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【特集】閉校した江刺家小学校 稲作体験学習の1年@(岩手県)



3月、九戸村内の5つの小学校が閉校して九戸小学校に統合されました。このうち江刺家小学校では、種まきから収穫まで稲作の作業を一貫して体験する珍しい学習が行われていました。その様子を1年近く追いました。3回シリーズでお伝えします。

3月19日。九戸村立江刺家小学校では閉校式が行われました。席上、橋雄賢校長は江刺家小学校のコメ作りについてその大切さを述べました。

橋雄賢校長
「平成8年度から取り組んでおります稲作体験学習は、種まきから田植え 草取りヒエ抜き 稲刈り 脱穀収穫祭まで一連の作業を手作業で行い、子どもたちに勤労観、職業観を育成する大きな学びの場になっていました」

■田植え
児童「こんにちは。よろしくお願いします」
小井田重雄さん「ご苦労さん」

2024年5月末、子どもたちが種まきした餅米の苗を採って田植えが行われました。稲作学習も去年が最後でした。

記者「今年で終わりということが残念ですか」
橋雄賢校長「今年で終りというのは残念ですね。止むをえませんが」
記者「余計丁寧にやらなければいけませんね」
橋校長「そうです」

小井田重雄さん
「田舎に住んでいながら田んぼに入ったことがないと、そういうことがない子どもたちに育てたいという思いで始めた田植えです」

低学年の子どもは、田んぼに入るのも初めてです。

小井田さん「根元を持つ 根元ここに植えます ずぼっと刺す」

28年間毎年行われてきた稲作学習。上級生は手慣れた手つきで苗を植えていきました。

(先生が顔を拭いてあげる)
児童「先生気持ちよかったです、がんばりましたね」

■2024年7月12日
子ども「カエル、カエル 、カエル、 アッ落ちた」

この日は小井田さんの家に代々伝わる古い機械で田んぼの雑草を採りました。

橋校長「ガンバ いいぞ」

子どもたちが頑張った証、かわいい足跡が転々と。

小井田重雄さん
「多分これ大正か昭和の初めにできたものだと思います。年代はわからないけれど田んぼの中を滑らせて二つの爪がついた車輪で草を起こしていく、水を張ると根が浮いて除草になる、爪で土の中に空気を入れる、そういう二つの役割がある」

高橋校長「ワンポイントアドバイスで」

女子児童「去年は早くしっかりとできなかったけど、今年はしっかりとできて良かったです」

男子児童「初めて草取りをやったけど、押すのに慣れなくて先生と 先生じゃなくて小井田さんと一緒にやったけど、最後の方になってから小井田さんがいなくても一人でできるようになって良かったです」

小井田さん
「最初やる前の姿とちょっと変わっているのを感じてもらえればありがたい。やる前は何となくこういうふうな感じで稲の穂先が伸びていました。ところがちょっと空気を入れることで、ピンと真っ直ぐになった感じに私には見えました。根にも酸素を補給できたし周りの草も片づけたということで、非常に良い仕事でしたご苦労さまでしたありがとうございます」

児童「ありがとうございました」

橋校長
「他の学校と違うのは、手作業を種植えからずっと収穫までやり、収穫祭でみんなでお餅にして食べるという一連の流れで、子どもたちが農作業に関わる私たちが毎日口にしている食べ物のありがたさを子どもたちに感じてほしいなと思っているので、なかなかこういう学校はないと考えていて、とても大切な学習の一つだと思っています」

■9月3日
稲穂もだいぶ垂れて来たこの日。小井田さんから子どもたちにプレゼントがありました。

児童「何が入っているの」
小井田さん「アンパンだ」
児童「うれしいんだけど、ありがとうございます」「ありがとうございました」
小井田さん「ご苦労様でした、また次回ね」


(04/15 18:33 テレビ岩手)

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