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【戦後80年】高校生が語り継ぐ戦争と平和の尊さ(岩手県)



 戦争体験者が高齢となり、その記憶が薄れていく中、自分が生まれる60年以上前に起きた戦争について調べて伝承し、平和を訴えていこうと活動する高校生たちがいます。2つの取り組みを取材しました。

(署名活動)

 7月12日、釜石市で核廃絶の署名活動を行ったのは、第28代高校生平和大使・盛岡北高校2年の小笠原妙衣さんと、一関一高2年の澤田麻椰さん、それに8月、高校生ナガサキ平和派遣に参加する県内の高校生あわせて7人です。
高校生平和大使の2人はこの夏、長崎やスイスの国連欧州本部を訪問する予定で、この日7人は、署名活動のほか、釜石で戦争について学びました。

■郷土資料館
(菊池のどかさん高校生に説明)

 高校生が訪れたのは、市の郷土資料館。案内したのは、普段、震災の語り部活動をしている菊池のどかさんです。実は菊池さんも高校時代、高校生平和大使を務め、戦争と平和について考えてきました。

菊池のどかさん
「生の声を繋げるというのは難しい状況だし、その人たちが生きてらっしゃったときに書いたものを読んで伝える。当時の実物が残っていたりするからそれを伝えていくのは今ならできる」

高校生たちは、釜石が2度にわたり被害を受けた艦砲射撃のことや、当時のまちの状況について菊池さんから聞き、戦争の歴史にどう向き合っていくか自分なりに考えていました。

高校生平和大使 小笠原妙衣さん
「自分が学ぶのもそうなんですけれど、全ての事に対して自分事でとらえて、(経験を)岩手に持って帰って中学校とかでも講演とかしていけたらいいな」

澤田麻椰さん
「自分の言葉で語り継ぐっていうのを大切にしたいなと考えていて、自分自身が若い世代や世界中に向けて当時の事だとか、どうしていくべきかなどを伝えていけたらと考えています」

■高校生戦跡ツアー薬師公園
 一方、こちらは21日、釜石で行われた戦争の歴史を学ぶツアー。企画したのは地元・釜石高校3年の佐藤凛汰朗さんと中澤大河さんです。2人は高校のゼミ活動で「釜石の戦争」をテーマに学んだのがきっかけでツアーを企画。市の職員や地元のガイドも手伝い、準備を進めてきました。佐藤さんは去年、高校生平和大使を務め、活動の中で戦争を伝承する必要性を感じていたといいます。

(説明と防空壕の中での参加者)

■小川防空壕
この日は、県の内外から20人が参加。2度の艦砲射撃を受けた釜石市には、戦争の爪痕が数多く残っていて、参加した人は、防空壕や捕虜の収容所跡、当時、釜石鉱山で命を落とした中国人の慰霊の像などを高校生2人のガイドの案内で回りました。

参加者
「戦後80年を迎えて実際に体験した語り部さんたちもいなくなってくる中で、新しい世代が戦争の事を調べて大人に向け発表してくれるのがとても素晴らしいことだと思います」

中澤大河さん
「捕虜収容所があってそこで働かせていたのを聞いて、釜石は被害だけじゃなく加害をあたえてしまっているので、被害を受けた所よりも一層この記憶を忘れないようにしなきゃいけないなって」

佐藤凛汰朗さん
「まだまだ知識が不十分なところがあるので、もっと深堀していきたいなと思いましたし、今回自分たちが中心となって若い世代にも継承していけたらいいなと考えているので、学問等に生かしながら今後活動していきたいなと」

 戦後80年。当時の体験と言葉を未来に繋ぎ、平和を守って行こうと、若い世代が取り組みを進めています。

(07/23 18:28 テレビ岩手)

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