者委員会はこのような不祥事が起き、長期にわたって隠ぺいされた原因についてコンプライアンス意識の根本的な欠如。特定人物による人事権の掌握。人事権を掌握するもののパワーハラスメントにより上意下達の組織風土。組織内の風通しの悪さ。内部統制システムの機能不全を挙げています。
会見は午後6時20分現在も続いていますが、いわき信用組合は、今回の責任をとり理事長や専務理事、役員は退任し経営陣の大幅な入れ替えをすることを発表しています。今後、全容を解明し再発防止に努めるとともに預金者などへの説明を含め信頼回復が急がれます。
(05/30 18:32 福島中央テレビ)
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