■「街づくりの観点で」うすい百貨店が新たな試み 福島(福島県)
ネットショッピングやファストファッションの台頭で苦しい状況にあるのが地方の百貨店です。こうした中、先日、県内唯一の百貨店である郡山市の「うすい百貨店」が街の中心部に賑わいを取り戻そうと新たな試みを展開したんです。
ネットショッピングやファストファッションの台頭もあり、全国で相次ぐ百貨店の閉店。いまや、百貨店が1つもない県があるほどです。こうした中も、地元に根差し経営を続けるのが県内唯一の百貨店、郡山市の「うすい百貨店」です。新年の初売りには、開店前に長い列ができ、店内はこの賑わいです。音楽イベントを開けば、たくさんの人が集まり、「うすい百貨店」はいまも街に賑わいを生み出す「核」となっています。その「うすい百貨店」。この日は、土曜日の朝。物産展などを担当する薄井仁郎さんはなぜか、JR福島駅に…取材した時はちょうど、人気の「北海道物産展」が開催中でした。そんな書き入れ時にどうして、福島市に?
■うすい百貨店 薄井仁郎さん
「きょう、北海道展の土曜日ですが、福島駅からうすい百貨店直行の高速バスを出させて頂いて、福島駅からうすい百貨店のほうに来ていただいて、北海道展を楽しんで頂きたいと思い、これからバスを走らせます。」
なんと、福島市から50キロほど離れた郡山市のうすい百貨店へ、買い物客を乗せたバスを走らせようというのです。福島市は、2020年にJR福島駅前の百貨店「中合」が閉店し、今は百貨店がありません。そこで、今回こうしたバスを企画しました。
■うすい百貨店 薄井仁郎さん
「どんどん新しいことに挑戦して新しいお客様も来ていただけるようなというところで」
今回、イベント参加費は2千円ですが参加特典として2千円相当の商品券が付いてくるので、交通費は実質無料です。この日は2便走りましたが、予約ですぐに満席に…たくさんの買い物客を乗せ、いよいよ、出発です!バスは1時間ほどかけて郡山市へ…バスの到着地点ではこちらも法被を着た社員が温かくお出迎え!そして…
■うすい百貨店横江良司 代表取締役社長
「うすい百貨店社長の横江でございます。」「本当にきょうはありがとうございます。一日どうぞごゆっくりお買い物をお楽しみくださいませ。」
社長、直々の歓迎を受けた後、買い物客は早速、店内へ…やはり人気の北海道物産展の会場で買い物を楽しむ人も多く見られました。
■買い物客
「楽しみ、これからいっぱい見ます。」「久しぶりに来たので楽しかったです。」
社長自らお客さんを迎えるなど、力が入った今回の企画。遠方の人たちにも百貨店での買い物を楽しんでほしいという狙いのほかに、もうひとつ「うすい百貨店」の戦略が隠されていました。
■うすい百貨店 薄井仁郎さん
「百貨店単体としても、商店街としても色々なイベントを仕掛けたり、自分たちで努力はしているが、そもそもやはり街に人が集まらないとなかなか単独では難しいなと感じているので、なので、交通の充実というところを今後必要だと思っているので、今回、トライアルとして一回やってみたかったというので。」
全国の地方都市では、富山市などのように、路面電車など交通を充実させることによって、街の中心部を訪れる人が増えたというケースもあります。「うすい百貨店」は、県と協定を締結するなど、自治体との連携を深めていて、今回の取り組みを踏まえ公共交通のあり方も含めて、今後のまちづくりを一緒に考えていきたいという思いがあるのです。
■うすい百貨店 薄井仁郎さん
「うすい百貨店単体ではなく、うすい百貨店を中心とした中心市街地の活性化という街づくりの観点で、行政とも連携させて頂いて、いっしょにどうやって、街に賑わいを生み出すかというのを一緒に考えさせて頂いて、いろいろなアイデアを出していきたい。」
街のにぎわいの「核」として共に街づくりを考える。地方百貨店の新たな模索が始まっています。
(10/28 18:48 福島中央テレビ)
・TOP
Copyright(C)NNN(Nippon News Network)