■【記者解説】車の「逆走」原因と防止対策は?岩手県立大学のドライビングシミュレータで体験 (岩手県)
全国で相次いでいる車の「逆走」。現状や原因、未然に防ぐための対策について今野記者とお伝えします。
(今野記者)「逆走」は、死亡事故につながりやすく、過去には岩手県内でも発生しています。まずはこちらをご覧ください。
ことし4月、栃木県那須塩原市の東北道上り線で、逆走した乗用車と別の乗用車が正面衝突するなど4台が絡む事故がありました。この事故で、運転手の男性や、衝突された車を運転していた北上市の会社員の男性が亡くなりました。
その『逆走』を体験できる装置が岩手県立大学にあります。
■シミュレータ
実際に走行しているようなリアルなCG映像。東北で唯一、走行中の車の揺れも再現できる体験型の「ドライビングシミュレータ」です。
私も体験してみました。
今野記者 「お願いします」
追い越し車線を走行していると…
「あぶない!あぶない!あぶない!」
なんとか避けることができました。
今野記者「来るってわかっていたから避けられましたけどね」
山邉茂之准教授「そうですね」
しかし、急にハンドルを切ることで、車のコントロールを失い、事故につながってしまうこともあります。
事故に遭わないためにどうすればよいのか。この装置を活用して『逆走』を研究しているソフトウェア情報学部の山邉茂之准教授は、こう指摘します。
山邉准教授
「ブレーキかけていると間に合わない。向こうから迫ってくるので、ハンドルを切るしかない。日頃から、自分の隣のレーンに車がいるか、前と後ろがどれくらいいるかというのを気にしながら走るといい、その場合、急ハンドルを切っても当たらない」
(古舘キャスター)車の逆走は、どのくらい起きているんですか?
(今野記者)全国の逆走事案は、おととしで224件と、2日に1回以上の頻度で発生し、そのうち39件が事故につながっています。岩手県内でも、去年は2回、おととしは5回、逆走による事故が起きています。
(古舘キャスター)そもそも逆走はなぜ起きてしまうのでしょうか。
(今野記者)こちらをご覧ください。
栃木県の東北道の事故で逆走が始まったとみられるのが、黒磯板室インターチェンジです。ここは、本線に入る道と本線から出る道が1か所で平面に交わる特殊な構造です。
(古舘キャスター)道路が赤と青で塗られていますね。
(今野記者)逆走車は、本線に入る「赤いレーン」を通らなければいけませんが、左折して本線から出るための青いレーンに進んだとみられています。県内でも同じ構造のインターチェンジやサービスエリアが16か所あり、事故を受けて新たに逆走を防止するための看板が設置されました。
そもそもサービスエリアやインターチェンジ、料金所は方向感覚がなくなり出入口を間違えやすい場所です。
岩手県内でも、6年前に岩手山サービスエリアの入り口から出た軽乗用車が、普通乗用車と衝突する死亡事故が起きています。逆走を防ぐためには、看板や道路の色などをしっかり確認することが大切です。
(古舘キャスター)それでも、もし逆走してしまった場合、どう対応すればよいのでしょうか?
(今野記者)ポイントは冷静な判断です。
■逆走・シミュレータ
(今野記者) 「なんか変です。看板が全部逆です」
(正面から車)
「あぶない!あぶない!あぶない!」
逆走すると、危険な状況に焦ってしまいますが、まずは「安全の確保」が何よりも大切です。
山邉茂之准教授
「もう、すぐにハザードを出して路肩に止まるというのが一番安全だと思います。それは一般道でも高速道路も同じだと思う」
注意点をまとめました。
・逆走してしまった場合は、車を安全な路肩に停めて携帯電話や公衆電話で110番通報しましょう。
・また、降りたい出口を通り過ぎてしまった場合はバックで逆走したり、Uターンしたりすることは絶対にやめましょう。
・次のインターチェンジで降りて料金所で事情を説明すると、一部の箇所を除き、降りたかったインターチェンジまで誘導してもらえます。この際、間違えた区間の料金はかかりません。
あらかじめ地図で道順を確認し、しっかりと休憩を取りつつ安全な判断ができる状態で運転することが大切です。
(06/05 23:34 テレビ岩手)
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